先日、このBooks&Appsで高須賀先生が、非常に興味深いコラムを書かれていた。
ヘルシオをうまく使いこなせる人は、AI時代もかなりラクラク生き残れるんじゃないだろうか。
ここ数日ヘルシオを使う事で、自分より圧倒的に優秀な部下を持つ上司の気持ちがほんの少しだけわかって、凄く楽しい。
ヘルシオくんはメッチャクチャに優秀だから、教えた仕事は全部覚えてしまい僕より圧倒的に優れたクオリティーのものを提供するわけだけど、それだからといって僕の仕事が終わるわけではない。
それはまるで、優秀な部下を持った上司の気分であるというまとめ方をされているおもしろい記事だったが、「ヘルシオ欲しくなった」など、多くの反響があったようだ。
ところで、このようなブログのごった煮とも言えるBooks&Appsに寄稿しているとやはり、他のライターさんの記事が気になる。
というよりも、興味深く面白い記事が寄稿されていると、妙なライバル心を刺激される。
そのため今回は、高須賀先生ご推薦のヘルシオを買うよりももっと買うべき、有効な家電をお勧めしたいと思った次第だ。
生活習慣を変えるほどの家電に出会えた経験
高額な家電を買った時はいつもワクワクする。
箱を開ける時のテンションマックスは何歳になっても変わらないものだ。
しかし正直、自分の人生や生活習慣を変えるほどの家電に出会えたことがどれだけあるだろう。
新しい洗濯機が届いた時は、確かに数日間程度なら嬉しい。
新しいエアコンが届いた時も、数日程度は無意味にいろいろな機能を試すが、そんなテンションもせいぜい数日だ。
これはなぜだろうか。
もちろん、刺激に慣れてしまうということはあると思うが、それよりも大きな理由は、家電の多くは「不満を減少させる機能」だからではないだろうか。
つまり、洗濯機は手洗いというストレスフルな作業を全自動で行ってくれる機能。
炊飯器は、まともに炊けば相当な手間になる炊飯という作業をボタン一つで行ってくれる機能だ。
エアコンも、暑い・寒いというストレスを軽減してはくれるが、クリエイティブなひらめきを与えてくれることはない。
その点について言えば、ヘルシオも同じである。
料理という作業と時間にストレスを感じている人から、そのストレスを軽減してくれるに過ぎない。
つまり、クリエイティブなひらめきを与えてくれることはないと言うことだ。
なお、これまで調理が難しかった一品に挑戦できるなどの前向きな機能は無視するものとする。
もちろん、浮いた時間を有意義に使えるという副産物も無視だ。
だからこそ、もっとオススメの家電がある事実を、限られたお金をつかう前にぜひ知ってほしいと思い筆をとっている。
では、その家電は何なのか。
「全録レコーダー」である。
いろいろな会社から同様の機能を持つレコーダーが出ているので、機種は特定しない。
要するに、過去1週間~10日間程度の全チャンネル、全番組を録画してくれる機能をもつレコーダーだ。
その分野のパイオニアということと、我が家にあるレコーダーということで東芝の全録レコーダーを想定してお話してみたい。
私自身これまで、テレビというオールドメディアはもはや衰退の一途をたどると考えていた。
局と放送作家のご都合主義で作られた駄作。
スポンサーに配慮した論評。
客観的な事実を知りたいニュースですらも、各局が角度をつけた報道をするばかりであり、新聞と同様に衰退していくことは間違いないだろうと。
そんなテレビを、一日に1時間も観ない生活を送っていたが、今では毎日、3時間分くらいのテレビ番組を毎日見るようになった。
この生活習慣の変化は、我ながら驚いている。
実際にテレビというメディアは、2018年8月に総務省が発表した情報通信に関する調査によると、もはや40代以下の全世代から見捨てられていると言っても良い惨状にある。
40代以下の世代は、一日の中で、テレビよりもネットに費やす時間の方が長くなっているためであり、もはやテレビというメディアは風前の灯とも言うべき状況だ。
ではなぜ私が、全録レコーダーのおかげでテレビを視聴する時間が3倍程度に伸びることになったのか。
そしてテレビというメディアはこれからますます発展していくだろうと予想する根拠はなにか。
以下、箇条書きでご説明していきたい。
1.全録レコーダーは、全ての番組をオンデマンドにしてしまう
全録レコーダーの凄さはいろいろあるが、まずはこれに尽きる。
これまでは、テレビ局の考える価値観で強制的に、向こうのタイムスケジュールでコンテンツを視聴させられていた。
興味深い番組があっても、あらゆる都合を排除して時間を取るほどのモチベーションをそそられる番組となれば、相当なレベルだ。
そしてそんなものはない。
録画すればいいじゃないかと言われても、わざわざ録画してまで観たいと思うところにも、やはりハードルは存在する。
その点、全録レコーダーは期限付きとは言え、全てのテレビ番組をyoutube化してしまうのである。
少しでもおもしろそうと思えた番組は、番組一覧表を見て再生してみる。
面白くなければ再生を停めればいいだけであり、全く手間がない。
これのおかげで、例えば人気番組「月曜から夜ふかし」の裏で放送している「激レアさんを連れてきた」も、どちらもフルで見ることができるようになった。
そしてこれまで、女子アナに全く興味がなかった私は、弘中綾香さんというお気に入りの女子アナまでできてしまった。
そして、明日よる🌠11時15分から
「#激アツ!!ヤンキーサッカー部⚽️」完結編だぞー✨#激レアさん #若林正恭 https://t.co/7u8Ftk3wwv— 激レアさんを連れてきた。 (@geki_rare) 2018年9月27日
