「ああ、会社いくのダルいなぁ」

 

働いていて、こんな事を思わない人間はいないだろう。

働いていない学生だって学校に行くのはダルい。

人間というのは何らかの義務に従事させられると、そういう事を考えてしまう生き物なのだろう。

 

「死ぬまで使い切れないほどのお金があったら、毎日遊んで暮らせるのに」

 

なんだかとってもユートピアそうに聞こえる毎日遊んで暮らすだが、実際問題どうなのだろうか?

今日はその話をしようかと思う。

 

働かない生活は、あまりにも暇…らしい

勝間式ロジカル不老長寿という本に記載されていた話だ。

勝間和代さんの周りには50歳ぐらいになってアーリーリタイアを選ぶ人が出てきたという。

 

資産や収入が十分にあるこれらの人が何をしているかというと、だいたい次に集約されるそうだ。

 

・ゴルフ
・美食
・旅行
・別荘遊び

 

こうしてみると、働かない人生は自由そうにみえて、意外と多様性に乏しい。

おまけにそれらをやっていてイキイキしているのならまだしも、多くの人はあまりにも暇すぎてyoutubeやネットニュースをたくさん見てつまらないフェイクニュースや陰謀論に騙されかけたりしているのだという。

 

故に勝間さんはアーリーリタイヤを選ぶ人の事をまったくうらやましいとは思えず、一生働き続けたいと思うようになったそうだ。

<参考 勝間式ロジカル不老長寿>

 

定年後は悲惨?

この本の中で勝間さんは「定年後」という本を書いた楠木新さんと対談した際の話も載せられているのだが、楠木新さんはいかに定年後が悲惨かという事を力説したという。

楠木さんが定年を迎えたさまざまな人達に取材を行ったところ、出会った定年後の生活を暮らす方の多くが本当にやることがなく、暇そうにしているという。

 

定年と同時に社会的なつながりから切断され、ネットワークからはじかれ、収入も大きく減る。

こうなった人はとれる行動に選択肢がなくなる。

結果、毎日図書館に行くか、スポーツクラブに行くしかなく、生活から彩りのようなものが大きく欠けてしまうのだそうだ。

 

そうなってみて、あんなにも毎朝行きたくなくて震えていた会社に行く事を禁止される事が、逆に物凄くありがたいことだったと気がつくというのだから、なんだかトンチのような話である。

定年というのは労働からの脱獄なんかではなく、逆に働きたくても働けず暇という監獄へ押し込まれてしまうペナルティ的な側面も持つのである。

 

定年後の人生は実に長い。

多くの人は少なくとも働けない人生を30年ぐらいはやるのだろうから、その為への準備はキチンとしておくべきだろう。

 

楽しい事を仕事にする

このような現実を前にして、私達はどうするべきなのだろうか?

まず誰もが思いつく事の一つに、やっていて楽しい活動を仕事にするというものがある。

 

動画撮影に文章執筆、絵描きなどなど…私達が日々楽しんでいる娯楽作品の多くは、私達にも生み出せなくもないものばかりだ。

あなたが仮に消費者として楽しんでいるコンテンツがあるのなら、いっそそれを自分で作る側になるのも一つの手である。

 

現代インターネット社会において生産者をやるのはそこまで難しい事ではない。

やるかやらないか、それだけである。

 

生産的趣味を一つでもいいから持つ事ができれば、消費以外の時間の使い方ができるようになる。

それはたぶん思った以上に重い意味を持つ。

少なくともやることが無くて暇という状況とは無縁になれる。

 

そう考えると定年を迎えるまでの時間というのはある意味では副業に対する執行猶予的な期間といえよう。

現代において労働期間は単に働くだけのみならず、定年後に打ち込める何かを探す為の期間でもあるのだろう。

 

労働に楽しさを見出す

もう一つ大切なのは、いまやっている仕事をキチンと商品化する為の努力だ。

いくら定年という縛りがあろうが、それはあくまで会社の中における話である。

自分の仕事にキチンと汎用性があるのならば、所属機関に関係なくフリーで技術を売るは可能だ。

 

フリーランスと経営者には定年はない。

そう考えれば、定年というのは「65歳になって働き続けたかったら、会社に頼らず独り立ちしろ」というある種の国が決めた区切りともいえる。

 

