P2P保険では、SNS上で共済グループをつくり、グループ単位で保険に加入する仕組みになっている。

SNSは、膨大な利用人口、多様な情報の発信と受信、人間関係の構築・維持にも関わる、ポテンシャルの高いプラットフォームである。

 

本記事では、国内外の調査結果を基にSNS利用の実態を明らかにし、SNSマーケティングのポイントに触れながら、SNSがビジネスにもたらすポテンシャルについて考える。

 

世界のSNS利用状況

SNSはどの程度利用されているのだろうか。まず、世界全体の状況をみてみよう。

 

SNS利用者は42億人で、そのうちモバイルフォン(スマホ)からアクセスしている人は利用者の98.8%にあたる41億5千万人、利用率は世界人口の53.6%、前年からの上昇率は13.2%で、利用者は年々増加している。

 

日本の利用状況

次に日本の利用状況をみていく。

 

日本の利用率と時間

日本の利用率は以下の通り。

 

2020年には全体平均で73.8%であるが、20代は90.4%、13~19歳86.1%、30代86.0%と、特に若い世代での利用率が高く、20代をピークとして年代が下がるほど利用率が低下している。

もうひとつの特徴は、前年の2019年と比べてどの世代も利用率が上昇しているということである。

 

次に、利用時間でも、10代と20代が平日・休日を問わず、他の世代に比べてSNSの利用時間が大幅に長く、コミュニケーション系メディアの中でSNSが主要な位置を占めていることが調査結果からわかっている。

また、20代をピークとして年代が下がるほど利用時間が短い。

 

SNSに関するリテラシー

上述の利用状況から、SNSをビジネスに活用する場合、若年層ユーザーが重要なターゲットになり得ることが窺われるが、情報リテラシーに関してはどうだろうか。

SNS利用に関するリテラシーのうち、個人情報・プライバシー情報保護に関するものと、フェイクニースや偽情報にまどわされずに情報の真偽を判断するリテラシーの2つにフォーカスした調査がある。

 

SNS利用に関する情報リテラシーを高、中、低に分類し、年代別に見てみよう。

 

「高」の割合をみると、最も高いのは20代の43.5%で、年齢が上がるにつれて低下している。

一方、「低」の割合が最も高いのは60歳以上の49.5%で、年齢が上がるほどその割合が高い。

 

以上のことから、SNS利用に関しては、利用率も利用時間もリテラシーにおいても、20代が突出したユーザーであることがわかる。

 

利用サービス・アプリ

一口にSNSといっても様々なサービスがあり、その利用目的も多様だ。

 

日本における利用サービス・アプリ

利用目的を調べた調査によると、2020年の上位3項目は、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」(89.2%)、「知りたいことについて情報を探すため」(62.1%)、「ひまつぶしのため」(35.3%)となっている。

こうした目的意識は、利用アプリとどう関連しているのだろうか。

SNS系の11のサービス・アプリの利用状況を見てみよう。

 

最も利用率が高いのはLINEで全年代で90%を超えている。

ユーザー同士の交流やコミュニケーションを主な目的とするサービスにフォーカスして全年代の利用率を見ると、TwitterとInstagramが 42.3%、Facebookが31.9%となっている。

この中でTwitterは、10代と20 代の利用率が高い。

 

FacebookとInstagramを比較すると、10代と20代ではInstagramの利用率の方が際立って高いのが目につく。

TikTokは10 代の利用者が特に多い。

動画共有系では、YouTubeの利用率が高く、10代から40代までの世代で90%を超える。

 

閲覧の対象者

2018年に発表された調査結果から、SNSの種類によって閲覧の対象者が異なることがわかっている。

 

Facebook や LINE は友人の書き込みを閲覧する割合が高い。

一方、Twitter や Instagram、ブログ、情報レビュー共有サイト、掲示板では、連絡を取り合わない相手や有名人の書き込みを閲覧している割合が高い。

 

世界における利用サービス・アプリ

次に、世界に目を向けてみよう。

利用目的をみると、30%を超えているのは「ニュースや最近のイベントをアップデートすること」(36.5%)「面白いコンテンツを探すため」(35.0%)「ひまつぶし」(34.4%)「友だちの近況を知るため」(33.0%)となっており、パーセンテージは異なるものの、目的自体は日本と似ている。

 

では、利用サービスやアプリはどうだろうか。

 

最も利用者が多いのは、日本では利用が減りつつあるFacebook、次いでYouTube、日本ではあまりなじみのないWhatsApp(LINEに似たメッセージングアプリ)、FB Messenger、Instagramがそれに続く。

