ネットが乱れている!

ネットが乱世だ。言い過ぎかもしれない。

しかし、日本でとくにユーザーの多いTwitterが大混乱している。閲覧制限、API制限。

そこに、Metaのスレッズが殴り込みをかけてきた。殴り込みといえるかどうかは後で考える。

 

そして、日本のインターネットの古典である5chもおかしくなった。APIを握っていたJaneが、接続先をTalkという2ch様の新しい掲示板に切り替えた。切り替えたが、5chがAPI開放して、ほかの専用ブラウザで見られるように戻った。

なにが起こったのか、どんな反乱だったのか、今のところわからない。専用ブラウザJaneStyleユーザー以外もTalkに切り替えるのか、5chが巻き返して存続するのか。今、これを書いている段階ではわからない。

 

ちなみに、おれは「あめぞうリンク」の崩壊から2chの誕生に立ち会った「アングラ私書箱」の出だが、2chに書き込んだことはない。ROM専だ。それでも、おなじ野球チームのファン、同じバンドのファン、同じ薬を飲んでいる人たちの言葉を見るのは好きだ。

いずれにせよ、ネットに何かが起こっている。……ような気がする。

 

Twitterの混乱

Twitterの混乱はイーロン・マスクが実権を握ってからだと思える。

当初おれは「だれが頭だろうが、Twitterが存続するならばそれでよい」と思っていた。なにか変化があっても、特殊な使い方をしない限り、影響はないだろうと。少なくとも、おれのような地味な使い方をしている人間には、と。

 

ところが、あったねえ。これには驚いたTwitterの安定感、規模、そんなものが根底から覆されるような事態になるとは。

あ、でも、閲覧上限に達したことはないし、BANされてもいないのだけれど。

 

でも、自治体や公共団体、もちろん私企業もTwitterに頼っていたところがあるわけだ。3.11のときの影響だろうか、Twitterは一つのインフラとみなされるようになった。そういう面もある。

自治体の公式情報が流される例も少なくない。なかには、災害情報を流しているところもある。更新しやすさ、広がりやすさ。Twitterは優秀だった。

 

なので、サイトにタイムラインを埋め込んでいる公的サイトも少なくない。

それも今はエラーが出てしまう(「通知はまだ届いていません」という表示)。ほかでもない、おれ自身も、サイトを管理している地方自治体的なところから、災害情報的(あくまで「的」です)なものの埋め込みがうまくいってないと連絡を受けた。

 

ただ、理解あるクライアントで「イーロン・マスクのせいですかね?」と言ってくれたので、「そうです、マスクのせいです。今しばらく様子見するしかないです」と、答えた。

はっきり言って、復旧するとは思えないが、代替案を提示するのも負担なので、とりあえずお茶を濁すしかない。まあ、復旧の可能性が皆無ではないと思いたいが。

 

つーか、Twitterなんてあるていど公的な……なんと言ったらいいのだろうか、営利企業のものではなく、公益社団法人というか、なんというか、そういうものになってもよかったんじゃないのか。NPO法人か? 詳しくないのでようわからんが。

Twitter創業者のだれかはそんな感じの考えを持っていたのではないだろうか。まあ、それはそれで、どこまで下世話な話題やエロが許されるのか、みたいなところはあるだろうけどさ。

 

あるいは、国が公共団体用のTwitter的なものを用意してくれてもよかったんじゃないのか。全国みんなが使えるようなやつ。もう、それは公的な情報だけを流すようなやつ。それをTwitterにまかせてしまったから、なんか問題になる……ところもある。

 

おれとTwitterとはてなブックマークと

おれとTwitter、Twitterとおれ。公的な話はともかく、その話をしよう。

おれはけっこう早くアカウントは確保した。goldheadというアカウントが欲しかったからだ。それだけだ。

ただ、使い始めるのは遅かった。ブログをやっていたおれには、とくに用途を見出せなかったからだ。

 

が、おれの利用するはてなブックマークというSBS(ソーシャルブックマークサービス)との連携ができるようになって、はてなブックマークのバックアップとして使えるのではないかと思い、使いはじめることにした。

 

なに、はてなブックマークの説明が必要か? はてなブックマークは一つのURIを保存して、自分のコメントを残せるものだ。基本はこれだ。

ブラウザのブックマークに残すほどではないが、記録しておきたいページを保存する。サイトではなくページ単位、記事単位のブックマーク。それが基本だと思う。

 

しかし、ソーシャルというからには理由がある。その記録を他人と共有できるのである。一つの記事に、いろいろな人がコメントを残すことができる。それを一覧できる。

そしてどうなったかといえば、ニュースやなにかの話題の出来事に、皆がコメントを残し、一つの掲示板のようになった。ときには炎上というものを助長しているかもしれない。功罪はある。

