「Civilization4」通称civ4というゲームがあります。

ご存知ない方であっても、昔からシミュレーションゲームに興味をお持ちの方であれば、「シヴィライゼーション」というタイトルを聞いたことはあるのではないかと思います。

 

「太古の時代から現代にいたるまで、様々な文明と切磋琢磨しながら自分の文明を育てる」というのがテーマのゲームで、特にその「4」は名作中の名作。

2006年の発売以来、全世界で150万人以上のゲーマーの睡眠時間を削りに削りまくっており、2016年の今に至っても、多くのファンが自分の文明に時間リソースを注ぎ続けています。(私とか)

 

civ4において、プレイヤーは「カルタゴのハンニバル」や「イギリスのエリザベス」「日本の徳川家康」といった、数々の文明・指導者の中から一人を選びます。そして、自分の文明を育てつつ、時には他の文明と取引をしたり、他の文明に戦いをしかけたり、あるいは他の文明から突如殴り掛かられたりします。

webには「ガンジーでも助走つけて殴るレベル」ということわざがありますが、このゲームだと割と普通に観測できる状況です。

 

 

最近、この「civ4」を遊んだ記録をプレイレポート形式で2本程書いてみましたので、興味がある方は以下を読んでみてください。難易度天帝(一番難しい難易度)で32回負けた後ようやく1回勝てました。

 

civ4プレイレポート「ハンニバル先生と目指す皇帝卒業」まとめページ

【civ4 プレイレポ】オラニエ先生と目指す天帝初勝利 まとめページ

 

このciv4、システムの懐が非常に広く、かつ高難易度では極めてシビアなプレイを要求される為、様々な面でプレイヤーに示唆的な教訓を与えてくれます。そのリアリティは、実生活、実際の生存戦略にも有用なのではないか、と思わず記事を書いてしまいそうな程です。

 

本エントリーでは、その「civ4」から学べる教訓を、幾つかピックアップして紹介してみる振りをしつつ、みなさんをciv4沼に引きずりこみたいと思います。

 

・技術は積み重ねだが、積み重ねのルートは一つではなく、「適したルート」を選ぶことは非常に重要である
・往々にして重要なのは「選択」と「リソースの集中」であり、しかもただ集中するだけではなく、「その後」まで考えないといけない
・外交で一番重要なのは、「一番の友人になること」ではなく「一番の敵にならないこと」である

 

順番に行きます。

 

技術は積み重ねだが、積み重ねのルートは一つではなく、「適したルート」を選ぶことは非常に重要である

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civ4で一番重要なのは「技術の研究・発明」です。

civ4には、例えば「車輪」の技術であるとか、「筆記」「鉄器」「法律」といった古代のものから、「自由主義」「民主主義」といった比較的最近の思想、「飛行機」「ロケット工学」といった近現代のものまで、様々な技術があります。各文明は、こういった技術を研究していくことによって、徐々に文明としての力をつけていくことになります。

それぞれの技術には「前提となる技術」というものがあり、前提となる技術無しに新しい技術を研究することは出来ません。

「封建制」を研究するには筆記と君主政治が必要だし、銀行制度を研究する為にはギルド制と通貨の技術が必要、といった具合です。非常にリアルなシステムだと思います。

civ4の面白いところは、この「前提となる技術」にも様々なルート、様々な解釈があり、複数のルートを選ぶことが出来る、ということです。

 

例えば、「音楽」を研究する時「数学」は必須の技術なのですが、その上で「文学」から研究するルートと「演劇」から研究するルートがあります。

「ロケット工学」を研究する時、物理学は必須なのですが、その上で「長距離砲」と「飛行機」二つの前提のどちらからでも研究することが出来ます。「火薬」の技術は、「教育」「ギルド」どちらの技術からも開発することが出来ます。

その時々に持っている技術、自分が取ろうとしている戦略によって、「目的の技術を手に入れる最適なルート」は変わってきます。この「ルート選び」というのがciv4のコアの一つであり、「いかに効率的に目的を達成するか?」という思考法も身につけさせてくれる、という訳なのです。

 