日本では利用者が多いLINEはランク外だ。

日本で多くのユーザーが利用するアプリと世界全体の利用者が多いアプリとは必ずしも一致しないのだ。

 

また、SNSサービスの利用状況をアメリカ、イギリス、ドイツと比較した意識調査によると、これらの3国と日本でのユーザーでは利用する際の積極性にも違いがみられた。

 

同じサービス・アプリであっても、他の3国のユーザーが積極的に情報発信をするために利用している割合が高かった一方で、日本のユーザーが積極的に発信しているのはLINEのみであった。

他のサービスに関しては「ほとんど情報発信や発言せず、他人の書き込みや発言等の閲覧しか行わない」と回答する利用者の割合が、書き込みなどを行う利用者よりも多いという特徴がみられたのである。

 

このように、同じサービス・アプリを利用していても地域によって異なる側面があることは、SNSをビジネスに活用する際には大切なポイントになる可能性がある。

 

SNSがビジネスにもたらすポテンシャル

現在、SNSはビジネスにおいても必要不可欠なツールとなっている。

ここではSNSマーケティングについて、そのポイントと事例、最新トレンドを紹介する。

 

SNSを活用したグローバルなマーケティング戦略

Simon Kemp氏は、ユニリーバ、グーグル、コカコーラ、ネスレなど多くの成功企業のマーケティング戦略策定に関わってきた、高名なマーケティングコンサルタントである。

彼はSNSマーケティングについて次のような指摘をしている。

 

マーケターがどのプラットフォームを使用するかを考えるとき、重要なポイントは、すべてのプラットフォームを活用する必要はないという点だ。

なぜなら、SNSのユーザーは複数のプラットフォームを重複して利用しているからである。

 

代表的なSNSのプラットフォームを利用しているユーザーはほぼ100%、他のプラットフォームも利用していることがわかる。

 

こうした重複から、そのプラットフォームを活用するだけで少なくとも月間ユーザーが10億人を超えるプラットフォームが6つあり、少なくとも3億人を超えるプラットフォームが17ある。

 

ただし、このことは、大きなプラットフォームのみに焦点を当てるべきだという意味ではない。

マーケターは、よりニッチなプラットフォームの活用にも目を向けるべきである。そのことが、多くの選択肢を産む。

 

これまでの調査から、ユーザーがプラットフォームを利用する際の頻度やエンゲージメント(愛着心)は多様であることがわかっている。

したがって、SNSを活用する際には、プラットフォームのユーザー数より以下について考えることが重要だ。

 

● 誰と関わりたいか?

● なぜ彼らはSNSを使用しているのだろうか?

● どのプラットフォームが彼らの動機に最も関連するだろうか?

● これらのチャネルを使用して、希望する結果を達成するにはどうすれば いいか?

 

ユーザーの動機とプラットフォームの選択は、地域によって大きく異なる。最新のデータから、人々の行動や好みは地域によってかなり異なることが明確になっている。

世界中のユーザーの間で人気があるプラットフォームがあるが、人々がそれらのプラットフォームを利用する方法は、多くの場合、地域間で異なっている。

 

したがって、マーケターは特定のユーザーを理解するために、現地の最新の報告書や研究結果を把握する必要がある。

 

そう考えると、先ほどみた、日本ユーザーに特有の特徴も、重要なポイントになる可能性があるだろう。

 

おわりに

本記事では、国内外の調査結果からSNS利用の様々な実態を明らかにし、SNSマーケティングのポイントを紹介した。

 

今後、プラットフォームが提供するサービスはより多様になり、利便性も増していくだろう。そうした機能をどう活用して、ターゲットとするユーザーにどうアクセスし、なにを実現するか―SNSがビジネスにもたらすポテンシャルは今後ますますその重要度を増していくだろう。

 

(本記事はFrichオフィシャルブログからの転載です)

 

 

 

【参照・出典元】

Datareportal(2021)Simon Kenp “Digital 2021:Global Overview Report”(2021年1月27日)

総務省(2021)「令和3年版 情報通信白書

総務省(2021)「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

総務省(2021)「令和2年度通信利用動向調査の結果 概要

総務省(2018)「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究

総務省(2018)「平成30年版 情報通信白書

 

 

【著者プロフィール】

Frich(フリッチ)は、P2P互助プラットフォームを提供するインシュアテックスタートアップです。

市場規模が小さいなどの理由で成立しなかった「ニッチなほけん」を開発しています。

https://frich.jp/ 

https://frich.co.jp/

Photo by Adem AY