アップルが発売したAirPodsというワイヤレスイヤフォンを買った。

久しぶりにジョブズの声が聞こえる。

 

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これ何かわかるかい?

初代iPod。

それと白いイヤフォン。

 

懐かしいよねえ。誇りに思うね。世界を一新するような革新的な製品を出せるチャンスは滅多にない。

Appleにはそのような製品がたくさんあるけれど、その中でも特に思い入れのある製品だね。

 

ところで、なぜイヤフォンを白にしたのかって?

これにだって意味はあるよ。

「白」という色はニュートラル、という意味ではないんだ。

ピュアで静かな色なんだ。大胆で人目を引いて、かつ地味でもある。

静謐と言えばいいのかな。

 

「白」は大成功だったんだ。

白いイヤフォンの人に会うとiPodユーザーだとすぐに認識できたんだ。

ランニングや散歩の時に会うと嬉しかったもんさ。他に白いイヤフォンなんてなかったからね。

白いイヤフォンはiPodの象徴的存在とさえ言えるようになった。

 

その後、iPhoneが発表されたんだけど、白いイヤフォンは継続されていった。

やがて超シンプルなリモコンもついたし、ボリューム調整だけでなく、超ミクロなマイクもついた。

音質もずいぶん向上した。

 

アイデアって不思議なもので、良いアイデアであればあるほど、それがアイデアであることに気づきずらくなるものなんだよね。

例えば、今では多くの人がイヤフォンを使って電話するよね。

以前は、黒電話ってのがあって、相手と会話するための受話器ってのが付随していた。知ってる?

こんな大きかったんだよ(笑)

 

イヤフォンひとつにしても、人々の生活をより善くするために進化させるのがAppleなんだ。

 

そして、今日はさらに進化させたイヤフォンを発表する。

シンプルで魔法のようなワイヤレスのイヤフォンだ。

 

その前に、現在のワイヤレスイヤフォンの典型的な3つの製品を知ってもらわなければいけない。

 

まずは1つ目。最も一般的なワイヤレスイヤフォン。

ソニー SONY ワイヤレスイヤホン h.ear in 2 Wireless WI-H700 : ハイレゾ/Bluetooth対応 最大8時間連続再生 カナル型 マイク付き 2017年モデル ムーンリットブルー WI-H700 L

まあ悪くないんだが、首にあるこの部分がウザいんだ。ここで電池スペースを確保したり、精神的な安定のためだけに、首紐をつけて安心させてるんだ。クールじゃない。

 

次は首紐なし型。

Jabra Elite Sport ワイヤレスインイヤーヘッドフォン耐汗性 [並行輸入品]

スタートレック?何かの懐古主義みたいだ。デザインが醜悪。

 

次はこれ、耳の中に装着するカナル型。

超軽量・超小型タイプの完全コードレス耳栓ワイヤレスイヤフォン APOLLO7 (スペースグレー)

これはとてもシンプルだ。悪くない。でも、この製品にはマイクがない。

機能を失って得られるシンプルは、我々の目指すシンプルとは根本的に違う。

 

現状、見ての通りワイヤレスイヤフォンには、クールな製品がないんだ。

そこで我々Appleは、これらのメリット「だけ」を残してデメリットは「全て」消し去った製品を生み出した。

 

これさ!AirPodsと言うんだ。

見ての通り、白いイヤフォンからケーブルを無くした。

それだけさ。

 

見た目はね。

 

アップルのデザイン哲学はたったひとつだ。

「洗練を突き詰めると、シンプルになる」

つまり、機能は決して失わない、そしてシンプル。むしろ今まで以上のことができるようになる。

 

使い方は超簡単。

AirPodsを両耳に装着する。

その瞬間に自動的にONになる。スイッチボタンなんかない。

 

この中に、Appleが独自に開発したW1チップと呼ばれるマイクロチップが入ってるんだ。

両方のイヤフォンには光学センサーとモーション加速度センサーが仕込まれていて、それらが連携して動作するんだ

 

音質は、10年の歳月で培ってきた技術が惜しげも無く投入されていて、ハイクオリティ。

音楽を聴きたい時は、今まで通りiPhoneから曲を選ぶ。

Apple Watchがあれば、操作はさらに簡単。iPhoneをポケットに入れたままでも選曲できる。

 

