あのー、最近身内が倒れましてね、そこから入院しましてね。なんやかんやあって心臓にペースメーカーつけることになりまして。これ書いてる今ちょうど、まさに手術やってる最中なんですけど。そこのリアルタイム感いる!?

どーもー、ズイショでーす、よろしくお願いしますー!

 

で、なんやかんやの部分は本当になんやかんやあったんですけどそこは置いときまして、今日お話したいのはですね、ガチのインフォームドコンセント受けてきたんですよ。しっかり目のやつ。みなさんにお話したい理由としては大きくふたつありまして、単純にみなさんもね、お医者さんのお世話になることがいつかはやってくるんでしょうし、その時に備えての単純なレポとして予習にお役立ていただければというのがひとつ。もうひとつはたぶん病院の人らでブラッシュアップされた結果なんでしょうね、完成された説明と合意形成に至るプロセスが今後自分の仕事とかコミュニケーションのうえでも参考になりそうだなと感心しましたって話です。よろしくどうぞ。

 

まー、事前に話は聞いてたんですよ、もうこれはペースメーカーつけるしかないよねって話になってるってのは。そして手術自体もそんなに難しいもんじゃないですよ、とも。そうだよね、だってよく考えてみたらペースメーカーなんて心臓に外から電流流すだけのオモチャでそれを取り付けるだけなんだから。心臓って言われると医龍とかブラックペアンとかドクターXとかいろんな医療ドラマを思い出して命に関わる一大事なのかなと思ってギクってしちゃうけど別に心臓にメスを入れるとかそんな大層な話じゃないんだから、気楽なもんだよね。身体の中に目覚まし時計入れるくらいの話だよね、フック船長が怖がるくらいで別にどうってことないよ。手術も時間かかっても2時間くらいで終わるってさ、お手軽なもんだよ。よかったよかった。

 

それで、ペースメーカーをつける手術を行うにあたり担当医から説明があるので聞きに来てくださいと言われまして、出向くわけですよ病院に。でも、まぁ事前に概ねの話は聞いてるし、なんかピーチクパーチクお話をしてちゃちゃっとサイン書いて15分くらいで終わるかな思ってたんですよ。これは僕が馬鹿なのかわかんないですけど、それはみなさんに判断してもらって構わないんですが、本当に15分くらいで終わるかな思って出向いたんですけど、僕のお住まいが大阪で病院が京都だったので「終わったあとどこ行こっかな」くらいのテンションだったんですけど、結局お医者さんの説明が2時間くらい掛かりまして。手術と同じくらいかかるんだってビックリしました。

 

でもまぁ、人間の身体をいじるってのはそりゃ同意がいるよね、時代なのかな、時代とかじゃないのかな、いやでも昔ってもっと雑だった気がする。僕は今39歳の中年なんですが、僕らが小学生とかの子供の頃の歯医者って同意取らずに問答無用でガリガリ削ってこなかった?そう考えるといい時代になったなとは思います。当時は技術が未発達だったから仕方ないのかもしれないけど、あの歯に躊躇なくガリガリ穴を開けてきてた歯医者連中に関しては今再会したらトンカチの釘を抜く方でぶん殴りたいなと思います。

 

話はここからが本題です。軽い気持ちですぐ終わるかなと思って行ったら2時間かかった話です。言ってよね!上演時間約2時間でトイレ休憩なしですって言ってよね!15分の気持ちで行ってたから!いや、でも、まー、この点だけですね、演劇が医療に勝ってる点は。どれくらい時間がかかるか事前に教えてくれる。それ以外は全部演劇は医療に負けてますけどね、不要不急ですからね、演劇は。でも、全然不要不急じゃない医療も不要不急から学んでくれよ、どれくらい時間かかるかは、事前に教えてくれ!

