実はちょっと前に頭の病気で手術をし、一週間ほど入院していた。
ちなみに入院費用は一週間で20万超である。
僕は自分の給与がどのように出ているのかを肌で理解し、会計で泣いた。
病気が判明したときは「まあ人生、こういう事もあるだろう」ぐらいにしか思わなかったのだが、つい先日、前に務めていた病院の人から自分もよく知っている同年代の人間が割とデカい病を次々と発症した事を聞き、大いに驚いた。
病気の種類としては鬱のような、まあ割と若い人がやっててもそこまで違和感がないものもあるのだが、がんや脳卒中、重度の高血圧や糖尿病といった「その若さじゃ普通はならないだろwww」と反応せざるをえないような大病をやらかしてる人もチラホラいた。
最初は「まあ、ストレスフルな職場だし、大病やるやつがいても事もおかしくないか」ぐらいのつもりで聞いていたのだが、次第に「……ひょっとして僕の頭の病気もこれが原因なんじゃ……」と一周遅れで気が付き、僕は自分がいつのまにか悪魔に魂を売っていた事に気がついた。
死ぬ気でやると、本当に死ぬ
「死ぬ気でやれよ、死なねえから」
かつて杉村太郎という人が”アツイコトバ”という本でこう言っていた。
これを聞いたときは「確かに一理あるかもなぁ」と思っていたのだが、なんとこの杉村太郎という方、47歳という若さで原発不明がんにてお亡くなりになってしまったのだという。
人間は、努力で死ねるのである。これを理解したときは衝撃であった。
実は……人間は悪魔に魂を売ることができる。
冒頭に書いた僕や僕を含めた知り合いは、限度を超えて頑張ってしまったがあまり、身体が悲鳴をあげて壊れてしまったのだろう。
身体のどこが壊れるかはロシアンルーレットみたいなもので、人それぞれである。
ある人は心を壊すかもしれないし、またある人は脳を壊すのかもしれない。
ロシアンルーレットの当たり方によっては、悪魔は魂だって平気で奪い去っていく。
その結果が、「死ぬ気でやりすぎたら、本当に死んじゃいました」になったって、なにもおかしくないのである。
宝くじの期待値は最悪だが、買わなければ永遠に当たらないのも事実だ
浪人生時代の話だ。
予備校のチューターが小話で
「友人で、宝くじで大金を当てたやつがいるんだ」
という話をした。
チューターは当てた人に
「なにか当てるコツみたいなのはあるの?」
と聞いたそうなのだが、それに対して当てた人はこう答えたという。
「あるよ。たった一つだけ。当たる為の秘訣が」
「それはね……買わないと絶対に当たらないっていう事だよ」
宝くじは期待値の悪さから、愚か者の税金と揶揄される事があるが、確かにどんなに期待値が悪かろうが買わない人が、大金を当てる確率は、永遠にゼロである。
物凄くバカみたいに割があわないとしても……身銭を切れば、0.00000001%の確率で億万長者になれる……可能性が浮上する。
リスクを負わないものには、永遠にリターンなどない。
すごくすごく当たり前の話ではあるのだけど、言われてみれば確かにという話である。
魂を賭け金にして、悪魔ダイスを振る
この宝くじの話はもう十年以上前に聞いたモノなのだけど、最近になって実は人生でも同じような事がいえるなという事に遅まきながら気がついた。
僕はこれを悪魔ダイスとよんでいる。
人間、持てる能力は様々だ。
けど現代日本社会では、一応成功するための扉のようなものは結構多くの人に開かれている。
本来なら……100の能力がなければ、その扉を開くことはできない。
けど……それ以下の能力しかない人間も、その扉を開く博打を打つ事はできる。それが悪魔ダイスである。
自分に、徹底的にキリキリと負荷をかけて締め上げて、肉体と精神が悲鳴をあげ、魂がコインとして抽出されるまでやる。
すると、本来ならその扉を開く資格がない人間にも、サイコロを振る資格が手にはいる。
このサイコロだけど、実は期待値はものすごく悪い。
それこそ宝くじと全く同じで、愚か者の税金といえるだろう。
けど……たまに当ててしまう人がいる。
そういう人に「成功する為のコツはありますか?」と聞くと、あれこれ無害な事を教えてくれるが、実はそれは真っ赤な嘘だ。
これを読んでいる人はもう気がついているだろうが、成功する為の本当のコツは一つだけである。
”死ぬ気でやって魂を肉体から絞り出し、それを悪魔に売って、サイコロを振る”
先程の「宝くじは買わなきゃ当たらない」と全く同じ話である。
切るのは銭じゃなくて、ホンモノの魂だけど。
これで6が出れば、おめでとう。
あなたは成功して欲しい物が手に入る。
けど1~5がでた人は残念ながら賭け金は全額没収でリターンもゼロだ。
m9(^Д^)プギャー。
(出典:HUNTER×HUNTER 16巻)
悪魔ダイスは容赦ない。
いつだって命がけである。
成功しても失敗しても、悪魔は容赦なくあなたから対価である魂を奪っていく。
ある人にとってそれは頭髪であり、残りの人生がハゲになるかもしれないし、またある人にとってそれは僕のように頭の中にある大切なモノを取り除かれる事になるのかもしれない。
じゃあ改めて問おう。
成功、したいですか?本当の本当に、身を削ってまで、したいですか?
成功したいなら……宝くじ、買うしかなくない?
そして凡人なら……魂かけて、悪魔ダイス、振るしかなくない?
羨ましいという感情が1番の無駄
宝くじは……買わないと当たらない。
凡人の身に余るほどの成功は……魂を賭けないとルーレットすら回らない。
残念ながら、この世にフリーランチはない。
身を切って、血で魔法陣を書き上げて、初めて勝算がみえてくる。
もちろん……生まれながらにして、有り余る才能を持って生まれる人もいる。
そういう人は悪魔ダイスを振ることなく、それなりに”当てる”
そういう人を羨ましく思う気持ちはわからなくもない。
なんで自分は、そういう人間じゃなかったんだろうと、僕が全く思わないかといえばそれは嘘になる。
けど……そういう人を羨ましいと思うのは、宝くじを買わないのと同じぐらい、当たる確率から1番程遠い何かである。
それに、そういう恵まれた人間と、凡人だって代償さえ払えば同じぐらい当てられるのである。
これこそが真の意味でのリバティー。機会の平等である。
初めから何の未来もみえない世界は、僕は嫌だ。
勝ち目がほとんどなくたって、やらなければ永遠のゼロである。
人生は、自分が思うようにしかならない。
憧れは理解から最も遠い感情であり、嫉妬は燃やして原動力にしないのであれば、ただの女々しい言い訳である。
人生ってのは、身体を張らないと掛ける事すらできないのである。
ノーリスクなら何も手に入らなくて当然。
むしろそれで何か手に入るなんて、宝くじが当たる以上にありえない。
倍率は自分の魂だ。
今日も腹くくって、期待値の悪い勝負に、全力で挑んでいこう。
本当に欲しい物が、あるのなら。
(出典:完全版・寄生獣8巻)
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