「ただの愚痴じゃん」と言われたらそれまでなのだが、ちょっと聞いてほしい。
あの……在宅勤務って、いつまでやるんですか……?
去年の春先から約半年間、夫が在宅勤務していた。
もちろん、コロナの影響だ。
6月から出社に戻ったものの、感染者増大を受け、11月から夫がふたたび在宅勤務をするようになった。
3月に『夫がリモートワークを始めたら、こっちの仕事がはかどらなくなった。』という記事を書いているが、2度目の在宅勤務でもその気持ちは変わっていない。
むしろ、強くなったくらいだ。
いったいいつまで、夫婦在宅勤務を続けるんだろう……?
くつろぐための家で、急に「お仕事してください」っていう在宅勤務は無茶振り
前回の在宅勤務のとき、「置く場所がない」と持て余していた夫の仕事用パソコン。
とりあえず140cm幅のデスクを注文し、それをリビングに置いて一時的な仕事場としていた。
が、在宅勤務も2回目。
話し合いの末、わたしの仕事部屋を夫に譲ることが決まった。
わたしはノートパソコンひとつあれば仕事ができるけど、夫はディスプレイ2つとノートパソコン、時折紙の資料も使う。電話も多い(個室のほうが都合がいい)。
夫のほうが労働時間が長いし、家事もわたしがメイン。
そのうえわたしは、午後ときおりリビングでゲームをしている。
順当に考えれば、わたしが新しく注文したデスクで原稿を書いて、夫がわたしの仕事部屋でやるのがいいだろう。
というわけで、仕事部屋を譲った。
いまは、デスクチェアは夫用の高さで固定、マウスは左利きの夫に合わせて左側に、デスクにはわたしが飲まないコーラの缶が並ぶ。
いや、納得はしてるよ!
限りあるスペースを分けあって仕事をするしかない現状、しょうがないもんね!
だれかが悪い訳ではないし、仕事部屋がひとつあるってだけでもラッキーだと思うべきだよね!
でも……。
リビングじゃ全然仕事がはかどらないよ!
ダイニングチェアだと腰が痛いよ!
印刷するたびに夫に許可取ってパソコンをつなぎ直すの面倒くさいよ!
自分の休憩のときふらりとリビングに来て犬と遊ぶのやめて!
わたしはもともと在宅ワーカーとはいえ、夫婦そろって在宅勤務するなんて想定はまったくしていなかった。
急に「みんな家で仕事してください。成果はオフィスワークと同じくらい出してね」って言われても、全家庭がそれに対応できるわけじゃないんですよ……。
家事を相手の都合に合わせてやるのは結構ストレス
そしてやはり立ちはだかるのが、家事の壁だ。
夫は仕事柄電話が多く、こっちが掃除機をかけてても夫が電話をはじめたら一旦手を止めなきゃいけない。
いつ終わるかわからない電話を待ちつつ、手持ち無沙汰で犬とたわむれる。
いままで洗濯物は仕事部屋に干していたけど、夫は部屋の湿度が上がって嫌だと言う。
家事は午前中に済ませたいけど、洗濯だけは16時以降にして、夫が仕事を終えてから干すことにした。
スーパーの買い出しに行くとき、「11時に出発」と言ってても、夫が忙しくなると30分、1時間と伸び、お昼ご飯も遅くなっていく。
わたしは11時に合わせて予定を立てていたから、予定が全部狂うのだ。
もちろん、夫は悪くない。
お仕事がんばってくれてるのもわかってるし、向こうもわたしの都合に合わせてくれたりもするから、お互い様だ。
うん、わかってる。
わかってはいるんだよ……。
でもいままで自分のペースで自分のやり方で家事を回していたぶん、自分がコントロールできない他人の都合でやり方を変えなきゃいけないって、かなりのストレスなんだ……。
お互い在宅勤務のはずが、気づいたらわたしが専業主婦化している
夫が在宅勤務になってから、わたしの仕事時間が減って、家事をする時間が増えた。
まぁ家にいる人間の数が増えれば家事も増えるから、当然といえば当然である。
夫はサラリーパーソンだから、フリーランスのわたしが合わせるのも当然。
でもそうなると、お互い家で仕事しているはずなのに、いつのまにか夫側の仕事の都合が優先されて、わたしがどんどん専業主婦化しているのだ。
家事をすること自体はいいし、週3回ハヤシライスでも、毎回夫は「おいしい!」とおかわりしてくれる。
だからそこまで負担はないんだけど。
でも、なんだかこう……
「わたしも働いてるのになぁ」って気持ちになっちゃう。
いままで共働きでやっていた夫婦も、いきなりお互い在宅勤務になって、いつのまにか「家でバリバリ働く夫と、それに合わせて家事をして自分の仕事があまりできてない妻」って構図になってるところも多いんじゃないかなって思う。
もしかしたら、在宅勤務で一番大きな影響を受けたのって、社会全体や企業よりも、各家庭なのかもしれない。
在宅勤務で一番影響があるのは、社会や企業じゃなくて家庭
想定外に夫婦が両方在宅勤務になると、
「まったくちがう仕事をしている人間と、くつろぐ空間である家で、増加した家事をこなし、仕事はこれまでどおりの結果を出す」
ことが求められる。
これが結構な無茶振りで。
もちろん、お互いがうまいこと協力して仲良くやるのが理想ではある。
でも現実問題、家で仕事ができるスペースなんてかぎられてるから、「どちらか優先」になりがちだ。
で、増えた家事はだれがやるの?って話になったら、しぜんな流れで、もともとメインで家事をやってたほうの負担になるわけで。
どの国でも、男性のほうが収入が高く女性のほうが家事時間が長い傾向にあるから、しわ寄せがだれにいくかと考えると……あとはわかるな?
改めて考えると、それって大問題だよね。
仕事に集中できない家庭環境、さらに増加した家事まで抱えていままでどおり働けず、それなのに「これだから女は仕事ができない」なんて言われちゃ、たまったものじゃない。
もちろん、メインとして働いている側もできるだけ協力しているだろうし、
「忙しいのに家事をやれって言われる」
「もう十分手伝ってる」
「こっちのほうが稼いでるんだから」
という不満もあると思う。
だから、どちらが悪いってわけではないんだ。お互い様。
ただ、夫婦そろって在宅勤務になったことで、収入が低く家事をメインでやっている側(高確率で女性)が気づいたら専業主婦/主夫状態になってる家も多いんじゃないかなって。
家庭内の出来事はなかなか顕在化しないぶん、そこに少し注目してもらえたらうれしいなぁ、と思う。
在宅勤務にメリットがあるのもわかる。
でも「在宅勤務=場所を変えただけ。ふつうに働ける」と認識しているとすれば、それは家族のだれかが負担を引き受けてくれているだけだ。
このご時世しかたないとはいえ、状況が落ち着いたら、我が家は「オフィスのほうがお互い集中して働けるね」って結論になる気がする。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
名前:雨宮紫苑
91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&
ハロプロとアニメが好きだけど、
著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)
日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち (新潮新書)
- 雨宮 紫苑
- 新潮社
- 価格¥760(2025/07/06 02:02時点)
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ブログ:『雨宮の迷走ニュース』
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