その為にも今やっている仕事の何に付加価値が生じているのかをキチンと意識化し、それをいつでも切り売りできるようにパッケージ化しておく必要はある。

そういう意識を持っているか否かは、後でかなり大きく響くはずだ。

 

食わず嫌いせずになんでもやっておくと、人生の自由が広がる

また、多少つらくても縁ができた仕事はキッチリやっておくべきだろう。

これはお金云々というよりも、人生の自由の幅が拡張できるという点が大きい。

 

最初はやっててつまらなかった事でも、それなりに継続をしていると面白みがみえてくるものは多い。

どんなものであれ、市場価値がキチンとついているものは消費するだけの活動にはない妙がある。

その妙さえ見いだせれば、人生におけるやっていて楽しい活動の範囲がより広くなる。

 

技能は行動範囲に直結する。

美味しいパスタが作れる人生はカップ麺しか選択肢の無い人生と彩りが異なる。

カップ麺だって凄く美味しいけれど、選べるのなら選択肢は多い方がいい。

仕事もそうで、できる事は多ければ多いほどいい。

 

だから働けるうちに食わず嫌いせずに様々な事をやってみるべきである。

時給やらコスパ感覚やらで自分の能力向上の機会を無くしてしまうのはあまりももったいない。

 

自ら進んで苦労をしろとまではいわないが、多少の大変さぐらいならば人生の肥やしだと思ってやっておく価値はある。

できる事が多い人生は、できない事だらけの人生とは完全に異なる。

その間の四苦八苦だって、色々と為になるものばかりだ。

 

苦労は社会性の獲得に最も寄与する

苦労は良くも悪くも人を丸くし、老獪さの向上に寄与する。

それは集団生活を送るにおいて、持っていて決して損なものではない。

 

社会性を身につける効率の良い方法の一つは困難を乗り越える事にある。

そういった困難にぶつかるのに、仕事は良くも悪くもいいキッカケとして作用する。

 

そうやって心のタフさを増してゆければ、あなたは自然と大人な態度をみにつけられるようになる。

そうすればしめたものである。

 

大人はなろうとしてもなれるものではないが、苦労は必ず人を大人にする。

そうして大人になれれば、自然と尊敬の念も得られるようになろう。

少なくとも未熟な人間と言われるよりかはだいぶ自尊心は高まるはずだ。

 

合唱祭の練習で不真面目なクラスメイトに向かって、ガチ泣きしていた女の子の思い出

最後に一つ。

真面目に人生をやった方が不真面目よりも得だという話をして文章をしめよう。

 

やっている活動の中に面白みを見いだせるか否かも、ある意味では自分の腕次第である。

同じ人生ならば、斜に構えるよりかは真面目にやった方が得だしカッコいい。

これは間違いなく人生の真理の一つだ。

 

今でも思い出す事の一つに、中学生時代に合唱コンクールの練習の最中に「なんでみんな真面目に練習しないの‼」とガチ泣きして訴えかえてきた女の子の姿がある。

僕はその時「なんで一生懸命やっても1円にもならないような活動に、こんなに馬鹿みたいに真剣になっているのだろう?」と冷めた目で彼女を眺めていたのだけど、その後で自分が完全に自分が間違っていた事を痛感した。

 

結局、その女の子の涙の訴えが効いたからか我がクラスは実に熱心に練習を行い、皆の技量はとんでもなく上昇した。

そうして行われた合唱コンクール当日、コンサートホールにて実に美しい20億光年の孤独が鳴り響き、会場は騒然となる。

 

全てが恐ろしく完成された合唱の中に居た、あの時の恍惚感は今でも忘れられない。

それまでは音楽はプロの完成された演奏を聞けば十分だと思っていたが、真剣になって皆で一丸となって取り組む事でしか味わえない感情というものがこの世にある事をあの時初めて知った。

 

たぶん、仕事だってあの光景の再現はできるはずなのだ。

それをやるには真面目に丁寧に人生をやらないと駄目だけど。

 

斜に構えて、なんでも達観したかのような知った顔でやり過ごすには人生はあまりにも勿体ない。

真面目にやらないと、見えない景色というのは確かにある。

 

そういう景色を死ぬまでにみれるかどうかも、全てはあなた次第なのである。

 

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように

noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます

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