運動は身体によいと思っている人もいるだろう。実はそれは真っ赤な嘘だ。
スポーツ健康法は幻想だ。データ上でも、激しい運動を行ったスポーツ選手の寿命は、一般的な寿命と比較して6~10年ほど短いとされている。人生が80年と仮定すれば、スポーツマンはなんと一般人よりも一割も寿命が短いのである。
「それは極端な運動を行っている人の場合であって、ほどほどに運動している人は健康なんじゃないの?」
そう思う人もいるだろう。しかし残念ながら現実はそう簡単ではない。
データの上では、最も平均寿命が長いとされている人達は東洋の僧侶だ。彼らの生活の特徴は、激しい運動はせずに一日中座ってお経を唱えた生活を行い、かつ食生活は質素だという事があげられる。
この東洋の僧侶を現代の「適度な運動」をしているという人達と比較すると、あくまで傾向ではあるが長寿だという。
実はかなり前から判明しているのだが大規模なデータを分析した結果、人間の寿命にもっとも作用するのは運動量と食習慣だという事がわかっている。他にもいろいろな要素はあるのだけど、この2つが最も人の寿命を左右する。
この2つの組み合わせのうち、最も健康で長生きなのは運動量が少なく・食事量も少ないグループだ。
ちなみに最も短命なのは、よく動き・よく食べる人である。一般的には健康だと思われている彼らだが、実は検討上は最も短命な軍に所属しているという事がわかっている。
ハチも過労死する。
この運動量と寿命の関係は、人間のみならず他のほとんどの動物でも影響がみられる事がわかっている。有名なのはミツバチの過労死である。
このミツハチの過労死のエピソードは以下のような事例により明らかとなった。
ハウス栽培農家では、受粉作業の効率化の為にミツバチを用いる事がある。
もともと自然界でミツバチは、蜜を集めるという行為の過程で体中に花粉がまとわりつくようになっており、この事で雌しべから雄しべに花粉を効率よく運ぶという役割を副次的にではあるが遂行している。
まったく自然というのは実にうまくできているものである。この作業をハウス栽培という人口で作られた環境で行わせることで、植物の受粉作業を極めて円滑に行う事ができるというわけだ。
当然だけど、普通の農家はミツバチなんて所有していない。蜂蜜製造業者である、養蜂家から、受粉の作業の時期にだけミツバチをレンタルして、この受粉作業をミツバチに代行させるのである。
この作業が行われていた当初の頃、養蜂家も「まあ減るもんじゃないし、一時的にミツバチを貸しても構わないだろう」と好意的にミツバチのレンタルをしていたそうである。
だが徐々に養蜂家の間で「農家にミツバチを貸し出すと、ミツバチが早死にする」という事が経験則として蓄積されていき、だんだんとミツバチ・レンタルを渋るようになっていったのである。
「どういうわけだがわからないが、ハウス栽培場に送り込まれたミツバチは早死するらしい」
この事が広く知れわたるにつれ、ミツバチの早死現象は極めて関心深い現象として専門家の間で話題となった。原因について様々な憶測がされたのだが、最終的に導き出された結論は1つだった。過労である。
人だけでなく、ミツバチも過労死するのだ。
実はミツバチに限らず、自然界でも動きすぎによる身体破壊の問題はかなり広範にみられる。
例えばチーターは非常に早いスピードで走れる事が知られているが、その高負荷により年老いた個体はかなりの割合で関節に問題を抱えている事が多い事が知られている。運動で膝を悪くするのも、人間だけの特権?ではないのだ。
激しい運動は、人間だけでなく、全ての生物にとって毒なのである。
寿命に大きく影響するのは運動量、食事量、睡眠時間の3つ
では長寿に最も何が関係するのかが気になる人もいるだろう。一応、科学的に大切だといわれているのは、これまで話した運動量以外に2つわかっている。食事量と睡眠時間である。
先にも少し書いたが、食事量は多いよりも少ないほうがよいといわれている。特に大切だと言われているのが炭水化物の摂取量だ。
これは実は先行研究がされている。東大の医学部を卒業し東北大学で教鞭を取られていた近藤 正二 氏は、長寿者の多い村と少ない村との衛生学的比較調査研究の為に、日本全国くまなく、990カ町村以上を歩き続け、現地探訪の記録をまとめ上げられている。
その研究は著書である<日本の長寿村・短命村―緑黄野菜・海藻・大豆の食習慣が決める>に詳しいのだけど、端的にいうと、塩辛いものを食べて炭水化物をどか食いするタイプの人が多い村は、その他のグループと比較して著しく寿命が短かったのである。
昨今糖質制限ダイエットがブームだが、その理論の骨子となるような事例は近藤正ニ氏によりかなり詳細に調べられている。少々古い本だが、ぜひ図書館で借りるなどして読むとよいだろう。素晴らしい名著である。
他にも睡眠時間も結構重要なファクターだ。僕らの医療業界でも、外科系の医師はその他の医療従業者と比較して、寿命が10年程度短くなるといわれている。
これは長時間勤務の問題もあるが、それに加えて夜中の緊急呼び出しなどという、睡眠時間が不規則になる傾向が左右しているという風に一般的には理解されている。
その他にも速報を扱う事の多い就労時間の不安定な新聞記者等のマスコミ関係者も、定時で終了するような就労時間が安定した職についている人と比較すると、かなり寿命が短い傾向にあるらしい。
作家の佐々木俊尚さんによると、新聞社の社会部に所属する記者の平均睡眠時間は2時間で、死亡平均年齢は61.3歳だという。なんと日本人の平均寿命よりも10年以上も短い。
<参考 職業で寿命が決まる!? 新聞記者時代の睡眠事情【ジャーナリスト・佐々木俊尚】>
やっぱり規則正しい睡眠は最高の妙薬であり、寝ないのは駄目なのである。
こうして眺めてみると、健康で長生きな生活をおくるにあたって特別な機材や習慣は必要ない事がわかるだろう。
あなたがどういう風な人生を選びたいかにもよるけども、これら3つのパラメータを自分や子供の人生に適切に運用するように考えるのは、悪くはないだろう。
まとめると食事は炭水化物をあまり多く取りすぎず、激しい運動をあまり行わず、しっかり寝て身体にストレスをあまり与えないような生活をするのが、いまのところの長寿最適解である。
結局のところ多くの場合において病気を引き込むのは自分の選んだ生活習慣なのである。我々の業界ではよく予防は治療に勝るというけども、まさに上に書いた生活習慣こそが至上の人生戦略といえるだろう。しっかり参考にして欲しい。
(2025/5/8更新)
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2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。
安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
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【プロフィール】
都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように
noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます→ https://note.mu/takasuka_toki
(Photo:Joe Diaz)