リスキリングやリカレント教育、未来人材ビジョンといったキーワードと共に、学びやキャリア形成に関する情報が溢れている。
グロービスの展開するビジネスナレッジの定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」(以下グロ放題)は、「#これからの履歴書」をスタートし、若手社会人の学びやキャリア形成を応援する情報発信の強化を始めた。
取り組みの第1弾として発表されたのが、若手ビジネスパーソンを対象とした「社会人と学び」に関する調査である。
調査から見えてきた、彼らが抱える「学び」への課題、そしてそれらを乗り越える一歩の踏み出し方とは。グロ放題の事業責任者を務め、ビジネスパーソンの学びについての発信を続ける鳥潟幸志に聞いた。
「これから」を切り拓く若手をサポートしたい
――「#これからの履歴書」と題し今回の企画を始めた背景を教えてください。
2022年10月3日の所信表明演説で岸田首相が学び直し支援について触れるなど、近年「社会人の学び」は注目を集めています。一方で日本は、企業による人材投資や個人による自主的な自己啓発学習が他国と比較し活発でないことも明らかになっています※。
キャリアの自由度が高く、先行き不透明(VUCA)、そして人生100年時代とも称される今。選択肢が多いからこそ、これからどう学び、今後の長いキャリアをどう切り拓いていくべきかと不安を感じる若手ビジネスパーソンの方も多いでしょう。
こんな時代には「次のキャリア、そして将来はこんなことにチャレンジしたい」という<意志>をベースに、様々な経験や学びを積み重ねていくことが大きな力になっていきます。
履歴書というと学歴や職歴など過去・現在の事柄を記載するものですが、大事なのはそれだけではありません。過去の経験や今の気持ちに向き合うことをヒントにして、自身の未来や今後のキャリアを考え直し、「これから」を切り開いていってほしい。「#これからの履歴書」という名前には、若手ビジネスパーソンへのそんな想いを込めています。
自らの中から「行き先」を探し出す
――調査によると、若手ビジネスパーソンの約7割が「学びを取り入れるべき」と考えているものの、その約6割が実践できておらず、状況に不安を抱えているそうです。なぜこうした気持ちを抱えながら、一歩踏み出せない人や学びを継続できない人が多いのでしょうか。
(すべて「#これからの履歴書」提供)
例えばSNSなどを見ると、若くして事業に成功した方やキャリアアップした方などで溢れています。他者の成功体験に触れることで「自分も成功しなくては」「何か始めなければ」と焦りや不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、そういった外からの刺激は、案外効果が長続きしないもの。なぜなら、それらは本当に自分が求めているもの、実現したい未来につながっているとは限らないからです。
だからこそ、内発的な動機付けが必要です。調査では「必要な学びをできていない理由」として、多くの方が「自分に必要な学び」や「何を学びたいか」がわからないと挙げていますが、前段階として「自分が何をやりたいのか」「今後どのようなキャリアを歩みたいのか」を知ることが大切です。
(「#これからの履歴書」提供)
――目の前の業務に忙殺されて、そもそも自分自身にじっくり向き合い考える時間を取れていない方も多そうです。そんな方に、アドバイスはありますか?
いきなり何時間も使って考えようとするのではなく、自分に向き合う習慣を毎日の生活の中で持つことが大事です。例えば私の場合、朝起きてすぐの時間を、リラックスして日々の自分を振り返る時間としてルーチン化しています。習慣をつくることがスタートなのです。
振り返りを始めてすぐ明確な答えは出るわけではないですし、出す必要もありません。「どんなときにワクワクするのか」「この先何をやってみたいか」などを手がかりに自分を見つめ、そこからまずは大まかな方向を決めてみる。そうして進んでみて、様々な経験をし、考え続けながら、自分の道を切り拓いていけばいいのです。
キャリアを切り拓くために必要な「3つの力」
――「これから」の大まかな方向が見えてきても、その実現のために何を学べばよいかなど、より具体的な行動までは見えにくい気がします。「まず進んでみる」上で何か根幹的な力を学ぶとして、どこから始めるのがよいでしょうか。
先ほどお話しした、自分のこれからを考え、大まかな方向を決めて進んでみる過程の中で、どこでも求められるのが「考える力」「挑戦する力」「学び続ける力」の3つです。
「考える力」は、あらゆる業界、職種で役立つポータブルスキルの代表です。これを磨き続けることが、可能性を広げます。これまでにない課題を解決したり、感性や経験に基づくアイデアを発想したりといった業務において必要となるこの力は、多くの仕事がAIやロボットに代わるであろうこれからの時代において、重要性が特に高まるでしょう。
