久々の登場になります。
ひろすぎです。
突然ですが、皆さんはスマホ何使ってますか?
私は最近ずっとiPhoneを使っているんですが、どうもこうも電池がすぐなくなってしまって困ります。
「設定」>「バッテリー」から、電池の状態を調べることが出来るのですが、見ると何と80%。
この数字は新品時と比べた時のバッテリーの容量らしいのですが、調べてみると、85%を切ったら即交換をススメるとのこと。
慌てて、Apple Storeに行こうとするのですが、そもそも予約が取れません。また予約が取れたとしても、バッテリー交換にはなんと2週間もかかるといいます。
だから、スマホ、特にiPhoneのバッテリーを変える時にアップル正規店に行く人はどんどん減っているそうです。
(この現代において、バッテリー交換に即日渡し以外の選択肢があるのか…。)
そこで、私はgoogle先生に「iPhone バッテリー交換 東京…」などと打ち込み、そこで出てきた、東京のとある修理店に向かったのです。
そのお店は小さな雑居ビルにあり、お世辞にも「え、大丈夫かいな?」と思っちゃうようなサイズ。
店員さんは男性が1人。
私「iPhoneのバッテリーを交換したいんですが、今日中に戻りますか?」
店員「はい、もちろん。故障していないか等の状況にはよりますが、1時間くらいでOKですよ」
私「へー、で、2,000円かからないみたいな、びっくりするような説明が載ってたんですが、本当ですか?」
そこから、アップル正規店でのバッテリー価格(確か8,000円だった)の値段が説明され、紹介コード等を持っているかなどが確認される。
私(ふむふむ、で、何でそんなに安くなるんかいな?正規じゃないのを使うのかな?)
でも、予想していなかったのはそこからで、店員は2種類の価格を提示してきました。
店員「一つは、口コミ記載依頼の特別価格になります。googleに口コミを書いてもらえると助かります。」
価格は4,000円弱。
客側に選択権があり、強制でもないので、口コミ書くのはめんどくさいが、十分安い。
確かに、自分が調べた時も「時間が早かった」、「安かった」等の色々な感想が書かれていました。
しかしながら、飲食店ならまだしも、数年に1回行くか行かないかの修理店のページに、なぜここまで積極的に口コミが書かれているのか、疑問に思っていました。
しかし、それで終わりではありませんでした。
店員「もう一つは、様々なお試しコンテンツ登録付の超特別価格です。こちらはさらに安くなっております。」
具体例は割愛するものの、動画や漫画、セキュリティソフト等をいくつか入れると、安くしてもらえるようです。
店員「ダウンロード等の作業はすべてこちらで対応いたします。」
価格はなんと2,000円を切るとのこと。
うーむ。
値段は安くなり、追加で何かをやることもないので、結局私は後者を選びました。
また、追加でバッテリーを交換するため、中の耐水性が弱くならないようシートを貼ったり、約2,000円程度のオプションを付けました。
というか、正直言うと、安すぎてもう少しくらいはお金を落とそうと思ったのです。
私は、ログイン用コードを初期化し、端末を預けて1時間後再び戻ってきました。
ダウンロードされるコンテンツによっては、初月からお金のかかるものもあり、その分は今支払いから引きますとのこと。
で、3,500円程度の負担になっていたのですが、結局たったの950円の支払いで済んでしまいました。
もちろん、初月でコンテンツ費が引かれるので、負担としては3,500円のままではありますが……。
しかし、もし私がオプションを付けなかったら、▲1,000円。
試してはいないですが、もしかしたらキャッシュバックもあり得たということなのでしょうか???