個人的には、「長距離砲」「飛行機」どちらからでもロケット工学に分岐し得る、というのが、史実も踏まえた中で非常に面白い解釈だと思っており、私がcivの思想に感服する一つの理由になっています。

 

往々にして重要なのは「選択」と「リソースの集中」であり、しかもただ集中するだけではなく、「その後」まで考えないといけない

特に「皇帝」「不死」「天帝」といった高難易度において、civ4のCPUは血も涙も情け容赦もない恐ろしいパフォーマンスを発揮します。

特にその技術研究速度には恐ろしいものがあり、プレイヤーが「青銅器」「畜産」といったごくごく初期の技術を研究している間に、既に「法律」「哲学」といった一段階上の技術を研究している、などということは日常茶飯事。

場合によっては、プレイヤー文明がまだ火薬の研究をしているのに、CPUは既にロケット工学の研究を始めていました、などという恐ろしいことも起こり得ます。

 

現実と同じく、civ4における他文明との争いは、技術優位を持った方が圧倒的に優位になります。鉄器を使用したヒッタイトがペルシャを征服したように、文明の力は身に着けている技術で決まるのです。

では、高難度のCPUに対し、プレイヤーは抗する術がないのでしょうか?そんなことはありません。CPUは、多くの場合、様々な技術をまんべんなく研究していく傾向があります。それに対してプレイヤーは、文明のリソースを徹底的に集中し、とがった技術ルートに突っ込むことによって、一時的にでもCPUの圧倒的な研究速度を凌ぐことが出来、その一時的な優位によってCPUの牙城に風穴を開けることが出来ます。

 

重要なのは、この「一時的な優位が出来た瞬間」をどう生かすか、ということ。例えば、他の全てを捨てて「鋼鉄」という技術をまっしぐらに目指した場合、プレイヤーは素早く「カノン」という兵器を大量生産して、cpuを飲み込むことによって、以降の研究力をCPUと伍するものにすることが出来る。つまり、「リソースの集中によってできた優位」だけではなく、「その後の利益」を確保することが求められるわけです。

どうリソースを集中して、それによってできた優位をどう「その後」に生かすか。そういった部分を考えるのも、civ4をプレイする上での重要なポイントになっています。

 

外交で一番重要なのは、「一番の友人になること」ではなく「一番の敵にならないこと」である

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これは結構示唆的だと思うのですが。

civ4では、特に高難易度プレイにおいて「外交」が非常に重要になります。CPUは非常に強く、こちらの準備が出来ていない状態で喧嘩を吹っ掛けられてしまうと、かなりの確率で文明は壊滅的な被害を受けてしまいますし、そうでなくても技術競争に落伍してしまう可能性が非常に高くなります。

その為プレイヤーは、CPUに喧嘩を吹っ掛けられないよう腐心する必要があるのです。

 

CPUのご機嫌をとる方法は、例えばまだ知られていない技術を提供するとか、CPUと同じ宗教を国教にするとか、資源の交易を長い期間行うとか色々ある訳なのですが。

実は、戦争を回避する為に一番効率的なのは、「そいつと仲良くなる」ことよりも、「そいつに、自分以上に嫌いな他の相手を作らせる」ことだったりします。

 

CPUが宣戦する条件は幾つかあるのですが、一番の基準は「自分が一番キライな相手と戦いにいく」ことです。そして、CPUも一度に二人以上の相手に喧嘩を売ったりはしません。

CPUと仲良くする為には結構コストがかかりして、どちらかというと「CPUの悪感情を自分以外の相手に向ける」ことの方が手間やコストがかかりませんし、戦争回避にも有用だったりするわけなんです。

一番の友人になる必要はない。だが、一番の敵になってはいけない。

生き残る為に、結構示唆的な教訓だったりするかも知れません。

 

ということで、長々と書いて参りましたが、私が言いたいことは

 

civ4は超面白いゲームなので、まだやったことがない人はすぐSteamあたりで購入して私と一緒に睡眠不足になりましょう面白さは保証しますマジで

 

ということだけであり、他に言いたいことは特にない、ということを最後に申し添えておきます。

今日書きたいことはこれくらい。

 

 

【プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて
書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城