みなさん、はじめまして。
トップフラワーデザイナーにお花のオーダーメイドができるwebサイトを運営している、株式会社Sakaseruの広報部です。
今日からこの場を借りて、会社の活動をみなさんにお伝えさせていただくことになりました。広報部と言っても社員は私一人です。広報するのは私、代表の小尾がやらせていただきます。「おび」と読みます。
僕は、面白いことが全然言えません。
ここで広報している他の会社さんは、みんなめちゃくちゃキャラが立ってて面白いですよね。僕なんて何も特徴がないので、この企画大丈夫かな、って正直めちゃめちゃ不安です。
でも一生懸命お伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いします。
自己紹介の前に
いきなりですが、大事なことを1つだけ先に言わせてください。
「社員は私一人」と書きましたが、Sakaseruは多くの方の協力で成り立っています。決して自分一人ではここまで来られませんでした。
これから毎週、Sakaseruの活動やお花の豆知識、贈り方、フラワーアレンジメントの情報などをお伝えできればと思っていますが、その裏にはたくさんの人の努力や想いがあります。決して僕一人だけの力ではありません。
・・・。
ほら、早速面白くないですよね。初対面なのに突然松岡修造みたいに熱っぽいことを、一方的に言ってしまいました。すいません。
ギークとナードに囲まれて育った新人時代
お花のオーダーメイドができるwebサービスを提供していますが、ご覧の通り(?)私自身はお花屋さんではありません。
元々はITベンチャーで会社員をしていました。小さい頃からゲームが好きだったので、ある日自分でもゲームを作ってみました。すると、友達がすごい喜んでくれた。それが嬉しくて「自分の生きる道はこれだ」と思ってエンジニアになりました。
いくつかの会社を転々としたのですが、今思えば最初に入社した会社が社会人としての土台を作ってくれたと思います。
今では結構大きな会社になったのですが、僕が入社した当時はまだまだ少数精鋭のスタートアップ。スーパーギークとナード(※1)しかおらず、優れたコードを書かない人は周りのエンジニアから評価されない厳しい環境でした。
入社前はそれなりに実力があると思っていた私も、すぐに井の中の蛙だったと気づきました。
先輩のレベルは全然次元が違いました。このレベルに達しなかったら自分の居場所がなくなる。大変だとか、頑張ろうとか、いちいち反省している余裕すらない。とにかく先輩のコードを読む毎日です。
先輩たちは…良い人なんですけど、いわゆるアキバ系です。お昼に姿を見かけないなと思ったら、メイドカフェで2時間過ごしてきた、みたいな。加えてナードなものですから、挨拶しても返事は返ってきません。質問しても答えてくれません。
でも、次の日の朝には「ハイ。」と言って、最適化されたコードを渡してくれます。僕が帰った後、先輩は自分だけ会社に残って、こっそり書いてくれていたんですね。言葉では説明できないけど、コードでなら答えらえるぞって感じで渡してきて。不器用だけどかっこいいなと思いました。
「なんとなく」で6万人の中から採用された
僕も他人の事はとやかく言えないくらい、コミュニケーションをとるのが苦手でした。
話すのが苦手だったので、面接には自己PRの代わりに自分で企画したゲームを持って行きました。ソースコードを全部紙に印刷して。
当時、自分を表現するものがコードしかない、これしかないと思ったんです。
そしたら無事に採用されました。後から知ったんですが、実は8名のポジションに6万人の応募があったらしいのです。10人いた面接官のうち、ある上司がなぜか僕をとても気に入ってくれて、内定をもらうことができました。
後で上司に「なんで僕を採用してくれたんですか」って聞いたら、「なんとなく」って…。
しかし「なんとなく」でも、僕はその上司がいなければその会社に入ることはできませんでした。そして、その会社に入っていなければ今の自分はなかったと思います。
それ以来僕は、何をするにもご縁が大切だと信じています。起業だって、縁と運があったからできたようなものでした。
歌舞伎町で出会った一軒のお花屋さん
さて、まだ面白いことが一つも言えていませんね。頑張ります。
ええっと、フリーランスのエンジニアとして独立したものの、最初は全然仕事がありませんでした。
ある日いつものように「仕事ありませんか」って声をかけていたら、一人の先輩が「歌舞伎町に面白い花屋がいるから会いに行ってみないか」って言ってくれました。
新宿・歌舞伎町…。
僕、歌舞伎町で遊ぶような感じではなかったので、最初はためらいました。でも、これもご縁だと思って向かうことに。
その日は午前中のアポだったんですけど、歌舞伎町に足を踏み入れた瞬間、目の前に顔面ピアスだらけのホストさんが倒れていました。逆側を見たら、腕中に傷跡がある女性がゴミ箱にもたれかかっていて…。
これ、まだ入り口の話です。
