はじめまして。

『ゼロからわかるビジネスInstagram』‬を出版しました、朝山高至です。

 

https://www.amazon.co.jp/ゼロからわかるビジネスInstagram-結果につながるSNS時代のマーケティング戦略-朝山-高至/dp/4815608156

 

Instagramの日本のMAUは3300万人を超えており、ビジネスにとって顧客接点における最重要チャネルの1つになっています。

しかし、なかなか活用に踏み出せていなかったり、本来の目的を見失いフォロワーの数を増やすことだけを目標にしてしまったりするような事例も数多く見受けられます。

 

Instagramは今どのように使われているのか、企業はどのようにInstagramを活用すればいいのかをご説明します。

 

ヴィジュアル検索はInstagramに移行していく

Instagramというと、「インスタ映え」という言葉が流行ったこともあり、美しい部分を切り取って投稿する場所としてのイメージが強いかもしれません。

 

しかし現在のInstagramはそれだけはなく、使い方が非常に多様化しています。

代表的な使われ方の1つが、「検索エンジン」としての使用です。

検索エンジンの代名詞といえば「Google」ですが、、実はInstagramでの情報検索も一般的になってきています。

 

ジャストシステムの調査によると、ファッション情報においてはGoogleを超え、Instagramが最も主要な検索エンジンとなっています。

レジャースポットやグルメスポットの情報収集においても、2016年時の調査と比較すると割合が3倍に増加しています。
出典:ジャストシステム

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000384.000007597.html

 

また、Instagramの公式発表によると、日本はグローバル平均の約3倍もハッシュタグ検索回数が多い「Instagram検索大国」であることがわかっています。

出典:Instagramの最新情報

https://business.instagram.com/blog/how-to-connect-with-new-audiences-on-instagram?locale=ja_JP

 

さらに、米国では「baking recipes」のような複数のキーワードを打ち込んでGoogleのように検索できる「キーワード検索能」がリリースされています。

今までInstagramには「ハッシュタグ検索」「アカウント検索」「スポット検索」の限定的な検索機能しかありませんでした。

しかしこの機能によって、

・キャプションに特定の文字列が含まれる投稿

・特定の文字と関連性の高い画像

といった、より自由な検索ができるようになります。

 

米国においてもすべての検索ワードに対応しているわけではなく、 “baking recipes” のようないくつかのキーワードのみ対応しており、そこから “baking recipes desert” のように階層をドリルダウンして閲覧する仕様になっているようです。

今後はさらに自由な検索ができるようになる可能性が高いことが予想できます。このような高度なキーワード検索機能が日本にも実装されれば、ヴィジュアル検索はますますInstagramに移行していくでしょう。

 

EC化するInstagram

マージェリックによる10~30代女性を対象とした調査によると、調査対象の約7割が「Instagramの投稿を見て、商品を購入したり検索した経験を持つ 」と回答しています。

Instagramは「買い物の場」として定着してきていることがわかります。

出典:マージェリック
https://netshop.impress.co.jp/node/5059

 

機能やUIを見ても、InstagramがEC機能に本腰を入れていることがよくわかります。

例えば、ビジネスアカウントがECサイトと連携することで、ショップを無料で開設できる「Instagramショップ」の機能があります。投稿に商品のタグをつけることで、InstagramからECサイトにスムーズにユーザーを遷移させることも可能です。

また、以前は相手からのいいね!やコメントなどのアクティビティが表示されていたフッターのメニュータブが、現在は買い物専用タブに変更されています。ショッピング機能が強調され始めていることがわかるでしょう。

飲食店アカウント向けに、UberEatsなどのデリバリーサービスに遷移させるスタンプなども用意されました。

まだ日本ではリリースされていませんが、今後実装が期待されるEC系の機能もあります。

例えば、ライブ配信からそのままECサイトに遷移できるライブコマース機能。

ECサイトに遷移しなくても、Instagram上に登録した決済情報で、Instagram内で購買が完結する「チェックアウト機能」などです。

このように、InstagramのEC化が徐々に進んでいるのです。

 

Instagramのビジネス活用における鍵は「UGC」

※UGCは「User Generated Content」の略語で、ユーザーが生成したコンテンツを表します。

 

ここまで、Instagramの現在地や変化について見てきました。

企業はどのように、nstagramを活用して売上を伸ばしていけばいいのでしょうか?

 

Instagram活用というと、

・アカウントを運用してフォロワーを増やす

・Instagram広告を利用する

などを思い浮かべる方が多いかと思います。

 

こういった施策ももちろん重要ですが、Instagramをビジネスに活用するうえで、有効な方法はこれだけではありません。

同じ「ソーシャルメディア」でも、InstagramやTwitterは、YoutubeやLINEと大きく違うポイントがあります。

 

YouTubeでは、コンテンツを作って発信しているのは限られた少数のクリエイターであり、大多数のユーザーは発信をしないオーディエンスです。LINEは相互のやりとりが発生しますが、多くはプライベートなやり取りをするクローズドな空間です。

 

対してInstagramやTwitterは、多くのユーザーがオーディエンスであると同時に、パブリックな空間へ投稿をする「発信者」でもあるのです。

例えばInstagramでは、

・友だちが投稿した食品や飲み物の投稿を見て自分も買ってみる

・ハッシュタグ検索して出てきたコスメに詳しい人の投稿を参考にして購入する

といった、UGCを起点とした購買行動が起きています。

 

