a0990_001463「経営者」が転身し、「政治家」になるケースは稀ではない。というか事例としては多い方に含まれる。また同じく「芸能人」が「政治家」を目指すケースも多いといっていいだろう。

この2つを比較すると、「芸能人」として成功した人が「政治家」として成功するケースの方が多いように感じる。

 

ちなみに古代ローマでは今の「芸能人」にあたる「俳優」が政治家に立候補することが禁止されていた。

知名度やイメージにおいて芸能人は非常に有利な立場であり、公平性の観点から禁止されたのだろうが、現代においても「芸能人」は政治家となるのに有利という傾向はあまり変わっていない。

 

しかし、なぜ芸能人が経営者に比べて政治家として成功するケースが多いのか。思うに、「経営者の合理的な考え方」が「政治家」にとって妨げになるケースが多いようだ。

 

経営者は、会社という共同体に対して責任を持つ。政治家も同じように「国」あるいは「地域」という共同体に対して責任を持つ。ここまでは同じである。

しかし、経営者と政治家が異なるのは扱う共同体の性質だ。

 

実は、会社という共同体は国に比べてマネジメントが簡単である。会社には次の特徴がある。

1.構成員の利害が一致している。

2.構成員の出来が悪い場合、共同体から放逐できる(クビにできる)

3.共同体中の強者を保護し、弱者を冷遇する

 

もちろん、会社により多少の差があろうが、共同体というのは上の1から3について、会社と全く逆の論理が必要とされる。

構成員の利害が一致することはまず無い。また、犯罪者は別として、出来が悪いくらいでは共同体を追放することもできないし、まして強者を保護していたら共同体は崩壊してしまう。

「国」という共同体を強くするためには

「出来る人だけ」の組織は弱い

に書いたように、弱者を内包する必要があるが、企業は弱者を丸抱えできるほどの体力は無い。

 

したがって、政治家には経営者よりも遥かに高度な共同体のマネジメント能力が必要とされる。もちろん、経営者に比べて政治家が優れているといっている訳ではない。(当然だが)

しかし、求められる能力が異なるということは認識が必要であり、権力が集中していることで、企業の方が共同体よりもマネジメントしやすいという事実はかわらない。

 

だから、企業の論理で政治を動かそうとする人はほとんどうまくいかない。「経営のプロ」である大前研一も政治家に立候補したが、支持を得られず落選した。

規制を撤廃したり、競争を促進することはもちろん必要だが、共同体の維持にはもっと重要なことが数多くある。といっても、最近の強者は「グローバル化」の名の下に、共同体の維持にリソースを割きたがらない人が多いのだが。

 

芸能人の方がマシなのは、「芸能人」というのは「敵を作らない」ことに長けている人が多いからだと思う。共同体のマネジメントで最も難しい課題の一つである利害調整にはこの能力が必要とされるのだろう。

 

 

 

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(2024/3/26更新)