うちのメディアをいつも手伝っていただいている方が、先日「ビジネス交流会」なるものに出席したと聞き、その話をうかがった。
彼が言うには、ビジネス交流会そのものは真面目な目的で行われているようで、聞いた所「そういうのが好きならば出てもいいんじゃない」という感じなのだが、1つ面白いというか変な話を聞いた。
彼はその場で起きたことを話してくれた。
「そういう場に行くと、よく士業らしき風体の方から「一緒になんかやりましょうよ」って言われるんですよ。」
「ビジネスマッチングの場だから当然じゃない?」
「そうなんですけど、面白いのは、全員判で押したように「◯◯をやると、補助金が出るんでおいしいですよ。」って言うんです。」
「……どういうこと?」
「要するに、ビジネスをこっちにやらせて、自分は補助金の申請書やら何やらを作るから、その補助金の一部をくれと。そういうことみたいです。」
「コンサルティング料みたいな感じ?」
「そんな感じみたいです。まあ、許されていることなのかどうかはわかりませんが。その方は「数百万はすぐに作れる」と。」
「へえ」
「で、思ったんですよ。こういうことばっかりしている人って、結構いるんだなと。補助金目当てで起業家やフリーランスに声かけて、補助金を申請して、一部をもらうっていうビジネス。」
「なるほど、確実に儲かる補助金ビジネスw」
「でしょう?でも、こんなことに税金が結構投入されてるって、なんか微妙ですよね。」
この話を聴いて、昔こんな記事を見たことを思い出した。
地方を滅ぼす「名ばかりコンサルタント」 「パクリの再生計画」に自治体の未来はない
問題は、それだけではありません。コンサルタントは、自治体からは相当額のコンサル委託料をもらっているのに、結局、現場の実行部隊にはわずかな謝金だけ、もしくは一銭も支払わないこともあります。大手でさえ、そんな「フリーライド」(ただ乗り)を平気にやってのけます。
しかし、地域活性化分野では、補助金という「裏の手」があります。
「パクリ」レベルのひどい企画でも、補助金を使うことで、見た目だけ、似たような「偽物」の計画は作れるのです。
(東洋経済オンライン)
「補助金」という名のもとに、多額の税金がばらまかれており、それに便乗した士業やコンサルタントが暗躍する。そんなことを想像すると、「補助金を当てにしたビジネスをする会社って、一体何なの?」と思う人が多いのも無理はないだろう。
そう言えばリーマンショックの後、IT業界には補助金が投入されていた。
仕事がなくて暇な社員に外部の研修期間を使って研修などを受けさせると、「教育研修」の名目で補助金が出るという仕組みだった。
前職、教育研修を売り歩いていた時、結構な割合で先方の担当者から「補助金の対象となる研修ですか?」と聞かれたことを思い出す。
でも、本当にそれは補助金が世の中の役に立っているのだろうか?
補助金が出ないと潰れてしまうような会社を無理やり生きながらえさせるのなら、そんな会社はさっさと潰して、新しい会社が入り込むマーケットを作ったほうが良いのではないだろうか。
私の知る、組み込み開発を行う会社の経営者は
「そういう会社は早く退場させて、健全な会社だけが残るようにしないと、いつまでたっても労働環境が改善しないし、強い会社が育たない」
と言っていた。
「補助金に頼るようになったら終わりだよ。」
と彼はいう。
実際、すでに企業は従業員の生活保障を行わない。だから国がお金を企業に渡しても、せいぜい自称コンサルタントやゾンビ企業の経営者の懐にカネが転がり込むだけである。
企業は競争の中で鍛えられる。「セーフティーネット」の名目で企業を甘やかす制度は、企業と労働者の双方にとって不利益だ。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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