今から5~6年前、「旭山動物園」という動物園がブームになった。ご存じの方も多いだろう。

 

旭山動物園は昭和42年に開園した動物園だったが、開演して20年以上経つと、入園者も漸減し、国内の他の動物園と同じく赤字を垂れ流していた。当時、旭山動物園に限らず、ほとんどの動物園は、自治体が税金を投入してなんとか持たせている、という状態だった。

当時の入園者数は約30万人弱、地方の自治体は税収不足を理由に、「廃園」を考えていたらしい。

 

しかし、当時旭山動物園の獣医師であった小菅氏が、「このままでは廃園になる」という話を自治体からされたことで奮起し、「動物の展示方法」を根本的に変えることで入園者数を増やそう、という試みを行った。

当時、動物園は動物の姿形を見せることに重点が置かれていた「形態展示」が主流だったが、旭山動物園は動物の動く姿そのものを引き出す「行動展示」を行い、国内外の人々を大きく惹きつけ、一時は上野動物園の入園者数に迫る300万人という入園者数を生み出した。

その話はマスコミに大きく取り上げられ、美談となり、「奇跡」と呼ばれることもあった。

 

 

しかし、ブームはいつか終わる。旭山動物園の入園者数の推移を見れば、それは一目瞭然である。(参考:http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/zoo/siryou/nyuen.html

asahiyamazoo zoo siryou nyuen.html

 

入園者数307万人を記録した平成19年度を境に、入園者数は減り続け、現在は当時の約半分の160万人である。

また、肝心の「収支は」というと、動物園だけの決算書がないので分からないが、大阪市の作った資料を見ると平成22年当時は大きく黒字だったが、当時の入場者数から推測するに、現在は少し黒字、という程度ではないだろうか。

 

H24sichohiaten2.pdf

 

他の動物園が軒並み赤字の中では、大変素晴らしい業績と言えるが、「収支」という観点から見れば油断は許されない状況である。

 

 

さて、年間160万人も入園者がいる旭山動物園が「めちゃめちゃ儲かっているわけではない」理由は単純である。それは、

「入園料が凄まじく安い」

ということだ。一般の大人でも入園料が820円。旭川市民であれば590円だ。驚異的な価格である。動物園は「教育」という目的があるので、公営の動物園のほとんどが入園料をかなり安く設定している。

私が実際行ってみた感想としては入園料が2000円~3000円くらいでも妥当、と思えるクオリティはある。

 

しかし、教育が目的だろうとなんだろうと、「利益」がきちんとでなければ、組織の存続は難しい。動物園がどんどん減っているのも、利益が出ず、自治体への負担が大きいからだ。

だから、旭山動物園のような入園者を増やす施策を打ち、きちんと利益を出している動物園をもっと増やさなければ、せっかくの高邁な目的も果たせない。

 

旭山動物園に行ったことのある人であれば感じたと思うが、確かに旭山動物園は、秀逸なコンテンツを持っている。

しかし、「一過性のブーム」が終わって再び経営難に陥るようでは「本当の奇跡」とは呼べない。「冬季開園」の入場者が確実に伸びているようではあるが、入園料の価格設定も含め、メインの夏に再訪する入園者を増やす施策など、次々新しいことをしていかなければ、「動物園」に明日はない。

 

 

【お知らせ】
Google検索にAI Overviewが表示され、ChatGPTやPerplexityで情報収集するユーザーも増えています。検索順位を上げるだけでは、企業の情報が見つけられなくなる時代に、何をすべきか——。Books&Appsの弊社ティネクト代表安達裕哉が「経営oneplusサミット2026 Summer」に登壇します。


<2026年7月30日 開催予定>

AI検索対策最前線:手法から効果測定まで

安達裕哉 登壇|経営oneplusサミット2026 Summer 内セミナー

講演概要
これから重要になるのは、AIに正しく理解され、引用され、推奨されるための情報発信です。SEOからAIOへと変わりつつある考え方から、具体的な対策手法、効果測定の考え方までをコンパクトに解説します。

登壇者
安達裕哉(ティネクト株式会社 代表取締役社長)
Deloitteで12年以上にわたり大企業から中小企業まで業務プロセス改善コンサルティングに従事。近年はAIによるコンテンツ作成を専門とする。著書に『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』『頭のいい人が話す前に考えていること』など。


開催日時:2026年7月30日(木)13:35-13:55
配信形式:オンライン(経営oneplusサミット2026 Summer 内)
参加費:無料
特典:事前申込でアーカイブ動画(2週間)を全員にプレゼント


お申込み・詳細
こちらのイベント詳細ページ をご覧ください。

(2026/6/26更新)