就活シーズンなので、最近は面接をする機会が非常に多い。

 

そんな中、幾つかのことに気づかされる。

「最近の学生は勉強していない」というのは嘘だということ。(結構勉強している)

「話を盛る」学生は、意外に少ないということ。(突っ込むと、結構正直に話してくれる)

「自己アピール」は、たしかにアルバイトとサークルの話が多いということ。(まあ、学生だから当然かも)

 

そして、中でもいちばん面白いと思ったのが、「協調性」に関する話だ。

面接の中で「協調性」を強く打ち出す学生は結構多い。企業側が「協調性」を重視していると聴いて、面接対策をしてきているのかもしれない。

 

しかし、ここには企業と学生の間で齟齬がある。

実は、最近では企業側も昔ほど「協調性」を重視しなくなってきているのだ。それは、データにも現れていている。

(データ出典:労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/press/documents/20110620.pdf)

 

見ると、今までは「社風に馴染める」「チームワークを尊重できる」を重視していた企業が、「リーダーシップを持っている」「自分で考えて行動できる」を重視するように切り替わってきていることがわかる。

 

だが、これだけを見て

「企業は協調性を重視しなくなっている」

とするのは、早計である。

実際、相変わらず、仕事をする上で「チームワーク」は重要だ。様々な知識を持つ人達を統合し、巻き込んでいかなければ成果が上がらないのは、今も昔もさほど変わらない。

 

実は、上の結果は「企業が成果志向になってきている」ということを示している。

つまり、「チームワーク」「協調性」は目的ではなく、「手段」にすぎないと、企業は考えだしている。端的に言えば、「結果を出してナンボでしょ」と言い始めているのである。

だから、「事業戦略、事業展開を考えられる」という項目が大幅に伸びている。

 

昔の会社員は、「時間をつかって働けば結果を出すことができた」ので、職場の輪を乱さないことが求められた。

今はそうではない。「時間を使おうが、使うまいが、成果を出すことが重要だ」と企業は言っている。

 

 

こういった状況にもかかわらず、学生さんは相変わらず、

「チームの和を乱さないように、注意しました」

「雰囲気を壊さないように、皆に配慮しました」

「喧嘩が起きないように、いろいろな人に話をして回りました」

と言った、昔ながらの企業が求める「協調性」をアピールしている人が多い。

 

言い換えれば、「わたしは付和雷同する人間です」といったアピールをする学生が多いということだ。

しかし、今の面接担当者は逆に「うーん……微妙だな……」となってしまうのである。

 

 

では、企業が求めている真の意味での「協調性」とは何か。

それは、上に挙げたように「手段としての協調性」である。

 

例えば面接で、面接官の一人が学生に

「自分の強みを教えていただけますか?」

と聞いた。

すると一人の学生がこんな話をしていた。

詳細はちょっと怪しいのだが、こんな趣旨だった。

 

「わたしは音楽サークルに在籍していました。雰囲気は悪くなかったのですが、練習などが非常にヌルく、先輩にもあまり向上心が見られませんでした。お陰で期待していた新人が、辞めてしまうことが結構あったのです。それがわたしは不満でした。」

「ほう。それでどうしたのですか?」

「まず目標を皆で共有しました。幸いにも部長はわたしの不満をわかってくれたので、部長が「大会で良い成績を取ろう」と決意したので、わたしはそれを皆に語って回りました。」

「嫌がられたんじゃないですか?」

「はい(笑)でも、ヌルくやっても、真のチームワークは生まれないと思います。部長に練習時間を伸ばすことを提言し、無断欠席や遅刻には叱責をし、「上を目指す」という活動を地道にやりました。」

「なるほど。」

「はい、練習に来ない人を、自宅まで迎えに行ったこともありました。「ウザい」と言われましたが、結局練習を真面目にやりだすと、面白くなってくるんです。サークルの結束は逆に固くなりました。」

「いいんですね。」

「はい。ですからわたしはチームワークができることが強みです。」

 

これを「チームワーク」と言える学生はなかなかいないはずだ。

しかし、これこそが企業が求めている「チームワーク」である。

 

真の「協調性」とは、やる気のない人間たちに迎合することではないし、波風を立てないことでもない。

皆のやる気を引き出し、リーダーを助けてチームの結束を固める活動ができることを、協調性と呼ぶのである。

 

 

 

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(Photo:Dawn (Willis) Manser