スティーブジョブズは生きている。オレの脳内で。
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ほんとはもう「iPhone」って名前を捨てたいんだよね。
皆これを電話って思ってるかな。
iPhoneを発表した時、「スマートフォン」という名前とそれにカテゴライズされた製品はあったんだけど、世界のどこにもスマートなフォンなんてなかった。(※1)
だからiPhoneは発表したその瞬間から世界唯一のスマートなフォンであることは間違いなかったんだ。
iPhoneと名付けたのは、少なとくも「電話(Phone) 」と言わないと、人々に「iPhone 」を理解してもらえないことを知っていたからさ。以前iPodの新製品発表時に失敗した経験があったからね。(※2)
ヘンリーフォードの有名な言葉に
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」
ってあるんだけど、
でも例えばその皆が期待している「速い馬」を突如なくすことはできないんだ。
多くの人が理解できるのは、ほんの少しだけ先の未来なんだ。
だから「iPhone 」と名付けて、人々に少しだけ未来を提示したのさ。
それは大成功だった。発売する前から、大反響さ。
もの凄い「電話(Phone)」が出たってね。
あっという間に世界にその名が広まった。
でもさ、これは将来「電話(Phone) 」として紹介されるかな?
「世界中の誰もが簡単に使えるようになったコンピューター」って説明されるんじゃないかな。
例えば100年後のwikipediaとかにさ。
まあいいや、今はティムやアイブにすべて任せてるからさ。アイツらが今後考えてるくれるさ。
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じゃ、はじめよう。
とにかくまあ「iPhone7」なんだ。ここまでくるのに9年。来年で10年だ。
「あっと言う間」だなんて言いたくないな。
アップルに集まってくれた世界最高のエンジニアとデザイナーたちがつくりあげたんだ。簡単なことじゃない。
それは本当に本当に本当に凄い事なんだ。奇跡と言ってもいい。
アップルの小型デバイスがiPodから始まったとすると、それは2001年発売だからもう16年も経つ。
あの時はトランプカード1組分の大きさで、好きな曲が全部持ち歩けるってだけでゾクゾクしたものさ。
ボブディランの後にビートルズ、U2聞いてまたボブディランに戻ってくる。
今では当たり前だけど、当時はそんなことすら自由にできなかったんだよ。
音楽の聴き方を根本的に変えたよね。
やがてiPodは5種類最大7世代まで進化し、その機能はiPhoneへと統合されていった。
そして今から発表する新しいiPhoneは7世代目14個めの新製品だ。(※3)
それがiPhone7だ。
今回のiPhone7には大きく分けると3つの大きな進化がある。
これから説明しよう。
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まず1つ目。
防塵防水になった。まあでも驚きはないよね。
だってオレたちをまるパクりしてはじまったサムスンやソニーのスマホはすでに実現しているし。
もちろんアップルにとってもそれは決して難しい技術ではなかったんだけど、できない理由があったんだ。
もう何年も前からこれができることはわかっていた。
アップルが開発した素晴らしい技術の一つであるLightningコネクタがあったからね。
イヤフォンジャックをそれに置き換えれば、より簡単にできたわけだし。
だからこれに関しては、決して技術的な問題でできなかったわけではなかったんだ。
それよりもユーザー側の問題さ。
だってイヤフォンジャックなくすって言ったら、文句言う奴でてくるだろ。アイツとかがさ。(※4)
(ジョブズの盟友ウォズニアック photos by Alan Luckow)
でも、今回ついにイヤフォンジャックをなくした。
そのメリットはとても大きい。
こんなに薄くなったiPhoneでそれを廃止することでできるスペースはとてつもなく大きいものさ。
結果的にバッテリーやカメラ性能のアップにつながった。
ホームボタンもソリッドステートボタンに一新することができた。
中にTaptic Engineと呼ばれるものが組み込まれて、押す強さによって様々な振動で反応を返してくれるんだ。
とても自然な使い心地さ。
ちなみにLightningコネクタ用のイヤフォンジャックケーブルは無料でつけてるよ。
ウォズこれでいいかい?