お店にたどり着くには、さらにラ○ホテル街を通らなくてはいけません。
一仕事終えた皆さんが、ホテルから続々とチェックアウトして出てきます。すれ違いざまに「お疲れ様です」と心の中でつぶやきながら、僕は僕で、仕事へ向かいました。
「ITとか全然知らないけど、何か改善できない?」
きらびやかなお店が並ぶ街の真ん中に、そのお花屋さんはありました。
このお店はお花を扱うだけでなく、店の中の工房でバルーンやシャンパンタワーなんかも作っています。
これ、公表していいのかわからないんですが、ホステス・ホストの方たちって、毎年数回誕生日があるって知ってますか?僕は知りませんでした。
誕生日にお客さんを呼んで、たくさんお金を落としてもらいたい。そのためにはどれだけ派手に演出できるかが勝負です。ライバルは同じお店で働く他の従業員。盛り上げるためにシャンパンタワーとか、バラの花束を飾ります。
そもそも花にも歌舞伎町にも縁がなかった僕がなぜ呼ばれたのかというと、
「営業が頭打ちになっちゃった。ITとか全然知らないけど、何か改善できない?」
というのが理由でした。
営業改善の実績なんてありませんでしたが、気づけば二つ返事で「とにかく営業の成績を上げるアプリを作ります!」と宣言していました。
華やかな世界の裏に、泥臭い営業活動がある
「ところで花屋の営業ってどうやってやるんだろう?」
まずは現場を知りたかったので、朝から晩までお店の方にぴったりついて、営業を見せてもらうことにしました。
・商談はノートとペン。
・連絡手段は電話とファックス。
・そこら中に紙が貼ってあり、情報はすべて紙で管理。
・営業と工房の関係はあまり良くなさそう。
改善できそうな点がいくつか見えてきました。そこで、まず以下の3点から取り掛かることにしました。
・ホステス・ホストさんの名前の洗い出し
・ホステス・ホストさんの誕生日を記録
・ホステス・ホストさんごとの予算を把握
要は顧客情報の管理です。どのホストさんが受注率が高いのか、どのタイミングで声をかけるのが最適か、代金は回収できるのか、できないのなら違うホストさんに時間を使うべきなのか・・・
これまで紙とともに捨ててしまっていた顧客情報を、きちんと残すことが重要だと考え、お店にあった顧客管理システムを3週間で作り上げました。
既存のパッケージシステムを使うこともできましたが、夜の商売には少し合わないところがあります。
例えば、歌舞伎町って1日が30時間あるんです。
夜の9時頃から街全体が元気になって、朝の6時頃まで続きます。ですから、普通のシステムみたいに24時で1日が区切られてしまうと、うまく管理できないんですね。
そんな風に、夜の街ならではの特殊事情を考慮して作ったシステムを、社長のトップダウンでお店の人に使ってもらいました。
慣れないITに最初は戸惑っていらっしゃいましたが、徐々に「このホストさんは来週誕生日だから、去年の予算金額をもとにこの商品を提案しよう」と、社員さん自ら提案するようになりました。
お客さんを見える化したら、営業と工房が仲良くなった
また、営業と工房の仲が改善するという予期せぬ効果もありました。
それまで工房の人には、売上やお客さんの姿が見えていませんでした。極端に言えば、目の前のレンガをただ積んでいるだけの状態です。
しかし、お客さんの情報が可視化されることで
・なぜ自分たちがこの作業をする必要があるのか
・どのような商品を作ったら利益がいくら上がるのか
を考えて、目的を持って仕事に臨むようになりました。工房の人が営業の状況を理解するようになり、営業 vs 工房という構造もなくなっていきました。
結果的に、売り上げを2倍に伸ばすことができました。
すごく嬉しかった。
歌舞伎町も花屋も素人でしたが、その中で「自分ができることは何か」、「テクノロジーを使ってどこを改善できるのか」をものすごく考えました。必要だと思うことは全てやりました。
独立後、初めての大きな仕事で大変でしたが、実績のない私を依頼してくれたお花屋さんの社長、スタッフの皆さんが良い人ばかりだったので、頑張れたと思います。とても感謝しています。
・・・たくさん話してしまいましたが、面白かったでしょうか。心配です。
まだまだお伝えしたいことはあるのですが、今日は一旦この辺で終わりにしたいと思います。来週からもどうぞよろしくお願いします!
※1
ギーク(Geek):コンピュータやインターネットの関する深い知識を持ち、ネット上で多くの時間を過ごす人たちのこと。
ナード(Nerd):内向的で文化系、ある一定の専門知識が豊富な人たちのこと。日本のオタクに近い意味合いで使われる。
株式会社Sakaseru (英名 Sakaseru,inc.)
所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-2 #1307
設立:2015年 10月 14日
【お知らせ】Books&Appsでは、企業の広報活動を支援するサービスを行っています。ご興味のある方はこちらからご連絡ください。