どうもこんにちは、しんざきです。段々あったかくなってきましたね。毎年この時期になると原因不明の鼻風邪にかかるんですが、遅めのインフルエンザでしょうか。
この記事で書きたいのは、大体以下のようなことです。
・リモートワーク環境下で、一部の新人・中途さんが伸び悩んでいました
・原因の一つは、「仕事が分からない」を言語化できず、特にリモート環境だと気軽に質問・相談できないことのようでした
・文字だけで質問・相談のやり取りする際には、高い言語化能力か、遠慮のない質問力が必要です
・「じゃあAIに聞けば?」となるかも知れませんが、ただ「分からない」だけだと、たとえAIに投げても適切な答えは得られません
・「なにがわからないのか」を明確にして、人に投げられる質問に成型するためにAI相手の壁打ちを使ってみようと話して、生成AIとのやり取りをある程度テンプレ化してみました
・最近、「質問の適切な言語化」にも慣れてきたようで、だいぶ質問できるようになってきました
・「AI使っても仕事わからん」となっている人は、「答えを得る」ことではなく「何が分からないのかを明確化して、知ってそうな人に投げられる状態にする」ことを目標にしてみるといいのではないでしょうか
以上です。よろしくお願いします。
さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、あとはざっくばらんにいきましょう。
リモート環境では、「分からない」を言語化する能力で実力の伸び具合が変わってくる
みなさん、普段、遠慮なく「質問」「相談」って出来てますか?
仕事上で何か分からないことが発生した時、「取り敢えずこの人に相談すればいいや」って相手、いるでしょうか?
何度か書いている通り、しんざきはRDBMSを軸足に色々やるITエンジニアでして、自分で動きながら部下もマネジメントする、いわゆるプレイングマネージャーの立場で20年近く働いています。
そのため、新人さんを指導する立場になることもちょくちょくありまして、毎年そこそこの数の新人さんを見ています。タスクを直接管理することもありますが、メンターやアドバイザー的な立ち位置で指導する機会も多いです。
指導する側として、以前から悩んでいたことなんですが、「リモート環境だと細かい疑問をフォローしにくい」という問題があります。
めっちゃ新人指導しにくい。
もちろん、入社当初、ある程度仕事が回るようになるまでは、対面でつきっきりで指導します。それは前提です。
その上で、当たり前のことですが、配属されたばかりで即仕事が十分できる人はいませんので、周囲は色んな面でフォローして、ちゃんと働けるようにお手伝いしてあげないといけません。
これはどんなに仕事歴が長い人でも同じで、「放っておくだけで勝手に自走して、成果を出せるようになる」人は、全くいないとはいいませんが激レアです。新卒だろうが中途だろうがその点は同じです。
大きな問題の一つとして、
「「分からない」を拾いにくい」
「だから「言語化能力が高い人と低い人で大きな差が出る」
という点があります。
まず、リモート前の環境ならできたはずの細かいコミュニケーションや相談が、リモート環境だともの凄くやりにくいんですよね。
仕事のやり方を教えるにしても、その場で相手の表情を見ながら教えるのと、画面を見ながら教えるのでは、やっぱり得られる情報量も違うし、細かいフォローのしやすさも違うじゃないですか。
例えば仕事についての説明でも、対面なら
「あ、今はちゃんと理解してるな」
「今はちょっと目が泳いでるな、あとでここ確認しないとな」
とか、細かい情報からフォローを手厚めにしようとか、教え方の方針を変えようとか判断できたんですが、やっぱり画面越しだと気付かない部分も多くって、どうしてもフォローが行き届かないところが出てしまうんですよ。
以前の対面環境ならちょっと席を立って話しかけに行ったり、雑談混じりに質問を受けたりといったこともできたんですが、それもリモートだとなかなか難しく、「ちょっとした雑談」ベースの情報交換というのが大変やりにくくなっております。