さて冗談はここまで。
イヤフォンジャックをなくしたもっとも大きな理由は別のところにある。
これさ『AirPods』。
見ての通りワイヤレスのイヤフォンだ。
これが最高なんだ。
これはタダのワイヤレスイヤフォンではない。
なんせ最新のW1チップと呼ばれるプロセッサを詰め込んでるんだからね。
音楽を聴く、電話をとる、もちろんこれにはマイクもついていてSiriとの会話もできる。
当然だけど、今までできたことはすべてできる。
じゃ何が変わったって?
よく見なよ。
あ、見えない?
そう、見えないことがすべてを物語っている。
有線コードもなくなったけど、俺が大嫌いなボタンが一切なくなったんだ。
どうするかって?
もうみんなわかってるだろ、アップルのやり方。
例えば、音楽を聞きたかったら、まず耳にAirPodsを装着する。
そうすると自動的にスイッチが入る。
そしてAirPodsのこの部分をダブルタップする。
するとSiriが起動する。
『プレイリストの音楽を再生』と話せば、
音楽が再生されるんだ。
超簡単。
もちろん、電話がかかってきた時だって、再びAirPodsをダブルタップすれば応答できる。
しかも、極めて正確に自分の声を拾ってくれるんだ。
デュアルビームフォーミングマイクロフォンと言ってノイズを取り除いてくれた上で相手に声を届けてくれる。
最高だろ。Appleならイヤフォンすら進化するんだ。
ちなみにこれはiPhone7だけでなくiPhone5以降はすべて使えるよ。
10月から発売。
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2つ目。
Apple Payについて。日本で使えるようになるんだ。
日本は特別なんだ。
俺もよく京都には旅行で行くんだけど、日本では電車がもの凄く発達していて、
そして驚くべきことにそれが全国どこにいてもびっくりするくらい時間に正確なんだ。
新幹線なんか1秒もズレない。クレイジーだよ。
で、日本にはSuicaという簡単にチャージができるICカードがあって、日本人のほとんどがそれを使ってるんだ。
それを駅の改札でかざすだけでノーストレスで通り抜けられる。ものすごく便利なんだ。
東京なんかあのクソ混雑するニューヨーク並みに人が多いんだけど、たくさんの人が改札で一斉に通ってもそのICカードが一瞬で反応するから本当にスムーズなんだ。
日本はこれが10年以上前から採用されていて、このおかげで駅の入口の混雑や機械トラブルが激減したと言われてるんだ。
今では、電車だけでなくてバスでも使えるし、至るところで使えるんだ。
自動販売機でも使えるんだけど、知ってるかな日本って、街なかにいると角を曲がるごとに自動販売機があるんだよ。
逆に山の中でも景観無視して平気で置いてあったりもする。
富士山を登っている時にも何台も見たな。
まあ、とにかくだからこそ日本でApple Payを採用しない手はないと思っていたんだ。だけど今まで問題があったんだ。
実は日本のそのICカード規格は、Apple Payが採用していて現在世界標準となっているNFC Type-A/Bでじゃなくて、
ソニーが開発したFeliCaっていう技術がベースになっているんだ。
FeliCaはType-A/Bよりも処理速度が断然早くて、間違いなく世界一の素晴らしい技術なんだけど、
残念なことに日本でしか使われていない技術なんだ。
そういう技術は日本にはたくさんあって、
日本人たちは自戒と敬意を込めてこう言うそうだ『ガラパゴス化』。
まあ、そのガラパゴス化された技術の一つがFeliCaだったんだけど、iPhone7のApple Payにそれを組み込んだんだ。
だからiPhone7は日本ではとても便利なものになるよ。
日本のみなさん楽しみにしていてね。
俺もまた京都に旅行に行く時は楽しみだな。
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3つ目
最後にカメラについてだ。
今回も最高のカメラができた。
ご存知の通りiPhoneにはすでに最高のカメラがついている。
プロカメラマンから一般の人まで、誰もが簡単にアーティスティックな写真や動画が撮れる。
今回もさらにそれが大幅に進化した。特にiPhone7plusは凄いんだ。
