元電通のコピーライターの梅田さんから新刊をいただいた。
タイトルは「言葉を武器にする経営」。

この本は「正確な言葉」「響く言葉」「真実を語る言葉」を使うように、繰り返し求めている。
これを読みながら、Xで見た話題をふと思いだした。
「言葉」を使うのは、強い自制が必要なのだなあ、と。改めて思ったのだ。
その話題とは、「国語ができる人には意味不明だけど、馬鹿には読める文章」というもの。
この見方は浅いと思う。
前から言ってるけど、「馬鹿には読める文章」というのがあるんですよ。
例えば数式なら、数学できる人には読めてもできない人には読めない。でも自然言語の文章は、国語ができる人には意味不明で解読不能だけど馬鹿にだけ読める、という不思議なことが普通にある。… https://t.co/GlDPb2dCFs— ystk (@lawkus) July 22, 2026
どういうことだ?
と思って、具体例を見てみた。どうやら下のような文章らしい。
この「馬鹿にだけ読める文章」という比喩、リアルタイムで暇空騒動を観測していない人には分かりにくいと思うので、具体例を置いておきます。池内さおりのLINEアイコンの犬とHPの犬が同一だったと指摘しただけで、何かの秘密を解き明かしたと感じた人が湧いて出るのです。意味が分からない人が正常です https://t.co/wtTQxBNgxm pic.twitter.com/uVqTslMH5t
— 勿忘草 (@H_forgetme_not) July 23, 2026
見ると、犬の画像をアップした人物に対して、「また一つ謎を解き明かした」というコメントが付いている。
確かに元の投稿を見ても、さっぱり何を言っているのかわからない。文脈を知っていればわかるのだろうか。
おそらく、私の知識不足なのだろう。
ただ、これを見て、どこかでこのような言説を見たなと思った。
一部界隈における「チャート分析」や「相場」の話題。
例えば下のようなイメージだ。
現状、日足で見ると直近高値圏でのもみ合いが続いていて、25日線をサポートに上値を試す形です。出来高も上昇局面で素直に増えていて、需給自体は悪くない。
ただ、RSIが70近辺まで来ていて、ここで短期的な過熱を警戒できるかどうかなんですよね。この水準で『まだ上がる』と飛びつくか、『そろそろ一回入るな』と引けるかで、正直かなり差が出ます。まあ、大半の人は前者なんですけど。
私には何を言っているのかさっぱりわからない。
もちろんこれは「馬鹿には読める」という文章ではない。
が、どこか似た部分があると思った。
というのも、「チャート分析」は、根拠がまったく分からないからだ。