 

とはいえ、おれは功罪の功の方を大きくみている。そうでなければ使いつづけていない。いろいろの人の意見に気づかされることも少なくないし、別情報への誘導もあったりする。

 

自分だけが一つの話題を見て、どう感じたか。それも大切だが、おれは愚かなので知らないことも多いし、一人で多角的な物事の見方をできるわけでもない。もちろん、大喜利的なネタも楽しい。

ある記事を見てカチンときたり、反感を覚えたりしたとき、ほかの人の意見を見て思い直すこともある。悪くない。おれはどちらかといえばはてなブックマークが好きである。

 

して、Twitterとの連携ということになる。連携というか、最初は「はてな無くなった困るな」(はてな社に失礼。でも、おれ、株主なんだけど)というバックアップであった。

しかし、はてなブックマークに「Twitterからのアクセス数」というものが表示されるようになってから、なにかそれを楽しみにするような自分が出てきた。

 

Twitterからのクリック数が多いと、Twitterでフォローしてくれている人に、興味深い話題を提供できたかもしれない、という妙な喜びである。

自己の記事ではないので自己顕示欲ともいえないが、話題を提供できたという気持ち。編集者の喜びとでもいうべきか。おれの父は若いころ雑誌の編集者をしていたので、そういうところが遺伝したのかもしれない。

 

そんなおれとはてなブックマークとTwitterだったが、蜜月はいったん切れた。Twitter側がはてなブックマークのような連携を遮断したのだ。

遮断中は、なにかはてなブックマークすら面白くなくなったようで、どうにもネットが面白くなかった。

現在は、連携が復活した。とはいえ、URIにむりやりコメント内容をぶち込むという力技(「intent/tweet?text=」で。エンジニアではないのでそう見える)だが。それでも、おれは連携が復活してよかったな、と思うのである。また、キュレーション(?)することができる。密かな喜びだ。

 

本来のTwitter

しかし、本来の本来、おれはTwitterでなにを、したかったのか。はてなブックマークの連携はその一つだが、それ以外にもあるはずだ。そのあたりをスレッズの出現などで考えるようになった。

 

これを書いている現状では、スレッズにはフォローした人だけのタイムラインもないし、ハッシュタグもないし、検索もできない。

死蔵していた(これもアカウント名を確保するため)Instagramのアカウントから登録してみたが、有名芸能人やネットのインフルエンサーの書き込みが流れてくるばかりで、いったいどうしてよいかまるでわからない。正直言って、ここに自分のつぶやきや写真を流したところでどうなるものかという思いしかない。

 

ほか、Twitterの代替としてMastodonもどうしてよいかわからないし(連合型?)、Misskeyも独特のノリがきつすぎてついていけない。Blueskyは招待されていないのでどんなものかもわからない。

 

やはり、Twitterの存続かな、と思う。存続してくれ、と思う。おれが作ってきたフォロー、被フォローの関係、これがやはり大きい。知らない間に大きくなっていた。

おれはTwitterのプロフィールに「やりとりはしません」と書いているくらいやり取りをしない人間だが、それでもいつも見かける人はいるし、いつもいいねをつけてくれる人もいる。それは認識している。

 

ゆるい繋がり。繋がっているのかどうかもわからない程度のゆるさ。

しかし、なんらかの共通点、あるいは共感があるからこそ成り立っているなにか。そういうものがある。

 

おれがTwitterを見るようになってすぐのころ、相互フォローしている数少ない人がこんなことをつぶやいた。

あるアニメの初回放送のときだった。「自分は数十人しかフォローしていないが、一度に数人がこのアニメに反応した。これがTwitterか」。

 

そのアニメについてつぶやいて、そういうコメントを見たおれは、「これがTwitterなのだな」と思った。

おれのTwitter観にはそれが根底にある。そういう、ゆるい繋がりのようなもの。

 

Twitterは政治思想や社会正義のぶつかり合いの場でもある。極端な意見、党派制が生まれる。それは否定できない。

そして、おれはそれに加わったりしないものの、Togetter(Twitterのまとめサイト)経由で眺めたりするのは嫌いじゃない。

 

Metaのスレッズはそういう金ならないものに寄せるつもりはないようで、ひたすらキラキラした世界を目指しているようだし、それならそれで勝手にやってほしい。

おれはどうもキラキラにはなじめないようだ。少しばかりエモい写真を撮ることはできるかもしれないが、それじゃ面白くないのだ。

 

Twitterの記入欄には「いまどうしている?」というプレースホルダーがある。

あくまで「いまどうしている?」というつぶやきが本来なのだ。すごくおとなしいSNSといえるかもしれない。本来は。

 

結局のところ、インターネットでなにがやりたいの?

