あのー、小学二年生の息子がいるんですけど。
せっかく将棋会館がある大阪に住んでるんだしってことで息子は1年ほど前から福島にある大阪将棋会館に通い始め、今は新設された高槻市の将棋会館に時たま通っています。
で、実際のところ息子に将棋の才能があるかどうかでいうと全然限りなく怪しいんですよ、明らかなヘボ将棋打ってます。でもやっぱ数をこなすうちに少しずつうまくなっていく。
おまけに父親である僕もヘボ将棋しかできません、そもそも人生の中でそんなやってないし。小学生の時にクラスの中に囲いの概念知ってるやつ誰一人いないなかで謎の将棋ブームが起こっちゃって僕も囲いとか何も勉強してないけどなんかクラスの中では勝てるから調子に乗っちゃって、地域の将棋大会出てみようかなって出向いてみたら年下にボコボコに負かされて泣いて帰るみたいな。そこから長らく将棋もうええわーてなってしばらく経って、ドワンゴがニコニコでイベントをやったりだとか頑張り出してるのを見るようになってから「将棋強い人かっけー!」て見る将になって、どうせ見る将やるなら自分ももう一回将棋やってみようかなみたいなノリで始めて、そんなに強くはならないどこに出しても胸を張って恥ずかしいと言えるヘボ将棋しかできないズブの素人です。
でもヘボ将棋でも勝った負けたで一喜一憂できるから将棋って楽しいよね。
そんないい加減な父親と日々将棋を指してる息子もまぁ気の毒なもんですが、それでもやっぱ類稀なる将棋の才能に恵まれてるわけでもない幼い息子は別に将棋に何の思い入れもない父親にすらまだまだなかなか勝てないわけです。で、勝てないと泣くわけです、感想戦やろうぜと言っても「嫌だ!自分の悪手を確認するの嫌だ!」て感じで。
それを僕は「はー、振り返りのひとつもできないやつは何やってもダメ!成長する気がないやつは将来なりたいものにはなれません!宇宙飛行士にも科学者にもなれません!」と煽るわけなんですけど、これはまあ客観的に見て最悪な父親なんですけど、我が家は子を徹底的に肯定・尊重する母親と、そんな母親とは違って社会そのものと同様に好き勝手思ったことを言うてくる父親でいこうという方針なのでそこんところはすいません。いや、謝ることではないんですが、世間様のことはわかりませんが、うちはアメとムチの役割分担をカッチリやらせてもろてます。
で、話はめっちゃ飛ぶんですけど、SNSでよくある話題で「体育の授業が嫌だった」みたいなんよく出てくるじゃないですか。
僕も全く運動ができないタイプで、逆上がりできないし、泳げないし、野球のフライは取れないし、本当にどうしようもない運動音痴なんですけど、なぜか中学では体育の先生に気に入られてて。運動できないキャラとしてフューチャーされてたんすよね、おかしな時代ですね、いじめじゃん。なんかマット運動とか跳び箱の時に、模範演技とか名指しされてましたよ。「じゃあズイショ、みんなの前でお手本やってみろ!」みたいな。当然、頑張るけどできないんすよ。で、みんなでわっはっはーみたいな、アレはね、本当に平成の悪い笑いだったなってのは間違いなくある。僕は僕でそういう時は一生懸命成功に向けて頑張るけど、どうせできないだろうから失敗した時の面白コメントは考えたりしてました。ズイショに模範演技を任せておけば失敗した後のコメントまで込みでアイスブレイクみたいな。それで成立しちゃってたんで、僕は僕でそういう悪しき風習に加担していたのかもしれません。ほんますいません。
だけどね、たとえば跳び箱で模範演習が5段跳べなくてみんなに笑われてね、なんとか取り繕ってコメントして終わらせるじゃないですか。それから一ヶ月くらい跳び箱の授業が続いて7段跳べるようになったら結構みんな盛り上がったりしたなとか、そういうことも思い出したりなんかして。他の人には7段飛ぶことなんか当たり前かもしれないけど、できなかった俺が頑張ってできるようになったら意外とみんな普通に賞賛してくれるじゃん、誰でも取れる凡フライひとつちゃんとキャッチするだけでみんなはしゃぐじゃん、みたいな思い出もあるんですよね。まぁフライはたまにしか捕球できないけどね。
翻って考えるのはこれって別に体育の話に限らずで、小さいステップバイステップ、ちょっとした壁にぶち当たってそれをちょっと乗り越えるみたいな経験って意外と今になって考えると必要だったんじゃないかなとも思うんですよね。
