どうもしんざきです。

いきなり関係ない話から始めて恐縮なのですが、昨今「オクトパストラベラー」というゲームに、私と長男二人でハマっておりまして、SFC時代ライクなRPGを目いっぱい楽しんでおります。ロマサガを思い起こさせる懐の広さが超楽しいです。

 

ただ、長男については、この手の「昔ながらの文法のRPG」というものが初体験だということもあり、

「家の中の宝箱勝手に開けても怒られないの…!?」とか、

「女の子なのにこんな重そうな剣とか鎧とか装備させていいの…!?」とか、

「テリオンが盗んでるの他の人は怒らないの…!?」とか、様々な若者の悩みに直面しているようです。

 

「あー、こういう風に考えたこと、昔あったあった」という感じで、子どもの頃の自分の感性を懐かしく思い出すのと同時に、ハンイットでその辺に立っている人に容赦なくリンデをけしかけているのが私です。純粋無垢だったころの自分に乾杯。

 

 

「お兄ちゃんなんだから」という言葉について考えてみます。

しんざきは次男坊でして、5歳違いの兄が一人います。五年という成長の懸隔はかなり大きなものでして、ゲームを含めて、私の趣味の大半は兄からの門前の小僧で始まっています。

 

その時代の経験をスタート地点として、「長男ってのはつくづく大変なもんだなあ」と、私は子どもの頃からずっと感じ続けています。

その端的な側面が、親から兄に対する「お兄ちゃんなんだから」という言葉です。

「お兄ちゃんなんだから」で、遊ぶ順番を待たされる。

「お兄ちゃんなんだから」で、様々な手伝いを優先して割り振られる。

「お兄ちゃんなんだから」で、親に甘えられない。

「お兄ちゃんなんだから」と言われる割に、叱られる内容は弟や妹と似たようなもの。

「お兄ちゃんなんだから」と言われる割に、妹や弟に対してあまり権威づけが明示されない。

 

つまり、「色々我慢させられる割に、ろくに特典も報酬もないし、大して偉そうな顔も出来ない」と。

勿論、これは次男である私の目からみたことであって、兄には兄の思いやプライドがあったのかも知れません。ただ、少なくとも私からは、「割を食うばかりで全然いいことがない」という状況のように見えることが多かった訳です。

 

これは決して私の兄だけの話ではなく、私が観測する限り、かなり多くの長男に共通する問題であるように思います。

 

長男に、長男としての役割を期待することは別に間違っていないと思うんですよ。

やはり、誰かが何かを我慢しなくてはいけない、誰かが何かのタスクをこなさないといけないとしたら、「まだ出来ない人」よりも「もう出来る人」にお願いした方が効率がいいわけです。

その点、数年という経験値によってレベルアップを経ている長男が、多少余計な役割を割り振られるのはまあ仕方ない。

 

問題なのは、「タスクを振られる割に、サポートも報酬も、チームメンバーに対する権威づけも十分でない」ということなんではないかと。

これ、仮に社会人に置き換えたとすると、

 

・特になんのフォローもサポートもなく「君、チームリーダーね」と言われて放り出される

・チームリーダーだからということで、後輩の指導やらその他のタスクやらをわんさか押し付けられる

・けれど後輩と給与や扱いは殆ど一緒

・後輩からは「この人本当に偉いのか?」というような目で見られる

 

カテジナさんおかしいですよ、という状況になるんじゃないかと想像するわけです。

 

 

しんざき家の話をします。

いつものことですが、家庭の事情、子どもの事情はそれぞれであって、しんざき家でやっていることを一般化するつもりはありませんので、その点ご了承ください。

 

しんざき家で双子の長女・次女が生まれたのは、長男が4歳の時です。

もうある程度大きくなっていた長男には、例えば赤ちゃん返りのようなイベントもありませんでしたし、「ぼくのいもうと!」とか「かわいいねえ」とか喜んで可愛がってもくれましたが、それでも「今まで独り占めしていた親の視線を三分割される」「色々な点で我慢しないといけないことも増える」ことが、長男のストレスになるだろうということは容易に予見出来ました。