更に大きいのは、帰宅後にネットや各種SNSで話題になっているニュースやテレビ番組を全て、追いかけて再視聴できることだ。
例えばネット上で、「失言」「放送事故」などで話題になっているシーンを観たい場合。
あるいはフェイスブックで「今日の19時から私が出ます!」などと友人がつぶやいているのに遅まきながら気がついた場合。
その全てを後から観ることができ話題をフォローが可能な他、恣意的にまとめられ、切り取られた発言の全貌を知ることができる。
オールドメディアとはいえ、まだまだテレビはその影響力は非常に大きい。
その中で、興味のある番組だけでなく、新たな興味をそそられる番組を広げられるという意味では、本当に秀逸な機能だ。
これだけでも、全録レコーダーは買う価値がある。
2.時短
こちらのご説明は、シンプルだ。
全録レコーダーで録られた番組を観る時は、わざわざノーマルの速度で観る必要がない。
倍速で見れば、最初は違和感があるかも知れないが、慣れればドラマですら、倍速でないと違和感があるようになる。
そもそも、テレビ番組は全世代の視聴者に向けて平均的にストレスがない速度で放送される。
そのため、時に説明が過剰で構成がくどいと感じることもあるかも知れないが、このような尺は1.3倍速で観れば、相当ストレスが軽減される。
ニュース番組も、情報収集の手段としてであれば倍速で十分である。
そのため、毎日3時間分の番組を観ても、時間はMAXでも2時間以内、場合によっては1時間以内に収まるようになった。
尺伸ばしのための、無意味なひな壇芸人のコメントは飛ばせる。
CM明けの、同じシーンの繰り返しも観る必要がない。
そう考えると、魅力をお感じにならないだろうか。
3.テレビ局は広告を飛ばされる競争にさらされる
このような結果、何が起こるとかという将来予想だ。
全録レコーダーの登場は、優良なコンテンツですら、そのコンテンツの制作費の源泉であるCMを飛ばされるということになる。
そしてCMが飛ばされるということは、広告費がテレビから逃げるということである。
実際に広告費はどんどん、テレビからネットに逃げているが、もはやこの流れはもはや止めようがない。
このような中で、ではテレビはどう生き残ろうとするだろう。
広告収入の独占的な状態が崩れるということはすなわち、コンテンツと広告の一体化が進むだろうということではないだろうか。
ちなみに全録レコーダーで番組を見ていると、CMとコンテンツをシームレスに構成する、小手先のつまらない技術に逃げている局がある。
CMカット機能を殺そうという目論見だが、全くもって本質で勝負しない下らない対応だ。
もちろん遠慮なく、早送りする。
このような過渡期にあって、最近では飲食店をランキング付けし、またレアなサービスを紹介ということで、特定の会社をレポートする番組が増えてきた。
言うまでもなくこのような番組は、コンテンツと広告の一体化であり、テレビ局の生き残りをかけた施策の一つだ。
これはこれで、実演販売などと一緒で広告がコンテンツとして成立しているので、今後も一定の支持を集めるだろう。
そしてその先にあるのは、テレビ局の「角度をつけた構成」ややらせ、放送作家などのご都合主義で作られた番組の消滅だ。
ネットと同じように、オンデマンドの環境に晒されればテレビ局すらも、一人のyoutuberと同じ土俵の競争に立つことになることは確実である。
その結果、テレビが今よりも更に、扇情的で下品な存在になるのか。
あるいはどこかで、有料チャンネルのようにコンテンツで勝負できる道を選ぶのか。
おそらくそれは、後者ではないだろうか。
だからこそ、全録レコーダーがまだ普及しきっていない2018年現在の、各局のコンテンツ制作に賭ける試みはとても面白い。
放送側の都合で視聴者がおとなしく、放送プログラムを甘受していると未だに勘違いしている局もあるが、近い将来に電波の独占状態すらも崩壊することになるのではないだろうか。
まとめ
いろいろ小難しいことを理屈っぽく言ってしまったが、
・仕事にわずかでも関係するコンテンツは全て拾える
・情報を仕入れたい時に、気になるコンテンツを探すことができる
・つまらない時間は全てカットし、さらに倍速で時短視聴できる
・後から気がついた重要なコンテンツも全て拾える
・その全てを、全く手間無しに自動でやってくれる
そう思うと、全録レコーダーはテレビというメディアを、今一度復権させる可能性がある、革命的な発明ではないだろうか。
テレビ業界は、CMカット機能を排除するなどつまらない抵抗をみせる動きも一部にあるが、そんなことをしてもネットに負けるだけであり、本質で勝負するべきだ。
特に深い考えも無しに購入した全録レコーダーだったが、使ってみるとこれほどまでに、生活習慣を変えてくれた家電はなかった。
さらに、テレビというメディアの価値と、なぜ無価値になりつつあったのかの理由がよく理解できた気がする。
ぜひ、ヘルシオを買う前に全録レコーダーを購入して欲しい。
(事業サービス責任者-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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【著者】
氏名:桃野泰徳
大学卒業後、大和證券に勤務。
中堅メーカーなどでCFOを歴任し、独立。会社経営時々フリーライター。
複数のペンネームでメディアに寄稿し、経営者層を中心に10数万人の読者を持つ。
(Photo:cozymax)