「挑戦する力」は、起業や新規事業の立ち上げといった大きなチャレンジをする力だけを指すのではなく「わからないことに対して、行動してみる」こと。例えば実際のビジネスでも、アイデアや仮説を頭で考えるだけではなく、ユーザーアンケートを取ったりベータ版を出したりといった小さなトライを通じ、たくさんの気づきが得られます。そうした行動に対して「失敗してしまったら」「周囲がどう思うだろう」と思う方もいるかもしれませんが、勇気を出してやってみましょう。そうして自分の力を磨くことが大切です。
「学び続ける力」は、常に自分自身の“軸”や現状スキル・知識、そして置かれた環境を把握し、「これから」のために自身に欠けているものを理解し、それを学んでいくこと。未来を見通せない時代だからこそ、自身で考え学び続けられる力が不可欠です。
今の業務に関わる学びから始める
――若手のうちは、そういった根幹的な要素を身に付けることに専念すべきなのでしょうか。
そんなことはありません。今携わっている業務に関する実務的なことから着手し、更に周辺に向かって知識やスキルを広げていくことも同時に進めていくとよいでしょう。
例えばいまマーケティングの仕事をしているのであれば、分析ツールを習得する、画像や動画の編集を学ぶ、あるいは営業などの関連部門について理解を深めるなどができるかもしれません。できることが増えれば、その分可能性は広がっていくのです。
――指導役の方などにサポートを求めることも有効そうですね。意欲的にスキルをキャッチアップしたい若手層に対し、周囲ができることはあるのでしょうか。
有効なアプローチはいくつかあるのですが、特にお勧めしたいのが経験学習モデルです。
「経験学習 ~成長するコツを実践し自分の可能性を広げよう~」GLOBIS学び放題 より
具体的に取り入れるには、若手が業務で何かを経験した際、その経験を題材に内省や振り返りを一緒に進めていくといいでしょう。例えば、初めてプレゼンを行った後に、上長からのフィードバックと部下自身によるプレゼンへの評価を一緒に振り返る。そして、それを「相手の表情を見ながら、話すスピードを変える」といったように教訓化し、次の機会に実践してみる、という流れです。
業務の知識やスキルを広げるようサポートすると同時に、経験が「スキル」として蓄積されていくよう促してみてください。
他人と比較することなく、自分だけの「これから」を
――最後にあらためて、20代~30代の若手ビジネスパーソンは、学びとどのように付き合っていくべきか、アドバイスをいただけますか。
「学び」というと、まして時間やお金をかけるからには、すぐに周囲にもわかりやすい大きな成果を出さなければいけない、というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
例えばメールも「どう書けば1往復で終わらせることが出来るか」とクリティカル・シンキングで考え、書き方を変えてみる。上長への報告のとき、ロジックツリーで情報を整理してから伝える。そんな小さな成果の積み重ねでも、自分自身のよい変化を感じたり、仕事が速く進むようになったり、周囲に貢献できるようになったり、自分の選んだことに使える自由な時間が増えたりと、さまざまなプラスの変化が起きるはずです。
たとえ小さくても学びによって変えられることはあります。学びは苦しいものではなく、達成感や楽しさを得られるものだと思って付き合っていってみてください。
自分の「これまで」も「これから」も、誰かと比較するものではなく、他人に評価されるべきものでもありません。幸せとは結局「自分で自分を認めてあげられる」ことを指すのだと思うんです。
一歩踏み出してチャレンジする、明日の自分を少し変え、満足できる未来へつなげていく――学びはそれを支えます。「#これからの履歴書」の活動や「GLOBIS 学び放題」が、学びによって自分自身を認め、育んでいける方を増やす取り組みになればと思います。
※ 「未来人材ビジョン」経済産業省 令和4年5月
(執筆:鳥潟 幸志)
AUTOMAGICは、webブラウザ上で商品情報を入力するだけで、
・ターゲット分析
・キャッチコピー
・ネーミング
・キャンペーン企画案
・商品紹介LPの文章
を自動で出力します。
登録すると月間40,000トークン(約2記事程度)までは無料でご利用できます。
↓
無料登録は こちら(AUTOMAGICサイト)へ
詳しい説明や資料が欲しい方は下記フォームからお問合わせください。
↓
AUTOMAGIC お問合せ・資料ダウンロードフォーム
【著者プロフィール】
日本で最も選ばれているビジネススクール、グロービス経営大学院(MBA)。
ヒト・モノ・カネをはじめ、テクノベートや経営・マネジメントなど、グロービスの現役・実務家教員がグロービス知見録に執筆したコンテンツを中心にお届けします。
Photo by:Thomas Martinsen