最近、どうにもサーバーが重い。

ゲームがフリーズする。バグる。ラグい。

 

ステイホームの影響でゲーム人口が増えているからか、その頻度が増えているような気がする。

まぁ通常プレイできる範囲だし、たくさんの人が同じゲームを楽しんでいるのであればそれはそれでうれしいことだ。

……が、しかし。

レベルがまったくちがうプレイヤーが仲良く楽しく遊ぶというのは、案外むずかしい。

 

というわけで、やり込み勢のひとりであるわたしが、そうではないプレイヤーと楽しく遊ぶために心がけている3ヶ条を紹介したい。

ゲームにかぎらずどのジャンルでも起こりえる「にわか」と「通」の対立を避ける心得なので、ステイホームで趣味に没頭する時間が増えたいま、みなさんのお役に立てたらうれしい。

 

「にわか」と「通」はなかなか相入れない

ゲーム界では、「にわか」と似た言葉で、「ライト層」という言葉がある。

気が向いたときにそのゲームするだけでとくに詳しくないプレイヤーのことで、他のプレイヤーに迷惑をかけないために練習したり、強い武器を用意したり、他人の動画を見て勉強したりはしない。

そこまでして遊ぼうとは思わない。

だからこそ、「ライト(軽い)」層という。

 

一方やり込み勢は、毎日プレイするのはあたりまえ。

最新攻略情報に目を光らせ、タイムアタックや最高難易度設定での周回が日課、所持金やアイテム数、レベルをカンスト(=カウンターストップ、最大値になること)している人もいる。

まったくちがう遊び方をしているライト層とやり込み勢だが、ゲームによっては、オンライン上でマッチングしていっしょに遊ぶ場合がある。

 

そうすると生じるのが、ゲームに対する情熱や腕前の差による摩擦だ。

「対策してこない雑魚は消えろ」

「やばいプレイヤーがいたから晒すわ」

というやり込み勢に対し、「ガチすぎてうざい」とドン引きするライト層。そんなのもう、いやというほど見てきた。

 

そういった摩擦を避け、ライト層とも仲良くする「物分かりのいい先輩」でありたい。

というわけで、されて嫌だったことをもとに、わたしはこの3つに気をつけている。

 

新参者にとって「こうしないと認めてやらないぞ」が一番面倒くさい

新参者が一番うんざりするのはどんなときか?

それは、「俺に認めてもらいたきゃこの試験クリアしろよ」と勝手にハードルを設けられるときだ。

「その程度のレベルで」「それすら終わってないのに口出すな」というように、「一定基準を満たさないと相手にしてやらん」という人は案外多い。

 

意地悪のつもりはなくても、自分がやり込んでいるから、楽しさを知っているから、

「もっとやってはじめてわかることがあるから! とりあえずあと10回やってみて!」

「これをクリアできないとあとあと困るから練習したほうがいいよ!」

なんて言って、「俺試験に合格しろ」といわんばかりの態度を取ってしまうこともある。

 

ゲームの楽しみ方、楽しむペースは人それぞれで、私生活の都合だってある。

みんながみんな、同じ熱量でやっているわけではない。

 

そうはわかっていても、

「この作者を語りたいならこの順番にこのシリーズ読んでから!」とか、

「そのバンドが好き? ならまずは2年前のこのライブを見てからだね!」

とかって言っちゃうのだ。うっかり。

 

そういった何気ない一言が、新参者にとって「仲間入りするためのハードル」になり、「めんどくせー」となってしまうかもしれないのに。

というわけで、勝手なマイルールのハードルを設けず、「楽しくいっしょにゲームしよ!」と両腕を広げてウェルカム感全開にしている先輩でいたい。

 

親切を履き違えた「教授」はありがた迷惑

そして、これもまた多くの人(というかわたし)が悪気なしにやってしまうことなのだが、望まれていないのに正解を提示しないことも大事だ。

いやね、やっちゃうのよ、気づいたら。

 

「まずはこうして、次はこう。あ、それは無意味だから無視でいいよ」なんて言って、どんどんネタバレしちゃったり。

聞かれてもないのに、「このスキルはいらないよ。必殺技のときはこう逃げるといいよ」みたいに、勝手に知識を披露しちゃったり。

 

うっかりすると、

「あーでもそれってあんまり強くないんだよね(笑)」なんて言って、相手のモチベーションを下げてしまうことすらある。

 

だってクリアさせてあげたいから!

知らなくて失敗するのはかわいそうだから!

もっと強いものがあるって教えてあげたいから!