結局のところ、おれがTwitterでなにをやりたかったのか、というのは、よくわからない。そもそもブログを書くことになにを求めていたのか。それすらわからない。

なんでインターネットで自分の言葉を晒すのだ? でも、自分がここにいて、こんなことを考えている、そんなことをどこかのだれかに伝えたかったのかもしれない。伝えずにはいられなかったかもしれない。なんらかの初期衝動がそこにはあって、それを発展させたおれというのもいない。

 

いまのおれのTwitter。はてなブックマークからの転載と、毎晩の夕食の写真(今は毎晩、野菜炒めです)。ちょっとしたその日の日記。土日には「ボイラーハウスがんばれー」、「シンヨモギネスがんばれー」というつぶやき(両方とも競走馬の名前です)。あるいは、カープの試合を見ながらの感想。「いまどうしている?」にふさわしいかもしれない。

 

読み手としては、朝のDMチェックと、一日の終わりの通知チェック。通知が溜まっていると、ちょっと楽しい。そのていどのものだ。

おれはTwitterでバズったこともないし、万人単位のフォロワーがいるわけでもない。それでも三千人のフォロワー(実際に見かけられるのは何分の一かだろうが)は貴重に思うし、フォローしている人も含めて、それをそのまま引き継げないサービスに価値も感じない。

 

「壁打ち」同然でブログをはじめ、SNSを始めた。結果、なにか繋がりを感じてしまっている。少し驚きでもある。これも、Twitterの危機であらためて気づいたことでもある。

おれはそもそもTwitterでなにをやりたいわけでもなかったけれど、できてしまった糸のように細い関係性、関係性ともいえないようななにかが好きだ。そう言える。

イーロン・マスクさん、なんとか壊さないでくれないか。あなたもツイ廃ではなかったのか? 今はそう願うばかりである。

 

でも、Twitterという場がなくなったら、次の場所で一人でつぶやき始めるだけだろうとも思う。それに気づいたら、フォローしてくれたらうれしい。それだけだ。

 

 

【お知らせ】
人手不足 × 業務の属人化 × 非効率──生成AIとDXでどう解決する?
今回は、バックオフィスDXのプロ「TOKIUM」と、生成AIの実務活用支援に特化した「ワークワンダース」が共催。
“現場で本当に使える”AI活用と業務改革の要点を、実例ベースで徹底解説します。
営業・マーケ・経理まで、幅広い領域に役立つ60分。ぜひご参加ください!



お申し込みはこちら


こんな方におすすめ
・人材不足や業務効率に悩んでいる経営層・事業責任者
・生成AIやDXに関心はあるが、導入の進め方が分からない方
・属人化から脱却し、再現性のある業務構造を作りたい方

<2025年5月16日実施予定>

人手不足は怖くない。AIもDXも、生産性向上のカギは「ワークフローの整理」にあり

現場のAI・DX導入がうまくいかないのは、ワークフローの“ほつれ”が原因かもしれません。成功のカギを事例とともに解説します。

【内容】
◯ 株式会社TOKIUMより(登壇者:取締役 松原亮 氏)
・AI活用が進まないバックオフィスの実態
・AIだけでは解決できない業務とは?
・AI活用の成否を分ける業務構造の見直し
・“人に任せる”から“AI×エージェントに任せる”時代へ
・生産性向上を実現した事例紹介

◯ ワークワンダース株式会社より(登壇者:代表取締役CEO 安達裕哉 氏)
・生成AI活用の実態
・「いま」AIの利用に対してどう向き合うか
・生成AIに可能な業務の種類と自動化の可能性
・導入における選択肢と、導入後のワークフロー像

登壇者紹介:

松原 亮 氏(株式会社TOKIUM 取締役)
東京大学経済学部卒業後、ドイツ証券に入社し投資銀行業務に従事。
2020年に株式会社TOKIUMに参画し、当時新規事業だった請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の立ち上げを担当。
2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。

安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計71万部を突破し、2023年・2024年と2年連続でビジネス書年間1位(トーハン/日販調べ)を記録。


日時:
2025/5/16(金) 15:00-16:00

参加費:無料  定員:50名
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
こちらウェビナーお申込みページをご覧ください

(2025/5/8更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

著者名:黄金頭

横浜市中区在住、そして勤務の低賃金DTP労働者。『関内関外日記』というブログをいくらか長く書いている。

趣味は競馬、好きな球団はカープ。名前の由来はすばらしいサラブレッドから。

双極性障害II型。

ブログ:関内関外日記

Twitter:黄金頭

Photo by :Joshua Hoehne