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ときに広報活動は「社内」を向くこともある。
配信日:2017/7/20
さて、今回は「ソリマチ株式会社」の企業広報、
“元高校野球の女子マネージャーが語る、ソフトウェアのカスタマーサポートの面白さ“
という記事について、考察します。
いいね!数は約180、ビューは2400程度と、ビュー数だけを見れば平凡な記事です。
しかし、それにもかかわらずこの広報記事は「成功」と目されています。
なぜでしょうか。
それはこの記事が、「社内」でかなりの支持を集めたからです。
実は、広報活動の目的は、大別すると3つに分けることができます。
1.対外的に、商品を広報するもの
2.対外的に、自社そのものを広報するもの
3.社内向けに広報をするもの
通常、広報活動というと、1、もしくは2をイメージする人が多いでしょう。
そのほうが「費用対効果」を明確にしやすいからです。
これくらいの費用をかけたから、この程度のページビューを集めて、このくらいの問い合わせが……
と算段できるのは、対外的な広報の特徴です。
とくに1、は「広告」と「広報」の差があまりなく、短期的な成果に対して取り組むものが多いでしょう。
それに対して2、はやや長期的な目線を持ちます。
会社そのものを広報することは、「商品に対する購買意欲」ではなく、「会社のファン」をつくる活動だからです。
このような活動は、「このくらいの費用をかけたから、この程度の見返りがある」ということ、それほど簡単に証明することができません。
しかし、世の中には大なり小なり、似たような商品が数多くあります。
似たような商品を比べた場合、最終的な決定の要因となるのは、「ブランド」や「好感度」といった曖昧なものになります。
それを醸成するための広報活動は、必ずしも無駄な投資とはいえません。
そして3、です。
これは更に「短期的な売上」とは無縁のものです。
「なぜ自社の従業員にマーケティングを仕掛ける必要があるのか」と、不思議に思う方も多いでしょう。
実は、従業員向けに広報活動を行うことの最大のメリットは、「社員教育」の一環として使うことができることです。
例えば、殆どの会社で「経営理念」「会社方針」などの周知徹底が重要視されていますが、実際にその方針が周知徹底されているか、と言えばそうではないでしょう。
それは「経営理念」が単なる条文やお題目など、の「死んだ情報」となっているからです。
経営理念が真に理解されるのは、「こんなシーンで従業員がどのように行動したか」や、「どのように考えてサービスを作ったか」といった、
実際の行動と理念がリンクするようなエピソードがあったときです。
例えば、テレビで企業の商品開発のドキュメンタリーを放送することがありますが、
それは、「生きた情報」なので、人々の間によく記憶され、理解されます。
ですから、一般的に「外部の人が読んでもあまり面白くない情報」であっても、「内部の社員が読めば、深く感動する物語」が
会社のあちこちに存在する可能性があります。
そのストーリーを引っ張り出して、物語にし、社員に読んでもらうこと。
これは一つの「広報活動」と呼べるのではないでしょうか。
ソリマチ株式会社のケースでは、「コールセンター業務」と、それに従事する女性の仕事と人生が語られており、「面白かった」「感激した」と、社内で大変評判になりました。
これは、経営者にとって最も困難な仕事の一つ、「良い社風の形成」に大きく寄与することと思います。
(了)
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