 

妻の負担を軽減する為にも、長男に「お兄ちゃん」としての振る舞いをして欲しいところではあるのですが、それで長男が鬱屈するようなことにはしたくないなーと思ったのです。

 

要は、

・長男としての役割を期待する代わりに、親からのフォローもサポートもする

・長女・次女に対しても、きちんと「お兄ちゃんは偉いんだ」という明示をする

・長男としての役割を果たしてくれていたらきちんと褒める

・時には長男を特別扱いしてあげる

というようなことが実現出来れば、長男が理不尽な思いをすることも減るのではないかと。

 

そこで、長女次女が生まれて少し経った頃、しんざき家では「こどもリーダー」という制度を導入することにしました。

「長男くんはこどもリーダーだから、長女ちゃん次女ちゃんのお手本になってあげてね」と話して、「こどもリーダー任命証」まで作りました。そして、以下のような運用を始めました。

 

・何かをお願いしたり何かを我慢させるときには、「お兄ちゃんなんだから」ではなく、「こどもリーダーへの依頼」という形にする

・長女や次女にも、「お兄ちゃんはこどもリーダーなんだから、ちゃんと言うこと聞くんだよ」と言い聞かせる

・こどもリーダーとしての役割を果たしてくれた時には、長女や次女の見ている前で褒める

・長男を叱る際にも、長女や次女の前では叱らず、一対一の状態で叱る

・時々、長男をちょっとえこひいきしてあげる

 

子どもって元来「役割」とか「肩書」とかは大好きなんですよね。

職業人としての大人にあこがれる部分もあるようで、ちゃんと「仕事」としてこどもリーダーという肩書を設定することで、少しでも「長男の鬱屈」を払拭出来ないか工夫してみたんです。

 

特に、「長女や次女の前で長男を叱らない」っていうの、結構大事なんじゃないかなーと思うんですよ。

仕事でも、「人前でその人を叱責するべきではない」とかよく言いますよね。子どもたち3人という小さな社会の中でも、長男は一種の権威をもった立ち位置なのだから、その権威を傷つけるようなことはなるべくしたくないと思ったんです。

 

で、長男はいつも我慢を強いられる立場でもあるのだから、「こどもリーダーへの職務報酬」として、時にはちょっと特別扱いしてあげてもいいんじゃないかなーと。

しんざき家の場合、これには私方祖父祖母が非常に協力的に接してくれていまして、今現在「一人で祖父母のうちに泊まりに行ける」というのは長男だけの特権です。

 

祖父祖母は長男を大変可愛がってくれるので、長男としてもつやつやして帰ってくるわけです。また、PS2やswitchについても、長女次女がまだ小さいという事情はあるのですが、基本的には長男に優先権があります。

この「こどもリーダー制度」は、長男が11歳になった今でも継続しております。

 

上記のような運用が功を奏したのかどうか、現在のところ長男は凄くマメに長女次女の面倒を見てくれますし、「ぼくこどもリーダーだから」と、自分の役割に誇りをもってくれてもいるように見えます。

また、長女次女も割と素直に、「にいにはリーダー」ということを受け入れてくれているように見えます。

 

勿論、長男が「長男ならではの我慢」を強いられないかというとそんなことはないので、ストレスに感じている部分も当然あるのだと思いますが、ある程度軽減は出来ているのではないかなーと。

それが長男の自己肯定感の形成にプラスに働くのであれば、それに越したことはないなーと。

 

繰り返しになりますが、これは「しんざき家という環境で、今現在うまくいっているように思える施策」に過ぎません。これが一般的にどうなのかは私には分かりませんので、一般化するつもりもありません。

それでも、少なくともしんざき家の中では、引き続きこの「こどもリーダー」制度を運用し続けていこうと。

 

そんな風に思っているわけなんです。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)

 

【プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

(Photo:Pedro Ribeiro Simões