インターネットが普及し、だれもが気軽に発信できるようになった現在。

ちょっとしたきっかけで注目を浴びてインフルエンサーに、そこからテレビや雑誌と大活躍……なんてシンデレラストーリーはもはや珍しくない。

 

だからこそ、「何者かになりたい」、要は「有名になりたい!注目されたい!フォロワー増やしたい!」という人がたくさんいる。

で、そういった人をカモ……対象にしたセミナーやブログ、書籍なども、これまたたくさんある。

 

そこではいろいろなノウハウ、テクニックが紹介されているけど、結局のところこの一言に尽きる。

「インフルエンサーになりたきゃだれかのグーグルになれ」。

 

「この人の言うことは信用できるから今後も参考にしよう」と思ったらフォローする

最近、人生ではじめて犬を飼い始めた。

もうかわいくてかわいくて毎日しあわせなのだが、いかんせん人生初ペット。

なにをどうしたらいいのかまったくわからない。

 

というわけで、現代人よろしくまずはグーグル先生に相談。

「犬 散歩 しつけ」

「お手 教え方」

「犬 子ども 吠える」

ふむふむ、なるほど。

情報を切り貼りしたまとめ記事ばっかりだけど、まぁいいや。うん。

 

さて、実践方法を見るために、次はYoutube先生に相談。

ドッグトレーナーのチャンネルは多くあり、そのなかからよさそうなものを選んで流し見ていく。

動画が気に入れば、そのままぽちっとチャンネル登録。

 

そのあとはその人のチャンネル内の動画をさーっと見て、今後必要になりそうな「ブラッシングケアのコツ」「爪切りのポイント」などを「後で見る」に追加しておく。

そうすれば、次になにか調べたいとき、検索せずにその人の動画を見ればいい。

一度「この人を参考にしよう!」と決めてしまえば、今後の「検索してお目当ての情報に行き着くまでの試行回数」をグッと減らすことができるのだ。

 

というわけで、このように「この人をチェックしておけば自分の問題が解決する」「この人の言うことは信用できるから今後も参考にしよう」と他人に思わせることができたら、その人の影響力は増していく。

インフルエンサーとは、こうやって生まれていくのだ。

 

「ファンだから」ではなく「情報源として便利だから」

インフルエンサー(知名度に関わらず発信している人たち)をフォローしている人というのは、必ずしもその人の「ファン」というわけではない。

好きだから、とか、興味があるから、とかじゃなくて、「便利だからフォロー」という側面もあるのだ。

 

たとえばあなたにも、「資格の勉強をするならこのシリーズ」と本屋で必ず手に取る出版社があるんじゃないだろうか。

「仕事で悩んだらこの人の本」「ブログ運営ならこの人のサイト」というように、「グーグルで検索せずまずこの情報をチェックする」という対象をもっている人は多い。

 

そしてネットでの発信者は、その対象のひとつになりうる。

「この人の情報をチェックしてれば検索する手間が省けるし、求めてない情報が網に引っかかってわずらわしい思いをしないですむ。だからとりあえずフォローしとくかな」

というフォロワー層は、発信者に対し、ファンとはまったくちがうベクトルの期待をしている。

 

それは、「自分に最適な情報源でありつづけること」だ。

たとえば、だれにでもできるかんたんヘアアレンジで人気になったインスタグラマーには、当然のことながら、「自分がヘアアレンジで困らないような情報」を求める。

 

「あしたの友だちの結婚式にはこの髪型使えるかも」

「次髪切るときは美容院でこの写真を見せよう」

「ヘアアクセサリーがほしければこの人が使ってるのと同じものを買えばいいかな」

といった理由でフォローしているからだ。

 

その人をチェックすれば、「結婚式 ゲスト 髪型」でググらなくていいし、美容院のために好みの写真を探さなくていいし、Amazonでヘアアクセサリーページとにらめっこしなくてもいい。楽。

 

その人の「ファン」だなんて気はさらさらない。

「便利な情報源」として利用しているだけ。

 

インフルエンサーを支えるフォロワーのなかには、案外こういう考えの人も多いのではないかと思う。

わたしがドッグトレーナーのチャンネル登録をしたように。

 

だから、インフルエンサーとしての影響力がほしいのであれば、検索で一番上に自分のコンテンツが表示されることよりも

「グーグルやYoutubeで検索するより前にまず最初に自分のところに来てくれる人」

を重視すべきなのだ。

 

インフルエンサーに求められるのは、カリスマ性よりも利便性

「読者や視聴者の利益になる情報を」

「わかりやすく伝える努力を」

「具体的なユーザーペルソナを」

のように、発信において大事とされる要素は結局のところ、「だれかにとっての信頼できる情報源になる方法」だ。

 

「ファンを獲得すれば有名になれる」はもちろんだけど、たいていの人はそこまで熱心にだれかを応援しない。

だから「便利だからフォローしとこっかな」と思ってもらえるようにしろ……というわけである。

 

「犬のしつけに困ったら、検索するよりも信頼できるドッグトレーナーの動画を探せばいい。

そっちのほうが質が保証されてるし、情報の取捨選択の手間が省ける。

「お、この人ちょうどいいな」

多くの人にそう思わせることができたら勝ち。そういうゲームである。

 

求められているのは、「便利な情報源」。

決して、あなた自身のプライベートの写真や愚痴投稿ではない。

 

検索エンジンを汚すコンテンツ、たとえばステマやフェイクニュースを投稿をすればフォロワーが離れるし、アルゴリズム変動、たとえばキャラの方向転換なんかがあればがっかりされる。そういうものなのだ。

もともと知名度がある人なら別だけど。

 

ググればわかるけど、ググるのは面倒くさい。

だからこそのインフルエンサー。

炎上に頼る必要もなければ、有名人にすり寄ってコラボする必要もない。

ただただ、「情報の取捨選択の手間を減らす都合のいい存在」になればいい。それだけ。

 

もともと知名度があるわけではない一般人が影響力をもつとなると、「ファンを獲得」よりむしろ、「情報源になる」ほうが確実かつ近道ですらあるだろう。

自分の影響力をあげたい!という野心がなく、SNSなんて半ば放置しているわたしがこういうのもあれだけど。

 

「ネットでたくさんの人にフォローされて有名になりたい!」と願うのなら、だれかのグーグルになればいい。

それがいまの時代、無名の一般人が知名度を得る最適解だと思う。

 

 

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(2026/8/3更新)

 

 

【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

Twitter:amamiya9901

Photo by Matt Nelson