こんにちは。コワーキングスペース「Basis Point」の運営会社、Ascent Business Consulting代表の北村です。

 

最近「生産性」というキーワードを耳にすることがずいぶんと増えました。

 

そういえば、昔政府は、生産性向上特設サイトなるものまで作って、啓蒙活動をしていましたね。その効果が出ているのかもしれません。

キャッチコピーは「IT活用で生産性を向上させよう!」

これ、2004年のサイトなのですが、改めてこれを見て、面白いなーと思いました。

なんというか、「生産性向上」=「ITの活用」という図式が、「古さ」を感じさせるからです。

 

もちろん、テクノロジーの活用は重要です。使えるものは使ったほうがいい。

でも、あれから10年以上たった今、いい加減、ほとんどの人が気づいていると思います。

「生産性」は、テクノロジーの導入では上がらないと。

 

テクノロジーの活用は「手段」であって、目的ではありません。

しかも「転記がなくなった」「仕事を急いでやるようになった」「情報伝達が早くなった」という程度に留まる事が多く、生産性の本質にアプローチできていません。

 

実際、真の生産性向上は、「資源の効果的な活用」というもっと上位の概念です。

顧客の創造という目的を達するには、富を生むべき資源を活用しなければならない。資源を生産的に使用する必要がある。これが企業の管理的な機能である。この機能の経済的な側面が生産性である。

では、現代の企業にとって、最も重要な資源はなんでしょう。

言うまでもありません。それは「人材」です。

資本集約型産業に変わり、知識集約型産業が主流となった現在、人材こそが資源の王であり、企業が最も気をつかってマネジメントしなければならない対象であることは明白です。

 

そして、資源の王である人材が、

「もっと良いアイデアが出せるようになる」

「もっとチャレンジできるようになる」

「もっと広いつながりを持てる」

こういった環境をつくることこそ、生産性向上の根本となるものです。

もっと突っ込んで言えば、生産性向上とはつまり、人を活かすこと、つまり職場から「無能をなくす」ことにほかなりません。

 

どうすれば職場から「無能をなくす」ことができるか

そもそも、「無能」とはなんでしょう。

私の考え方からすると、企業における無能とは「人の能力の無さ」を指していうものではありません。

なぜなら、「高い能力を持つ人」は常に社会では少数派、わずかしかいないからです。

 

「高い能力を持つ人がいないので、会社がうまくいかないよ」という言説は、マネジメントの稚拙さの発露です。

むしろ「普通の能力しか持たない人」をうまく資源にできない企業にこそ、「無能」という呼び名がふさわしいのではないでしょうか。

逆に、環境と仕組みによって、あらゆる人材を貴重なリソースとできれば、非常に強力です。

 

例えば、ウチはコワーキングスペース事業を行っていますが、利用者のプロフィールを見ると、「起業家」や「フリーランス」といった人々が半数、残りの方は実は「会社員」の方々です。

 

ではなぜオフィスがあるはずの「会社員」の方々が、わざわざオフィスではなくコワーキングスペースを利用しているのでしょう?

 

実は、手前味噌で恐縮ですが、そうしたほうが生産性が上がるからです。事実、

・場所を変えて仕事をしたほうが、気分が変わって、やる気が出る

・社内の狭い会議室で商談するよりも、きれいな貸し会議室のほうが、効果的な営業ができる

・帰社する必要がなく、時間を有効に使える

という声が、数多く聞かれます。

皆様も「場所を変えると、やる気が出る」経験を、したことがあるのではないでしょうか。

 

私自身、起業する前は外資系のコンサルティングファームに勤務していましたが、その会社は「生産性の高い環境」を従業員に提供するのがとても上手な会社でした。

というのも、JRの主要駅には必ずサテライトオフィスが設置されており、どこで仕事をしても自由だったのです。

 

クライアントの近くで仕事をするもよし、お気に入りの店がある街のオフィスで仕事をするもよし、全ては「生産性向上」のためです。

「会社じゃ全くやる気がでないけど、サテライトオフィスでは仕事が捗るなあ」なんて人もいました。

 

余談ですが、ハリー・ポッターの作者である、J・K・ローリングは、ハリー・ポッターの最終巻を執筆している途中、「家では犬が吠えて、子供が騒ぐ」ので、気分を切り替えたくなり「思い切ったことをしたくなった」そうです。

 

彼女は5つ星ホテルのスイートを1日だけ借りて、執筆に取り掛かりました。

すると「滞在するつもりはなかった」ホテルでの執筆がたいへんはかどったので、何度も戻ってきて執筆をし、ついにそれを書き上げてしまったのです。

MITで博士号を取得したコンピュータ・サイエンス学者である、カル・ニューポートはそれを評して、こんな事を言っています。

環境を根本的に変えることで、努力や金銭のかなりな投入と相まって、すべてがディープ・ワークを後押しし、あなたはその仕事の重要性をいっそう自覚する。すると、怠け心が消え、やる気とエネルギーがわいてくる。

もちろん、「どんな状況でも、どんな環境でも、コンスタントに成果を出せます」というスーパーマンもいるかもしれません。

しかし、環境や仕組みを整えてあげれば、全ての労働者が卓越した成果を出すことができるようになる可能性があるのです。

 

「あいつはだめなやつだ」なんて、切り捨てる前に、ルールや環境の見直し、仕事の割当の見直しなどで、なんとか人材をうまく活用する方法を考えることも、経営者やマネジャーの重要な役割と考えますが、さて、いかがでしょうか。

 

 

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(Photo:Charleston’s TheDigitel)