アラサーにもなると、友だちとのおしゃべりといっても、どうしても「仕事」に関することが増えてくる。

それも、「転職しようか迷ってる」「上司とうまくいかない」「クライアントがうざい」といった、ネガティブな話題が多い。

 

まぁそうだよね、週に5日、起きてる時間の半分くらいは仕事に関わってるんだから、そりゃあいろいろ思うところはあるでしょう。

はぁ、尽きることがない仕事の悩みを解決するためには、どうしたらいいんだろう。

 

みんなが「仕事」で悩むのは、「仕事」の存在感が大きすぎるから

「次はなにを読もうか」とぼんやりamazonを眺めていたときのこと。

ビジネス系書籍のテーマが、実に多種多様なことに改めて気づいた。

 

2020年6月16日のkindle版ランキングはこんな感じ。

 

 

時間術、文章術、健康法、仕事哲学、お金。

「ビジネス」と一概にいっても、そのジャンルはとても幅広い。

どうやって仕事と向き合うか、どうやって自分の能力を磨くか、どうやって職を選ぶのがいいか、どうやってストレスを減らすのか……。

 

「仕事」という概念はあまりに大きく、複雑だ。

だからこそいろんなテーマのビジネス書が並ぶし、わたしたちは頭を抱える。

「いったいなにが正解なんだろう」と。

 

さて、そんな「仕事」の悩みを解決するために、わたしたちはなにができるんだろう。

 

「悩み」は「望み」が叶わないから生まれるもの

「悩み」というのはそもそも、「こうあってほしい」という希望が叶わなかったときに生まれるものだ。

つまり、「悩み」の正体を掴むためには、「望み」を理解しなきゃいけない。

 

というわけで、仕事に対する「望み」を具体的に5つにわけてみた。

 

1.好きなこと:仕事は基本的に毎日長時間することであり、人生の40年程度やらなきゃいけない

→どうせなら好きな仕事をしたい

 

2.人間関係:仕事には多くの人が関わる

→ハラスメントがなく、信頼できる人といっしょに働きたい

 

3.成功:仕事では個々の能力によって明確な差がつき、それが社会的地位や名誉につながる

→自分が活躍できる場に身を置きたい

 

4.安定:仕事は生活をするために必要なこと

→待遇がいいところで安定した収入を得たい

 

5.自由:仕事によって拘束時間が発生し、住む場所やライフスタイルの選択の幅が狭まる

→趣味や家族、プライベートを満喫できる自由な働き方をしたい

 

たいていの人間は、この5つをすべて望む。

 

やるなら好きな仕事がいいし、面倒な人はいないに越したことないし、成果が認められて褒められたいし、生活に困らない収入は必要だし、休みは多いほうがいい。

でも、全部は手に入らない。

だから「あれが足りない、これが足りない」とみんな悩むのだ。

 

家探しと同じように仕事の悩みを天秤にかけてみる

「人間関係がうまくいかない」と悩んでいる人に部署替えや転職を提案したところ、「でも福利厚生がしっかりしてる会社だし……」と乗り気じゃない。

「もっと休みがほしい」と嘆く人に「そのぶん給料がいいじゃん」と言っても、「それはそうなんだけどさぁ」と不満げ。

 

いやまぁね、わかるよ。

制度的に働きやすい職場を去るのは惜しいもんね。

いっぱい稼げるのはうれしいけど休みたいもんね。

 

でも、全部はムリなんだよ。

 

充実した育休中の手当のために面倒な人間関係を受け入れるか、家賃補助はないけどいい人ばかりの職場にするか。

残業ゼロだけど年収300万円の小さな家族経営の会社で働くか、残業や休日出勤はあるけど年収600万円の大手企業で働くか。

 

もちろん、福利厚生が充実してて人間関係も円滑な職場や、ホワイト&高待遇の企業もある。

でもそういうところだって、さすがに前述した5つの要素全部を兼ね備えている環境はなかなかないだろう。

だからみんな、「給料はいいけど人間関係が」「安定してるけど残業が」となにかしらの不満を抱えるのだ。

 

そんな不満を自分の中で消化するために必要なものはなにか。

それは、妥協だ。

 

これは、引っ越しに例えるとわかりやすい。

家探しでは、家賃、駅やコンビニの近さ、日当たり、収納スペース、ベランダの有無、職場からの利便性など、さまざまな角度から物件を値踏みする。

 