もちろんSiriにも対応しているんだよ。

AirPodsのここを2回タップすると、Siriが起動するんだ。

 

どこにマイクはあるかって?ここだよ。

こんな場所にマイクを仕込めるなんて、Appleのデザイナーも凄いし、それを実現したエンジニアも凄いだろ。

 

音楽を聴きたい時は、こんな風に話しかけるんだ。

「ボブデュランのプレイリストを再生」

 

〜Like A Rolling Stone〜

 

あー最高だな。やっぱり1960年代のロックは最高だと思う。

デュランってノーベル賞獲ったらしいねえ。おめでとう。

ちなみにAirPodsを耳から外すと、自動的に一時停止となる。再び装着すると、自動的に再生となる。

とても便利。

 

電話するのも簡単。

「ジョニー(※1)に電話」

 

「Hey, ジョニー!元気?」

「Hey, スティーブ!元気だよ。久しぶりだね。そっちはどうだい?」

「まあまあさ、天国にいるとどうやったら死ねるかわかんないんだよね」

「スティーブがいるの天国なの?地獄じゃないの?」

「ハハハ、俺は天国に来たみたい。毎日楽しいよ」

「そっか、まあそれは何よりだ。たまに電話くれよ」

「そうだな。良い製品出してくれたらな。」

「ははは、スティーブも変わったな。以前はノーを言うのが仕事だったのに」

「天国ってハッピーしかないんだ。じゃあな」

 

(※1 ジョニー=ジョナサン・アイブ、アップルの現最高デザイン責任者かつ生前のジョブズの親友。)

 

こんな感じで、電話も簡単にできるよ。

ところで、このマイクにも凄い技術が使われているんだ。

デュアルビームフォーミングマイクロフォンといって、左右のマイクが、トーク中の話者と周辺の音を聞き分けて、ノイズを無くしてくれるんだ。

だから、どこにいても音がクリアに聞こえるんだよ。

 

 

さて、最後に充電の問題を話さなければいけない。

それはワイヤレス製品全てに共通した欠点だ。

あの超クールな電気自動車テスラだって、結局は充電の問題が航続距離のボトルネックになっているんだからね。

 

 

Appleでは、もちろん解決している。

AirPodsはフル充電で5時間は持つ。

 

どうだい?

 

まあ、5時間って悪くないけど、長くはないよね。

音楽って、起きている間中聴きたいし、いつでも電話に出たい。

 

そこでこいつの出番だ。

このコインポケットみてくれ、これって何のためにあるか知ってる?

 

iPod nanoを入れるため!

 

ってのはもちろんジョークだ。

ハハ、あの時はウケたね。(※2)

(※2 初代iPod nanoの発表時、コインポケットから取り出した)

 

でも、心配しないでくれ、空いているコインポケットに入れるものをまた作ったよ。

 

これさ。

 

専用のドック。

可愛いだろ。

 

このドックを使えば24時間分は余裕で充電できるんだ。

イヤフォンをこの中に格納してたった15分充電すれば、すぐに3時間再生できる。

 

しかも、ほら、こうやって近づけてフタを開けると充電状況も表示されるんだ。

 

いいだろ。

 

シンプルで魔法のようなワイヤレス製品だよ。

ワイヤレスイヤフォンのこれからの標準さ。

 

価格は159$。

Apple Storeで注文すれば、すぐ届くよ。

 

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AirPodsは昨年の12月に発売されたApple純正の製品です。ずっと品不足が続き、入手困難な状況が続いていました。

最近ようやく、品不足も解消したようです。私は、偶然入ったヨドバシカメラで買えました。

AirPods使ってみて、これは「過去」のAppleらしい尖った製品が出たなと思いました。

iPodもiPhoneも、もっと言うとMacOSXだって出たばかりの頃は一般的には評判にはならなかったのです。

しかし、ジョブズだけは未来を予測するかのように自信満々にその製品を紹介していたのです。

そのような思い出が私の中で蘇り、脳内ジョブズが現れてきたのでした。

 

 

オレのスティーブシリーズ

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