 

で、ですね、「そんな命の危険があるとかじゃないです、大手術じゃないです、むしろちゃちゃっと終わらせて機械さえつけちゃえば日常生活をこれまでどおり送れます」って聞いてたやつなんですけど、「そうなんですか、じゃあちゃちゃっとつけてください」レベルで聞いてた話なんですけど、インフォームドコンセントめっちゃ時間かかった。だるかった。向こうもしないと仕方ない話なのはわかるし、このプロセスをちゃんと踏まないと後でトラブルになるんだろうなということもよくわかる。しかしめんどくさかった。早く帰りたかったー、抹茶パフェ食べたかったー、鴨川のカップルたちを眺めたかったー。(ここで三味線の音がベンベンとなるといいんじゃないでしょうか)

 

①心臓の本来の役割を説明する

医者はまず最初に心臓の役割を説明してきました。なんか全身に血液を送るポンプみたいなね、そういう感じなんだよ、みたいな話を最初にしました。これ、全くの偶然というか因果関係ないんですけど、前の日に僕が映画の『はたらく細胞』を配信で見てたんでスッと入ってきました。いや、別に映画見なくても心臓の役割くらい知ってたけど。ともあれ、お医者さんは心臓という臓器が「いつもどおり」ならどういう動きをしているのか、という話をまず最初にしてくれました。

 

②心臓に今起こってる異常を説明する

まず最初にあるべき振る舞いを説明したうえで、次にどういう事象が発生しているかを説明する。今回のケースでいうと、人間って1分間に70~120くらいの数で脈を打つらしいんですね、それが30~40くらいらしいんですね。少ないね。老人の万歩計だってもうちょっと数多いでしょ。

 

③その原因になる可能性をすべて調査する

①で「あるべき姿」を説明して②で「今はあるべき姿ではない」を説明して、そうなると次は「なんでそんなことになってるのか」って話になるわけです。なんか色々聞かされました、炎症の可能性とか、こういう病気も稀でも世の中にあるんですとか、なんか色々聞かされまして、そのすべてが「今回の事案には該当しないと思われる」って可能性を潰されていくんですね。

 

④ペースメーカー以外選択肢がないです、と言われる

で、なんか色々検査してみたんですけど、薬でなんとかするとかじゃないねってなって、現代医療としてはこれはもうペースメーカー入れるしかないよねってなりますねと話を聞いて。

まぁ、最初からそのつもりで話を聞きに行ったからなんの不満もないんですけど。恐ろしいのはここまでで1時間くらいなんですよ。ここまでが「そうなんだ、ペースメーカー入れるしかないんだ」っていう時間で、ここからもう1時間「で、ペースメーカーつける手術の手順とかリスクの話なんですけど」がまだ続いていくんですよ。長かった、仕方ないけど長かった。

 

この前半の話が結構おもしろいなと思ってて、①~④をもっとちゃんとやろうかなって参考になったのが今回の収穫ですね。ペースメーカーつける手術は成功しても失敗してもぶっちゃけどっちでもいいんですけど、何かを「やってみましょう」ってなる時の説得の手順としてすごくちゃんとしてたなってのが面白くて。

ひとつひとつの納得とひとつひとつの頷きと、まぁ結局そういう風にやっていくしかないんでしょうね。

 

本来あるべき理想の姿を説明して、そうではない現状を説明して、本来ある姿を取り戻すための手段を提案する、これってすごい合理的で嘘がないと思うんですよね。こうありたいなと思って、いいアトラクション見たねってなったんですけど。恨み合いにならないコミュニケーションの手順めっちゃ大事だなと思ってめちゃくちゃ参考になりました。

 

あ、手術終わったらしいんで医者と電話します。以上ですー。

 

 

【安達が東京都主催のイベントに登壇します】

ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。


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お申し込みはこちら(東京都サイト)


ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。

<2025年7月14日実施予定>

投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは

借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。

【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
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2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる

3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

著者名:ズイショ

関西在住アラフォー妻子持ち男性、本職はデジタルマーケター。
それだけでは物足りないのでどうにか暇な時間を捻出してはインターネットに文章を書いて遊んだりしている。
そのため仕事やコミュニケーションの効率化の話をしてると思ったら時間の無駄としか思えない与太話をしてたりもするのでお前は一体なんなんだと怒られがち。けれど、一見相反する色んな思考や感情は案外両立するものだと考えている。

ブログ:←ズイショ→ https://zuisho.hatenadiary.jp/
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photo by  Ali Hajiluyi