でもそれを全部兼ね備えた物件なんて、そうそうない。

たいてい、「駅近だけど家賃が高い」とか、「コンロ2口だけどユニットバス」とか、なにかしら妥協すべきところが出てくる。

そのとき、「どっちを優先してどっちを妥協するか」を天秤にかけて、家を決めるものだ。

 

仕事でも、まったく同じ。

妥協点を決めないと、いつまで経ってもないものねだりを続けるだけになる。

 

だから、仕事における悩みを減らしたいのなら、まずこれを考えよう。

「5つの要素のどれを優先し、どれを妥協できるのか」

 

自分のなかの優先順位を自覚する

というわけで、5つの望みを優先した場合と妥協した場合、それぞれどうなるかを考えてみた。

 

1.好きなこと

優先→モチベーションが高く楽しい。多少の苦痛もへっちゃら

必要→カネになる好きなこと、それに対する情熱と執着

妥協→嫌なことでもやる。モチベーションやキャリアアップへの意欲が湧かないかも

対処→仕事は金のためと割り切り、自己実現は趣味などで行う

 

2.人間関係

優先→ハラスメントとは無縁。やる気が出るし月曜日もあんまり憂鬱にならない

必要→トラブルメーカーがいない風通しのいい環境

妥協→ハラスメント被害に合ったり胃が痛くなったりすることも

対処→個人作業が多い職場を探したり、リモートワークなどで人間関係を減らす

 

3.成功

優先→めっちゃお金稼いだり、めっちゃ有名になったりできるかも

必要→自分の裁量で積極的に働けて、それを評価される環境、能力

妥協→自分の手柄を認められなかったり、やりがいを感じなかったりするかも

対処→野心を持たずに淡々と生活のために仕事する

 

4.安定

優先→将来の心配が少なくてすむ。結婚・子育ての不安が減るかも

必要→ある程度安定して働ける職場、福利厚生がしっかりしているとなお良し

妥協→いつどうなるかわからない不安がつねにつきまとう

対処→自力で将来に備える

 

5.自由

優先→自由気ままにいつでもどこでも働きたいように働ける

必要→手に職。自己責任で積極的にキャリアアップする姿勢

妥協→仕事にライフスタイルを合わせる

対処→それが苦にならないほど好きな仕事に就くか、仕事に全集中できる環境をつくる

 

ざっと見て、優先順位を考えてみてほしい。

あなたはなにを、なぜ、どういう順番に並べるだろうか。どれなら妥協できるだろうか。

 

仕事になにを期待するかはその人次第

わたしの答えはこうだ。

好きなこと&自由>>>(越えられない壁)>>>安定>人間関係>成功

 

わたしはまず、「好きなことを自由にやりたい」欲が一番強い。

というか、好きじゃないことを割り切ってするのが苦手だ。

「ああしろ」「こうしろ」と指示をされるとやる気がなくなっちゃうので、あくまで自発的に働ける環境でいたい。

 

「好きなこと」と「自由」を優先した結果のフリーライターだ。

とはいえ、安定を捨てているわけじゃない。

仕事はあくまで生活のためだから、生活できなきゃ困る。

安定も大事だから、小さな案件もコツコツ受けている。

 

一方で、尊敬できる人のもとで働きたいとか、インフルエンサーになりたいとか、そういう願望はあんまりない。

もちろん、尊敬できる人とお仕事をできたら最高だし、有名になったりお金をたくさんもらえたりしたらうれしいけど、それを目標にすることはない。

 

だから順番でいうと、

1.好きなこと&自由

3.安定

4.人間関係

5.成功

なのだ。

 

優先順位がはっきりしていると仕事の悩みを解決しやすい

わたしは優先順位がはっきりしているから、「仕事どうしよっかなぁ」と迷うことは少ない。

ちょっと性格が合わないなーと思っても、好きなことをやれるならある程度許容する。

目立たない仕事だとしても、安定して稼げるなら喜んで引き受ける。

逆に、報酬がよくて知名度も上がるけど、拘束時間が長くて打ち合わせが頻繁な仕事はよく考えてから受けるか決める。

 

自分のなかで優先順位があると、「こっちを優先してこっちは妥協する」という結論を出しやすいのだ。

だから、仕事での悩みが尽きないという人は、優先順位を考えることをおすすめしたい。

 

好きなこと、人間関係、成功、安定、自由。

なにを、なぜ、どういう順番で優先するか。どの望みを優先し、どこなら妥協できるのか。

そうやって考えていけば、仕事の悩みというのは、わりと解決しやすいんじゃないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

Twitter:amamiya9901

Photo by:pixculture