転職は、転職するだけではなく、その後活躍して、本当に転職が成功したといえるだろう。これは多くの方の賛同が得られるところだと思う。
そして、現職で活躍/イマイチ と、転職先で活躍/イマイチ を軸として、人の能力を4つに分類できる。
もちろん、現職でも転職先でも活躍する人がいる一方で、現職でも転職先でもパッとしない人がいる。彼らは真に有能、または力不足の人たちだ。
また、「転職して環境が変わったら、花開いた」という転職で成功する人もいる。彼らは「所を得れば活躍できる」人たちだ。
だが、問題なのは「前職ではあんなに活躍してたのに、転職したらパッとしないね」という人たちだ。それなりの職歴を持ち、成功もしてきた。新しい職場では期待もされていた。だが、結果が出せない、という人たちだ。
上の図では、右下の「?」に当たる人たちだ。
こういった人たちは実は本当にたくさんいる。最近ではYahooのCEOであるマリッサ・メイヤーが鳴り物入りでGoogleから移籍したにも関わらず、全く結果を出せてない。
私の知る範囲でも、転職前は会社の役員クラスで有能さを発揮していたが、転職先では全く活躍できず、ついには解雇されてしまった人物がいる。
彼は「結局、オーナーの古いやり方に縛られて、自分は何もできなかった。」と言っていた。
なぜこう言ったことが起きるのだろうか。理由としてよく言われるのは「社内でしか通用しないスキルしか身についていない」というものだ。
だが、私はそれに賛同できない。マリッサ・メイヤーが社内でしか通用しないスキルしか持っていないとは思えないし、件の役員も同じだ。彼らは皆、高いスキルとコミュニケーション能力を持ち、成功するための能力も持っていた。
だが、結果が出せない。私はそれが不思議だった。これはおそらく、スキルの問題ではない。
しかし、私は転職者たちに話を聞いていくうちに、1つ、彼らの奇妙な共通点を見つけた。それは「彼らが皆、転職先の人たちのことを「頭が固い」「柔軟性がない」と言っていることだ」
「頭が固いんだよね」
「やり方が古いんだよね」
「全然自由にやらせてもらえない」
「社風が合わないんだよ」
そう言った言葉を何度となく聞かされた。
しかし、それを逆の目線で見たらどうだろう。もし彼らが「頭が固く、頑固で、自分のやり方に固執する」人たちだったら……。
成功体験に縛られ、「自分のやり方こそ、世界一」と思い込んでいる人たちだったら……。一度成功しているだけに、余計たちが悪いのではないだろうか。
私は、次のエピソードを思い出した。あのピーター・ドラッカーが若かりし頃、上司から怒られるエピソードだ。※1
年配の創立者が私を部屋に呼びつけて、こう言った。
「君が入社してきた時はあまり評価していなかったし、今もそれは変わらない。しかし君は、思っていたよりも、はるかに駄目だ。あきれるほどだ」。二人のシニアパートナーに毎日のように褒められていた私は、あっけにとられた。
その人はこう言った。「保険会社の所見アナリストとしてよくやっていたことは聞いている。しかし、証券アナリストをやりたいのなら、そのまま保険会社にいればよかったではないか。今君は、補佐役だ。ところが相も変わらずやっているのは証券アナリストの仕事だ。今の仕事で成果をあげるには、一体何をしなければならないと思っているのか。」
私は相当頭に血が上った。しかし、その人の言うことが正しいことは認めざるをえなかった。そこで私は、仕事の内容も、仕事の仕方も、すっかり変えた。
この時以来、私は新しい仕事を始めるたびに、「新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないか」を自問している。
もちろん答えは、そのたびに違ったものになっている。
※1
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実際の所、転職先ではあなたは「異物」だ。社員は無意識のうちに体の免疫機能がウイルスや最近を排除するように、あなたを排除しようとする。
だが「異物」が良い働きをするときもある。ウイルスに感染した細胞が突然変異を起こすことがあるように、あなたが持ち込んだ外部のDNAが既存のDNAと出会うことにより、突如として有利な形質を獲得することもある。
だが、それにはある程度の時間と、「真正面から戦わず、うまく融合する」という努力がお互いに必要だ。
今まで成功した来た人にとって、新天地は良いことばかりとは限らない。古臭く、非効率が目につくこともあるだろう。
だが、転職先の会社はあなたが持っている「正解」を求めているわけではない。実際には「あなたが持っている経験を元に、我々に合うやり方を一緒に考えて欲しい」と思っているのだ。
それを理解しているかどうかが「真に有能」と「あの会社でだけ有能」を分かつのだ。
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