*
振り返ってみると、まず、特別価格について。
修理してくれたユーザが口コミを書いてくれるため、googleのお店ページには口コミがどんどん増えます。
アップルストアで8000円の修理料金を払い、しかも2週間以上もどってこないという不満を解消してもらっているので、これくらいのことは協力する人も多いでしょう。
少なくとも私は、よいサービスだと思いました。
これにより、修理会社としては、広告費を抑えることができます。
通常であればかかるはずの顧客獲得のための費用も、もしかしたらこの価格引き下げの原資としてカウントされているのかもしれません。
そして、超特別価格について。
一般的に、使い始めてもらうためのコストは、使い続けてもらうためのコストより相対的に小さいことが多いので、これは、スマホ向けコンテンツを提供する企業が実質的に負担しているのでしょう。
どちらも良い手法であると思います。
この修理会社にとっては、スマホ修理自体は利益を出す必要がなく、材料費さえまかなえればいい。
実質的には、「アフィリエイトビジネス」として結構な利益をだせるのでしょう。
余談ですが、マーケティング上、価格は非常に重要な要素ですが、「値決め」は、一般人と起業家の間でも捉え方が大きく違うとおもいます。
一般人はストレートに「原価と販管費に利益を乗せて価格付けをする」と考える人が多いでしょう。
具体的に今回の例でいうと、バッテリーが8,000円であるならば、作業費を込めて10,000円程度かかるとするかもしれない。
で、人を呼ぶために、今なら3,000円キャッシュバック、とかキャンペーンを打つ。
一方、起業家は「相手に提供した価値から、価格付けをする」ことが身についている気がします。
そして、大切なのは、この「相手」というのは、最終顧客に限られないということです。
そして、顧客開拓についても仕組み化し、全てを自分でやらなくてもいいと考える。
今回の例でいうと、顧客開拓コストは相応にかかっているのかもしれませんが、それを複数社で按分してみたり、お客さんから直接収益を得るのではなく、別の企業の広告媒体としての価値を提供し、売れた分だけ(アフィリエイト型)の収入を得る、というビジネスモデルになっています。
つまり、見た目はB2Cですが、実態はB2Bビジネスをやっているのです。
最近は「使うための権利に値段がついている」サブスクリプションと呼ばれるサービス形態も増え、使っているサービスの価値と値段があっていないようなものも増えています。
それに比べれば今回の修理会社のケースはまだ分かりやすいビジネスモデルですが、客としての立場からみると、もはや受けているサービスそのものと値段が必ずしもリンクしない世界になっている気がします。
様々なサービスで、どうして安く提供できるのかに想いを向けてみるのも楽しいかもしれません。
もしかしたら、代わりに誰かがその費用を負担しているのかもしれない。
あるいは安い労働力で提供されている等、何か安くなるための理由があるのかもしれない。
そんなことを思った土曜日の午後でした。
(2025/6/16更新)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第4回目のお知らせ。
<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第4回テーマ 地方創生×教育
2025年ティネクトでは地方創生に関する話題提供を目的として、トークイベントを定期的に開催しています。
地方創生に関心のある企業や個人を対象に、実際の成功事例を深掘りし、地方創生の可能性や具体的なプロセスを語る番組。リスナーが自身の事業や取り組みに活かせるヒントを提供します。
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【ゲスト】
森山正明(もりやま まさあき)
東京都府中市出身、中央大学文学部国史学科卒業。大学生の娘と息子をもつ二児の父。大学卒業後バックパッカーとして世界各地を巡り、その後、北京・香港・シンガポールにて20年間にわたり教育事業に携わる。シンガポールでは約3,000人規模の教育コミュニティを運営。
帰国後は東京、京都を経て、現在は北海道の小規模自治体に在住。2024年7月より同自治体の教育委員会で地域プロジェクトマネージャーを務め、2025年4月からは主幹兼指導主事として教育行政のマネジメントを担当。小規模自治体ならではの特性を活かし、日本の未来教育を見据えた挑戦を続けている。
教育活動家として日本各地の地域コミュニティとも幅広く連携。写真家、動画クリエイター、ライター、ドローンパイロット、ラジオパーソナリティなど多彩な顔を持つ。X(旧Twitter)のフォロワーは約24,000人、Google Mapsローカルガイドレベル10(投稿写真の総ビュー数は7億回以上)。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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【著者プロフィール】
著者:ひろすぎ
30代、都内勤務の兼業投資家。
どうやったら普通の人がお金に困らない暮らしをできるかを模索し、自ら実験する日々。株、不動産をはじめ、いくつかの事業を展開。趣味はお散歩とお酒、旅行です。
(Photo:Toshiyuki IMAI)