コツコツ努力を続けることは、とても大事だ。でも、そうは言うがコツコツ続けることはとても難しい。3日坊主、という言葉が示すとおりである。
また個人ではなく、会社であってもコツコツ続けることは更に難しい。偉大な結果はすぐには出ないので、本質的に短気な存在である会社は、努力の結果を待てない。
だが結局のところ、他社が真似を出来無いことを必死こいてやるから、エクセレントな会社になるのだから、会社こそ、コツコツ続けることが大事であるにもかかわらずである。
「ブログ」も、
「ダイエット」も
「資格取得」も
「スキルアップ」も
「改善」も
「新規事業」も
「商品改良」も
「グロースハック」も
新しい試みは全て、コツコツ続けなくては何の意味もない。殆どの人も会社も「口だけで何もしない」というよりは、「結果が出るまでしつこくやらない」のである。
そこで登場することが多いのが「精神論」である。考えない会社や人は、精神論で努力を継続しようとする。
「気合が足りない」
「必死さが足りない」
「本気ではない」
そういった精神論が役立つケースもあるのだが、多くの人は精神論が嫌いである。長続きするケースは少ないし、会社では反発も大きい。
それとは全く逆に「すぐに効果が出る◎◎の方法」といったインスタントな手法を探し求める人もいる。これもあまりうまくいかない。
前述したとおり、すぐに効果が出る方法は、結局のところ誰でもできるのでたいしたことではない。よく考えなくても
「医者にすぐなれる方法」
「すぐに世界を変える発明を出来る方法」
といったノウハウを信用するほうがどうかしている。
実際、ほんとうに必要なのは「活動を継続できる良い方法」である。
良いスポーツ選手には、良いコーチがいる。彼らが教えているのは精神論でもなく、インスタントな軽いノウハウでもなく、活動を継続できるための本質的な知恵である。では、その知恵とは何か。
会社、個人を問わず「コツコツ続けている人々」を観察すると、そこに幾つかの基本的な動作があることがわかる。
1.目標は明確に定義する
目標は「金持ちになりたい」ではダメである。定義は明確に、曇りなく定義しなければ活動を継続できない。「1年後までに副業で月に5万円稼げるようになる」と言った形で具体的に定義する。
具体的に定義できないことは、努力の対象となりえない。
2.目標は最初、「自分ができそうなこと」を設定し、段階的に引上げる。
目標の質について、初心者は「自分のできそうなこと」を意識する。「目標は大きくもて」という方がいるが、それは上級者向けである。
目標をクリアし続ける体験をしてからでなければ、大きな目標のこなし方が身につかないため、最初は「目標を達成する感覚」を身につける必要がある。
目標を達成できる感覚が身についてきたら、段階的に目標値を引上げる。その頃には、目標から逆算して現在の活動を定義する、という技能が身についているだろう。
3.測定する
目標に対して、現在どの程度の進捗なのかを計測できなければ継続は難しい。
ブログ⇒PVを見る
ダイエット⇒体重を毎日測る
資格取得⇒過去問を解き、正答率を測る
と言った形で、必ず計測を行う。測定なきところには努力も改善もない。したがって、計測方法の良し悪しが、努力できるかどうかの分かれ目になることもある。
4.休息を取る
休息は必須である。休息は努力の質を高め、活力を涵養する。また、記憶の定着や筋肉の再構成には休息をあえて取る必要がある。
毎日やるよりも週1、2日の休息を挟んだほうが活動の質が向上するため、必ず計画的に休息を取ること。ダイエットなども、週に1日は気にせず食べてガス抜きをしたほうが継続できる可能性は高い。
聖書において7日目が安息日に設定されているのは、昔の人々の深い知恵である。
5.惰性に注意する
努力を継続することと、惰性で漫然と行うことは全く異なる。努力を継続するということは、常に最高の結果を求めてそれを行うことである。
ということは、行うたびに工夫と生産性の向上を目指すということだ。だが、心配しなくてもよい。継続できていることを工夫するのは、とても楽しいことである。
6.スランプも、順調なときも等しく継続する
ブログのアクセスも、ダイエットも、スポーツの記録も、勉強の成績も、ビジネスのスキルアップも、少しずつ結果が伸びていく時期と、長いスランプの後にある日突然ブレークスルーを体験する時期の両方がある。
毎日続けても全く結果が出ない…と落ち込む必要は全く無い。結果はある日突然やってくる。その日まで継続できるかどうかが、成功と失敗の分岐点だ。
努力を楽にできているのであれば、すでにあなたには自信があるはず。迷う必要はない。
7.やり方を変える柔軟さを持つ
どんな方法にもその人に合う、合わないがあり、「これが唯一の正解」というやり方はないため、続けることがどうしても辛くなってきたら楽に続けられる他の方法を検討すべきである。
実際、プロスポーツ選手であっても「コーチを変えた瞬間結果が出るようになった」というケースはいくらでもある。継続にはこだわるが、やり方にはこだわるな。
また、やり方を変えるときは必ずうまくやっている人にアドバイスを貰う。自分の浅い知恵を働かせるよりも何倍も生産性の高いやり方を教えてくれる。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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「仕事ができるやつ」になる最短の道
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(Photo:Spirit-Fire)