こんにちは。株式会社キュービックの与那覇(よなは)と申します。

転職に悩む人の「次の一歩」を応援するサイト「HOP!薬剤師」の運営責任者を担当しています。

さて、周知の通り現在、人材業界は空前の活況を呈しています。

歴史的な大惨事レベル「人材不足」今年はこんなにヒドかった(現代ビジネス)

2017年は人手不足に始まり人手不足に終わる年だった。

厚生労働省が12月26日に発表した11月の有効求人倍率(パートを含む、季節調整値)は1.56倍と、1974年1月以来、43年10カ月ぶりの高水準となった。すでにバブル期の水準を上回り、高度経済成長期並みの求人難となっている。

転職者にとって、非常に有利な状況であることは、間違いありません。

 

ただそうは言いつつ、転職にリスクが伴うのも事実です。

 

マイナビによる転職の満足率調査では、「満足」以上の転職者は約6割。(参考

転職が即、仕事の満足につながるかどうかは、微妙なラインです。

 

そもそも、不動産の購入や、中古車の購入などと同じく、転職は「情報の非対称性」が大きい活動です。

企業側は、履歴書や面接、各種テストなどを通じて、応募者の情報を知る機会を持ちますが、応募者が企業側の情報を知ることができるのは、一般的には求人情報と、面接の際の質問程度。

潤沢な情報を手にして転職活動している、とはいい難い状況です。

 

「情報の非対称性」を解決するための転職エージェント

そこで、近年応募者に好まれているのが、「転職エージェント」です。

転職エージェントは、企業と求職者の「仲介役」として転職をサポートし、転職が成立すれば企業から手数料を受け取る、というビジネスモデルです。

 

そして、一般的に、転職エージェントを使う転職は、メリットが非常に大きいとされています。

理由は以下のとおりです。

・よりマッチする求人が提供される

・アドバイスを受けることができる

 

転職エージェントは求職者に比べて「人材マーケット」を熟知しています。

したがって求職者に対して「高望みすぎず」「求職者の要望に最大限合うような」求人を紹介できるという点で、求人サイトからの応募よりも優れていると言えるでしょう。

 

ただし、転職エージェントの利用にも隠れたデメリットがあります。

それは「人が個別に仲介する」というコストの高さに起因するものです。

 

企業側は、一般的には求職者の年収の30%〜40%を、エージェントに支払わなくてはなりません。

したがって、それなりに高スペックの人材でなければエージェントを使うメリットがありません。

それ故、求人サイトとエージェントで同スペックの人材の応募があったときには、求人サイトからの応募を優先することもあるでしょう。

 

また、エージェント側は成功報酬ですので、不誠実なエージェントであれば「とりあえず転職させてしまえ」というインセンティブも働きやすくなります。

 

求職者と転職エージェントが良い関係を築くための4か条

したがって、転職エージェントをうまく活用するためには、

「求職者とエージェントが協力体制を築くこと」

が非常に重要になります。

安易に「大手だから」とか、「ランキング上位だから」という理由で、エージェントを選んでいては、成功する転職は望めません。

 

では、求職者とエージェントが協力体制を築くにはどうしたら良いのでしょう。

これには求職者と、エージェントの双方が、やらなければならないことがあります。

それが以下の4か条です。

 

1.求職者は、エージェントの得意領域を把握する。

私は薬剤師の転職情報を研究していますが、「ドラッグストアが得意なエージェント」「病院が得意なエージェント」「調剤薬局が得意なエージェント」は皆異なります。

エージェントが得意な領域であれば、良質な求人をたくさん紹介してくれますが、逆であれば十分な紹介を得られず、求職者の方の不満は募るでしょう。

 

2.エージェントは、「転職すべきかどうか」も含めて相談に乗る。

エージェントが求職者にとって真に価値ある存在となれるのは、「転職すべきかどうか」の意思決定を支援するときにあります。

 

なぜなら、大抵の求職者は、「自分自身の市場価値」を知る機会が殆ど無いからです。

「今のままでは良い転職はできない。◯◯の実績を作るべき」

「今は転職すべき時。これをすぎると価値が下がっていく」

などの情報は、エージェントが真っ先に求職者と相談すべき事項であり、信頼の源泉です。

 

キャリア形成とは長期の営みであり、短期的な収入アップや、一時的な会社の人間関係の悩みに振り回されて良いものではありません。

良いエージェントは必ず「転職すべきかどうか」も含めて、求職者の相談にのることができる存在です。

 

3.求職者は「本音」をエージェントに話す。

求職者がエージェントに対して、最大限、誠実に対応しなければ、エージェントもその求職者に時間を使おうとは思わないでしょう。

当たり前ですが、信頼とは与えられる前に与えるもの。

求職者がエージェントを信頼しなければ、エージェントは求職者を信頼できません。

 

そのためには、多少かっこ悪くても、エージェントには「本音」で話すことが必要です。

・職場の飲み会が苦手

・苦手な上司のタイプ

・職場で苦痛だったこと

など、ネガティブな情報も進んで開示する勇気がなければ、エージェントが紹介してくれた求人も結局、無駄になってしまうでしょう。

 

4.エージェントは「企業の悪い情報」も開示する。

逆に、良いエージェントは、進んで「企業の悪い情報」も開示しています。

たとえそれが、求職者の転職意欲を減じるようなことであったとしてもです。

例えば、

・離職率の高さ

・給与のシミュレーション

・職場の人間関係、カルチャー

・現場の負荷

 

良いエージェントは

「こういった情報を隠しても、結局は求職者もまた、職場で不満を持つにいたり、双方にとって不幸な結果となる」

と知っています。

求職者側も、自分のネガティブな情報を開示すると同時に、このように「企業側のネガティブな情報」を開示してもらうよう、エージェントに積極的に依頼すべきです。

 

我々は「求職者」と「エージェント」の信頼関係構築を応援する。

上のような理由から、我々メディアはまず、求職者(=薬剤師さん)、およびエージェントの心情を理解することを第一としています。

 

例えば我々はインタビューや取材を数多く行っていますが、これは「薬剤師さんがどのような欲求を持ち、不安や困難をどう捉えているのか」を知るためです。

日本薬剤師会副会長が語る!未来を担う『かかりつけ薬剤師』のあり方

「100万回辞めようと思った」。医療と患者に寄り添うMRの存在意義とは?

 

結局のところ、数字やデータだけを並べられても、良い「協力関係」は生まれません。

メディアが発信する情報を通じて、求職者とエージェント、そしてメディアの「信頼関係」を構築できなければ、成功する転職は望めないでしょう。

 

HOP!は「自分の道を一歩踏み出したい人を応援するサイト」です。

上の「求職者と転職エージェントが良い関係を築くための4か条」は、その価値観の核となるものといえるでしょう。

 

 

*今回使用したデータの詳細が掲載されているページです

薬剤師おすすめ転職サイト|20社比較して選んだ本当におすすめしたい2選

薬剤師の転職が丸わかり!薬剤師エージェントが語る成功ポイント2つ

 

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(Photo:tokyoform