 

でもそれは、「よっしゃこの数学の問題を解くぞ!」と鉛筆を握った人に対して、「その問題はまずここを計算、そしたらこうなって、答えはこうだよ」と耳元でささやくような無粋な行為だ。

……とはわかっているし、自分がされたらイヤなんだけど、実際初心者といっしょになるとああだこうだと口を出したくなってしまう。

 

教えたくなってしまう。導いてあげたくなってしまう。

それはただの自己満足にすぎず、試行錯誤する楽しみを奪ってしまうだけだとわかっているのに……ッ!!

 

いくら親切心からだろうと、相手のためだろうと、聞かれたり相談されたりしないかぎり、正解を言ってはいけない。

親切を履き違えてはいけない。

 

「教えてくれてありがとう」と受け取ってくれる人もいる。

けど、そういう人はたいてい自分から「どうすればいい?」と聞いてくる。

 

そういう人にだけ教えるべきであって、そうでない人にああだこうだいうのはただの邪魔くさい指示にすぎない。

他人に迷惑をかけないためのマナーを伝えておくことは大切だし、安全に関わる情報は共有したほうがいいけれど、基本的には「試してみたらいいと思うよ!」と暖かい目で見守るべきなのだ。口出し厳禁!

 

「自分についてこい」で脱落する初心者がいると心得よ

「勝手にハードルを設けちゃいけない」「望まれてないのにゴチャゴチャ教えない」というふたつは結局のところ、「自分のやり方を強要すべきじゃない」という結論に至る。

「これくらいやらなきゃダメ」

「これはこうやらなきゃダメ」

こういうのは「自分のレベルや方法に合わせろ」という押し付けであり、「自分のほうが上だからそれについてこい」という自己満足だ。

 

ゲームなんて、自分に合ったレベルで、自分が楽しいと思う方法で遊べばいいのに。

それでもやり込んでいる側は、「もっとこっちへ来いよ」とばかりにグイグイ引っ張っていきがちだ。

同じ情熱を求め、同じだけのプレイ時間を期待し、同じようにハマることを望んでしまう。

 

「自分と同じ程度のことはやってあたりまえ」とクリアするまで練習することを要求したり、「自分についてこい」と本来なら行くべきでない不相応な難易度で連れ回したり。

でも本来、上級者が下級者に合わせるべきであって、逆を求めるべきじゃない。

上が下に合わせることはできるけど、下が上に合わせるのは容易ではないのだから。

 

いろんなレベルの人とオンラインで遊ぶのであれば、低いレベルの人に合わせること。自分勝手に自分と同じ熱量やプレイ時間を求めるのはご法度。

その自制ができないなら、うまい人とだけ遊ぶほうが、お互いのためだ。

 

趣味をみんなで楽しむため、新参者を歓迎する先輩でいたい

今回はわたしにとって身近なゲームの話として書いたけど、これはたぶん、どんなことにでも当てはまる。

 

登山に興味をもった人に、「まずはこの山を制覇するのが登竜門」と勝手にハードルを設けたり。

ギターをはじめた人に、「そのメーカーよりこっちがおすすめだよ」と自分の理想を押し付けたり。

いっしょに筋トレをするときに、相手に「これにも挑戦しよう!」と不相応なトレーニングを提案したり。

 

そう、だれしもがやってしまう。

先輩として、より知ってる側の人間として、悪気なく口を出してしまう。

でもそういうの、ほぼ確実に大きなお世話だから。

余計な一言だから。

ありがた迷惑だから。

 

失敗して、学んで、試して、そこではじめて自分の糧になる。

だから楽しいのだ。

先輩側は、「聞かれたら答える」。

それくらいがちょうどいい。

 

たとえ、「そのスキル絶対いらねぇよ……」と思っても。

たとえ、「なんでこのアイテム持ってこねぇんだよ……」と思っても。

たとえ、「そんなレベルじゃこれクリアできるわけねぇだろ……」と思っても。

 

それでも、「お前なんか仲間に入れてやらない、出直してこい」と言う先輩にはなりたくない。

新しく「こっちの世界」に来てくれた人たちの邪魔をせず歓迎する先輩でいたい。

 

日常生活のストレス発散こそ娯楽の真価なのに、そこでギスギスするのは本末転倒。

にわかも玄人も、それが好きならみんな仲間!

意図的に迷惑行為をする人は別だけど、その世界でくらいはみんなで仲良くやろうぜ!

 

 

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(2024/4/21更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

Twitter:amamiya9901

Photo by 田 菁 on Unsplash