学校の体育の話でいうと、そりゃ別に僕も文句はありますよ。あいつらだってまず体育の授業でやる時に野球のルール説明しないじゃないですか。今はちゃんとしてるのかな?俺の時代は少なくともなかった。ルール説明ないのに突然始まるみたいな、体育教師あいつら舐めとんのかみたいな恨みも無くはないですよ。身体の使い方をマンツーマンで教えるなんてのも土台無理だから、運動できるやつが勝手に輝くタイムじゃんとも全然思いますけど。それでもなんか、できないなりにやってたという風に記憶しています。
他人にとって「こんなん誰でもできるじゃん」っていうことをえっちらおっちら頑張ってなんとかできるようになる、これみんなやってることだと思うんですけど。みんなめっちゃいやいややってるし思い返すと本当に嫌だった、あんなもの無くなってしまえって思う人も少なくないんだろうなーと思いつつ。
こういうものを非効率だって言い方ができちゃうことに関しては僕もそう思ってたところがあって、苦手を補うより長所を思いっきり伸ばした方がいいじゃんって考えは今も変わらないんですけど。丸くなるより星になれ、サッポロビールの精神はあるんですけど。
でも、みんな何を頑張りたいのかは知らないですけど、どんなジャンルで頑張ろうとしたって、どうしたって上を見たらキリがないし下を見てもキリがないじゃないですか。
どうしたって絶対どっかで壁にぶち当たるのは自分の苦手ジャンルだろうが得意ジャンルだろうが絶対そのタイミングはやってくるんですよ。
それなら予行練習やっておいてもいいんじゃなーい?みたいなことを考えていて。得意ジャンルに特化してそれだけを頑張るってのはそれはそれで大事なことかもしれないんですけど、そのルートを進んでも「しんどいけどなんとかやりきるしかない」みたいなシーンは絶対どっかでやってくるじゃないですか。それならもう、割とハードル低めのね、いや当時の僕からすると跳び箱5段が飛べないのを7段飛ぶっていうのは他人から見るとめちゃめちゃどうでもいいことなのかもしれないですけど、点数でいうと40点が50点になった程度の些細なことなのかもしれないですけど、そういう経験の積み重ねが80点を90点にするために頑張る下地になってるんじゃないかなみたいなことを思うんですよね。
すくすく成長できる得意なことだけやってりゃいいじゃん、向いてないことを頑張るなんて時間の無駄じゃん、みたいな感覚を持ちながら僕自身もボーイスカウトで登山やったりえげつないサイクリングやったり孤立無援のキャンプやったりとか色々なことやってたけど、たぶんいろんな壁に挑むってそれだけで意義があるよな、だってどうせ得意なことやっててもそのうち壁にぶち当たるんだから。じゃあ壁にぶち当たった時のメンタル鍛える機会は先に積んでおいた方がいいんじゃねえかな、模試みたいなもんだよね、本当に得意なやりたいことで壁にぶち当たった時に備えて、予習として別にそこまでやりたくないことで壁にぶち当たる練習をしておくみたいな。
あれもこれもでは何も身につかないという定説もあるけど、本当に自信があるものひとつだけ身につけた人がそこでうまくいかなくなったときにポッキリ折れちゃうなんて話もよく聞くし。
みたいなことを考えながら、他にも中学受験するかどうかを視野にいれた勉強とか英会話とかピアノとかやることいっぱいある息子と今日もヘボ将棋を指しています。
以上です。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
著者名:ズイショ
関西在住アラフォー妻子持ち男性、本職はデジタルマーケター。
それだけでは物足りないのでどうにか暇な時間を捻出してはインターネットに文章を書いて遊んだりしている。
そのため仕事やコミュニケーションの効率化の話をしてると思ったら時間の無駄としか思えない与太話をしてたりもするのでお前は一体なんなんだと怒られがち。けれど、一見相反する色んな思考や感情は案外両立するものだと考えている。
ブログ:←ズイショ→ https://zuisho.hatenadiary.jp/
X:https://x.com/zuiji_zuisho
photo by Yaroslav KUSH