「あの時この方法でやったからうまくいった。今回も同じようにすべきだ」という話は会社内でよく聞く。
成功体験を数多く経た人ほど、「成功法則」をいろいろなことに当てはめ、2匹目のドジョウを狙う、ということが増える。
私もかつていろいろな会社でこのようなシーンを見た。
例えば集客の方法である。少し考えただけでも、
「セミナーをやって集客する」
「webから集客する」
「DMをうって集客する」
「テレアポする」
「ポスティングする」
「紹介を誘引する」
など、様々な方法がある。
しかし、往々にして「あらゆる可能性を検討する」ということは放棄されがちである。
例えばある人が
「今回はセミナーではなく、DMの方が良いと思います。」
と言っても、会社内のベテランと言われる人が、
「今までの経験上、セミナーのほうが良い」といえば、さしたる検討もされず、それが採用されたりもする。
しかし、本当に「経験」は当てになるのだろうか。また、「法則」「しくみ」などは、意味のあるものなのだろうか。
こういった状況に対して、ある科学者が問題を提起している。すなわち、
「あらゆる問題で性能の良い汎用最適化戦略」は存在するのか?
という問いである。
ビジネスマンにとってもっとわかりやすく言えば、「様々な問題に効率よく対処できる、ビジネスの法則、というものはあるのだろうか?」という意味にとらえてもよい。
実は、これに対しては答えが提出されている。
「ノーフリーランチ定理」という定理だ。
この定理によれば、「そんな都合の良い法則はない。ケースバイケース」だというのだ。
”この定理は「あらゆる問題で性能の良い汎用最適化戦略は理論上不可能であり、ある戦略が他の戦略より性能がよいのは、現に解こうとしている特定の問題に対して特殊化(専門化)されている場合のみである」ということを立証している
工学者や最適化の専門家にとって、この定理は、問題領域の知識を可能な限り使用して最適化すべきだということを示しており、領域を限定して特殊な最適化ルーチンを作成すべきであることを示している。”(Wikipedia)
すなわち、「問題が発生した都度、ケースによってどのような解法を用いるか考えたほうがよい」と言っている。
成功法則に頼っても、思ったより成果が上がらない、ということはよくある。
そういうときは、「ノーフリーランチ定理」を思い出すとよい。解決策は、ケースバイケースなのだ。
(2024/4/21更新)
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