カメラが2つある。
1つは望遠レンズ、もう1つは広角レンズなんだ。
その隣には4つのLED搭載のフラッシュがついている。
これらの組み合わせで、高画質ってだけじゃない、質感のあるハイクオリティーな写真、動画が撮れる。
光学ズーム2倍、デジタルズームは最大10倍、もちろん光学式手ぶれ補正もついている。
絶滅寸前のコンパクトカメラ業界は完全に置き去り。
もはやライバルは一眼レフさ。
撮った写真や動画を見るディスプレイも一層ゴージャスに進化した。
新しいRetina HDディスプレイとなった。25%も明るくなりかつデジタル映画業界とほぼ同等のP3広色域。
これ以上ないくらいの綺麗さ。
さらに音声も進化、イヤフォンをはずしてもステレオ対応。
それらを支えるプロセッサも強力だ。
A10 Fusionチップに進化。
なんでFusionって言うかというと、これには4つのチップが搭載されていて、
そのうち2つは高性能コア。iPhone6の約2倍の速さだ。
残り2つは高効率コア。それは高性能コアの5分の1の電力で動くんだ。
つまり高性能で高効率を両立してるってわけさ。魔法のようだ。
大きさは6と全く同じ。
色は5色のラインナップ。従来のSilver、Gold、Rose Goldに新たに2色のブラックが加わった。
高光沢のJet Blackとマット仕上げのBlack。
どちらも最高の仕上がりになっている。
こういうのアイブが大好きだからね。これはアイブに説明してもらおうか。
とにかくクール。ビル(ゲイツ)には、絶対にできない。
コンピューターをクールなものにできるのは俺たちAppleだけさ。
史上最高のiPhoneであるiPhone7。これ以上のものはない。
あるとしたらAppleの未来にしかない。
9月16日世界同時発売。
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あ、そうだ忘れてた。もう一つ。
最後に日本の京都にまつわることなんだけど。
京都に、とてもリスペクトしている会社があるんだ。
それはもの凄い会社なんだ。
ディズニーやうちのピクサーとも十分はりあえる会社って言えばわかるかな。ここにいる全員が知っていると思うよ。
世界中のみんなが大好き。俺の子供たちも夢中になってた。
そう「任天堂」さ。
そこの社長だった岩田さんって人と昨年知り合いになってさ。
任天堂もアップルも、コントロールデバイスにとても拘りがあって、それによって会社を成長させてきたって歴史もお互い似てるしね。あっとういう間に意気投合したんだ。(※5)
それで、iPhoneでマリオ出さないかって相談したんだ。
そうしたら、岩田さんがぜひやりましょうって快諾してくれて、
「スーパーマリオラン」というゲームをリリースすることになった。
宮本さんという伝説的な天才クリエイター、伝説的って言ってもそっちはまだ生きてるんだけど(笑)。
iPhoneのために一からつくってくれて、iOSだけでリリースされるマリオのゲームなんだ。
グローバルに展開する任天堂初のゲームさ。それがマリオだなんて、とても光栄だよ。
宮本さんありがとう。
というわけで、今回の発表はこれがすべて。
どうだい楽しめたかい。ありがとう。また来るよ。
(終わり)
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注釈
(※1)初代iPhone発表時のプレゼン(2007年1月9日)で、現状のスマートフォンを強烈に皮肉った。
(※2)初代iPod発表時、その名前のわかりにくさと音楽を聴くだけという単純さと相まって、ジョブズが思ったほど注目を集めることができなかった。
(※3)発売された全種類のiPhone→iPhone, iPhone3G, iPhone3GS, iPhone4, iPhone4S, iPhone5, iPhone5S, iPhone5C, iPhone6&6plus, iPhone6S&6Splus, iPhoneSE
(※4)Apple創業者ウォズニアック氏、iPhone7のイヤホンジャック消失に否定的(iPhone Mania 2016/8/24)
(※5)岩田聡元任天堂社長(2015年没)