(出典:橘玲 臆病者のための株入門)
最近でも、テクニカルの手法を実際に検証した方が、「効果なし」としている。
辛い。この2日間AIに東証の20年間のデータ全部食わせて、fable5とcodexでトークン燃やしまくって聖杯探ししてたんだけど、全く見つからないどころか当たり前のように語られる… pic.twitter.com/HuG6t8I18m
— 絶円の借金さん。 (@syakkin3) July 19, 2026
それでもテクニカル投資を信じる人は数多く存在する。
私だけが知っている
このようなことを言うと、チャート分析の手法を推奨している方からは、「あなたが無知だからだ」という批判があるだろう。
たしかに、そうかも知れない。
もしかしたら本当に成功する法則があるのかもしれない。
しかし、勘違いしていただきたくないのは、私はチャート分析そのもの是非についてはどうでもよいと思っている。
信じたい人は信じればよい。
そうではなく、私が疑問視しているのは、こうした解説によく、
「賢い私(たち)だけは、これを知って成功しましょう」
「私たちだけがこの価値を理解できる」
などの、読み手の優越感をくすぐる言説が、頻繁に用いられている点だ。
そして実は、「国語ができる人には意味不明だけど、馬鹿には読める文章」の正体がここにある。
「馬鹿には読める文章」というのは、実は文章の難易度とは関係ない。馬鹿とも関係ない。
では本質は何かというと
「私だけが理解できる」という優越感を喚起し、「自分を「賢い」と思わせてくれる文章」
のことを指す。
例えば。
陰謀論の「点と点をつなぐ」投稿。
「9割の人は気づいていない」「知っている人だけが得をする」という広告。
「あなたはレアな性格タイプで、頭が良いのです」という根拠不明の分析。
IQ200の人が解ける問題。
意味深に見えるほのめかし・示唆。
こうした言説の目的は、実は「読み手」をおだてることに主眼がある。
「世の中はバカばかりですけど、これを理解できるあなたは賢いですよね?素晴らしい!」と。
だから、下のように「馬鹿には読める文章」を中身のない文章、というように定義している投稿もあるが、私はちょっと違う見方をしている。
「馬鹿には読める」文章ってのをより厳密に言うなら
「本当は『無意味な文章』『間違った文章』なんだけど、あまりにも中身が無い結果『スポンジのようにスカスカな文章に、バカが自分の妄想を染み込ませて、意味を創出して、読めたと錯覚できる』妄想の余地しかない文章」
ってとこかな? https://t.co/DEmHNMFpP2
— 文月葵 Mk-2 (@Fuduki_Aoi_02) July 23, 2026
大した根拠もなく、「頭が良い人ですね」とほめてくれる人は詐欺師です
なぜならば、読者諸兄はご存じだと思うが、こうした発言に長けているのは「詐欺師」だからだ。
・現状に不満ですよね?
・あなただけにいい話を教えます
・あなたのような賢い人だけがこれを理解できるのです
というのは、詐欺師の常とう手段だ。
「国語ができる人」は、基本的に
「文中にないことを読みとらないように」
「根拠を探しながら」
「先入観を持たず」
「自分は無知である」
という前提で、文章を読む。
いや、こうしないと正確に読めない。
「そんなこと書いてないですよ」と言われないためにも。
それに対して、上でいう「馬鹿には読める文章」は全く異なる。
それは
「読み手に都合の良い解釈」
「書いてあること以上のこと」
「自分にとってうれしい真実」
を勝手に想像してよいことになっている。いや、あえて想像させるように仕向けている。
「正確に読め」とは真逆だ。
だから、「馬鹿には読める文章」は
ここまで言えば、後はわかるな?
これくらい当然わかってますよね?
と、読者にほのめかす。
国語ができる人は、
「いや、わかんねーよ。書いてないことは」
と思うのに対して、
「馬鹿には読める文章」で喜んでしまう人は
「言わなくても、当然わかりますよ。何せ私は賢いですから。」
と(勝手に)思うので、だましやすい。
結局のところ、人をおだてて、そして、人を操作しようとして書かれたのが
「馬鹿には読める文章」なのである。
コピーライティングの世界にも、間違いなく、そういうものが存在する。
梅田さんの本は、それを強く、警告している。
そう感じる本だった。
Google検索にAI Overviewが表示され、ChatGPTやPerplexityで情報収集するユーザーも増えています。検索順位を上げるだけでは、企業の情報が見つけられなくなる時代に、何をすべきか——。Books&Appsの弊社ティネクト代表安達裕哉が「経営oneplusサミット2026 Summer」に登壇します。

<2026年7月30日 開催予定>
AI検索対策最前線:手法から効果測定まで
安達裕哉 登壇|経営oneplusサミット2026 Summer 内セミナー講演概要
これから重要になるのは、AIに正しく理解され、引用され、推奨されるための情報発信です。SEOからAIOへと変わりつつある考え方から、具体的な対策手法、効果測定の考え方までをコンパクトに解説します。
登壇者
安達裕哉(ティネクト株式会社 代表取締役社長)
Deloitteで12年以上にわたり大企業から中小企業まで業務プロセス改善コンサルティングに従事。近年はAIによるコンテンツ作成を専門とする。著書に『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』『頭のいい人が話す前に考えていること』など。
開催日時:2026年7月30日(木)13:35-13:55
配信形式:オンライン(経営oneplusサミット2026 Summer 内)
参加費:無料
特典:事前申込でアーカイブ動画(2週間)を全員にプレゼント
お申込み・詳細
こちらのイベント詳細ページ をご覧ください。
(2026/6/26更新)
【著者プロフィール】
安達裕哉
生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」95万部(https://amzn.to/49Tivyi)|
◯Twitter:安達裕哉
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◯note:(生成AI時代の「ライターとマーケティング」の、実践的教科書)
〇まぐまぐ:実務で使える、生成AI導入の教科書
Photo:Iva Rajović