Instagramをビジネスに活用するばらば、世界に10億人以上いるInstagramユーザーひとりひとりの発信 = 「UGC」をいかに活用できるか? という観点が非常に重要になってきます。

 

Instagramにおける購買プロセスをまとめたのが「ウドサス(UDSSAS)」です。

1.UGC(ユーザー投稿 / アテンション)
ユーザー投稿、あるいは企業による投稿や広告が発生します。

2.Discover(発見)
UGCを顧客が発見します。フォローしているアカウントの投稿をタイムラインやストーリーズで発見することもあれば、発見タブおすすめやハッシュタグ検索結果で、フォローしていないアカウントからの投稿を発見することもあるでしょう。

3.Save(保存)
発見した投稿が気になったら、後で見返せるように保存をします。Instagramアプリの保存機能を使って保存したり、スマホのスクショでデータフォルダに保存しておいたり、友だちにDMでシェアして、DM上に保存したりします。

4.Search(詳細検索)
保存した情報を後から見返して、詳細な情報を取得するために検索をします。Googleで公式サイトを検索したり、TwitterやInstagramなどでクチコミ(UGC)を検索することもあります。例えば美容情報なら、特化型プラットフォームの「LIPS」や「@コスメ」などで検索することもあるでしょう。

5.Action(購入)
詳細情報を見て安心したり、関心を深めたりした後と、eコマースサイトで購入したり、実際の店舗に来店したりするなどの購買行動を起こします。

6.Share(共有)
購入した商品や体験について写真や動画を撮り、Instagram上でシェアします。それが、新たなUGCとなります。

 

UGCによって商品の認知を得ることができ、「UGCがUGCを呼ぶ」好循環が発生すると、最終的には企業による広告費の削減やアカウント運用工数の削減にもつながります。
いかに自社ブランドに関するInstagram上のUGCを、右肩上がりに増やしていけるか。それが、売上に直結する重要な指標になります。

 

初期のUGC発生を促すために、まずは発見タブおすすめやハッシュタグトップへの露出、Instagram広告、フォロワー基盤の構築など、1対nでInstagramユーザーに効率的にアテンションをしていくことがポイントです。

 

「カテゴリエントリポイント」を増やし、ブランド想起を強化する

ブランドのUGCを創出していく上では、投稿の量だけでなく、「どのようなUGCを増やすか」という観点も重要です。

UGCの切り口を考える上で鍵になるのが「カテゴリエントリポイント」です。

 

カテゴリエントリポイントとは、生活者がブランドについて思い出してくれる瞬間やカテゴリなどを指します。

いわば、ブランドを「思い出す入り口」のことです。選ばれるブランドになるためには、想起してもらえるカテゴリエントリポイントを増やして強化していく必要があるのです。

 

例えばソーセージのブランドであれば

・バーベキューの具材といえば

・お弁当に入れる具材といえば

・簡単に調理できてボリューミーな食材といえば

・ビールのおつまみなら

など、さまざまなタイミングでブランドを思い出してもらうようなイメージです。

 

どのカテゴリエントリポイントにおける想起を強化していくか? という戦略に基づいて、Instagram上でUGC投稿を促進する切り口を定め、

・投稿のヒントを与えるアカウントからの投稿内容や広告クリエイティブ

・キャンペーン企画内容

・候補にするハッシュタグ

・どのUGCをリポストするのか

といった運用やコミュニケーション方針に落とし込んでいきます。

 

施策を通じて、狙ったカテゴリにおけるUGCを発生させることができ、UGCによって注力したいカテゴリエントリポイントの想起を強化することができるのです。

 

Instagramをコマースの場として活用する

前述のように、今後Instagramが「買い物の場」として拡張されれば、「顧客が日常的にInstagramを使う中で気に入る商品と出会い、購入する場」として定着していく可能性があります。

 

企業としては、ECサイトへダイレクトに集客するチャネルとしてのInstagramの重要性が増していくでしょう。

そのためには、今からInstagram上で良質な顧客基盤を構築しておく必要があります。

 

アカウントをグロースさせるためのアルゴリズム理解や具体的な運用ポイントなどは『ゼロからわかるビジネスInstagram』でも紹介しています。

宜しければお手に取っていただき、ぜひご参考にしていただけますと幸いです。

 

 

【お知らせ】
弊社ティネクト(Books&Apps運営会社)が2024年3月18日に実施したウェビナー動画を配信中です
<ティネクトウェビナー>

【アーカイブ動画】ChatGPTを経営課題解決に活用した最新実践例をご紹介します

2024年3月18日実施したウェビナーのアーカイブ動画です(配信期限:2024年4月30日まで)

<セミナー内容>
1.ChatGPTって何に使えるの?
2.経営者から見たChatGPTの活用方法
3.CharGPTが変えたマーケティング現場の生々しい実例
4.ティネクトからのプレゼント
5.Q&A

【講師紹介】
楢原一雅(ティネクト取締役)
安達裕哉(同代表取締役)
倉増京平(同取締役)



ご希望の方は下記ページ内ウェビナーお申込みフォーム内で「YouTube動画視聴」をお選び頂きお申込みください。お申込み者にウェビナーを収録したYoutube限定動画URLをお送りいたします。
お申込み・詳細 こちらティネクウェビナーお申込みページをご覧ください

(2024/3/26更新)

 

 

【著者プロフィール】

株式会社ホットリンク

朝山高至

企業のInstagramマーケティング支援や、メソッド開発に従事。Instagram世代の購買行動プロセス「UDSSAS(ウドサス)」を提唱。

Twitter: @taasayan