もちろん、指導する側としても色々工夫はしていて、なるべく相談・雑談しやすい環境を作ろうとしてはいるんですが、自分も他の仕事をしながら見ている関係上、遺憾ながらそれにも限界はあります。
こういう状況で何が起きるかって、どうしても「質問する力」「疑問を言語化する力」で実力差がつきやすくなっちゃうんですよね。
つまり、仕事をしていて分からないことが発生する。先輩や上司に聞かないといけない。
けれど、そもそも「どこが分からないのか」が自分でもよく分からないので、どう質問をすればいいのか自体分からない。上司も忙しそうだし、さすがに「何がなんだかわかりません」とは聞きにくい。
これ、例えばTeamsやチャットで先輩に質問を投げる時って、文字ベースのやり取りになるので、
「どこが分からないのかを文章と質問事項にまとめて、先輩に投げられる形に整形しないといけない」
という点で、余計にハードル高いんですよね。
「じゃあ自分で調べるか」ってなっても、これまた何が分からないのか分かっていないので、適切な結果を引き当てることはできない。
そのまま時間だけがずるずる過ぎてしまって、「こんなに時間が経ったのにこれしかできてないの?」と言われるのが怖くて、ますます相談しにくくなってしまう。
悪循環ですよね。
こういう状態でも、構わずバンバン質問を投げてこれる人というのは、実際います。以前この記事でも書いたんですが、「何をどう困っているのか」をちゃんと言語化して説明することができる人。こういう人はすごく伸びます。
昨年入社した新人さんが、あまりにも助けを求めるのがうまくて、「こいつ人生二度目か?」と思った話。
ところがですね。去年入った件の新人さん、この辺のことが殆ど最初からできているんですよ。なんでしょう、大学や大学院時代の指導がよほど良かったんでしょうか。
まず、手遅れになる前にちゃんと「ここが分かりません、できてません」と言える。それだけでも偉いんですが、その背景として「今○○が目的の作業をしてるんですが、ここが分からなくてできてません」と、ちゃんと「作業の目的」と「できてない箇所」を最初の時点で説明できている。
ただ、やっぱりそういう「質問力」みたいなもので、新人さん同士でも実力の伸び具合に大きく差が出てしまうのは確かな話でして。そういうのって上司の責任なんで、私が解決しないといけません。
「曖昧な状態でも聞いてくれていいからね」とか「同じこと何度も聞いてもいいからね」とか、色々フォローをしようとはしつつ、なんとかしないとなーと思っていました。
AIに「答え」を求めてしまっている新人さんとの会話
で、もう半年くらい前の話なんですが、なかなか相談できないで仕事を抱えちゃう傾向がある新人さんに、何度か話を聞いてみました。
1 on 1って言い方だと構えちゃう人がいるんで、休憩中の雑談ベースで。
私はその人の直接の上司ではないので、細かいタスク状況は知らないんですが、色々苦労しているっぽいという話は共有されていました。
私「お疲れさまー。コーヒー飲みます?」
新人さん「あ、いただきます」
私「(ちょこちょこ雑談してから)そういえば最近○○の仕事振られたでしょ。どんな感じです?」
新人さん「あー……色々分からないところが多くて……」
私「どの辺が分からなそうです?XXさんがあの分野超詳しいけど」
新人さん「えーと……ちょっと、分からないところが多すぎて、どう聞けばいいかが……XXさんすごく忙しいですし、ちゃんと整理してからと思って」
大体想定通りです。まあ、そもそも上司に質問を投げるのに遠慮は要らないんですが、
「全然曖昧な状態で投げて手をとらせるのは申し訳ない」
という気持ちはよく分かります。
じゃあAIならいいんじゃねえの、と思いまして、
私「ちなみに、会社のAIbotとか使ってみました?あれ使い倒してもいいと思うんだけど」
新人さん「使ってはみたんですけど、なんかそれっぽい答えは返ってくるけど、やっぱり理解できなくて」
なるほどなーと思いました。
これは、分かっている人にとっては今更の話だと思うんですが、AIは「自動的に答えを教えてくれる装置」ではありません(正確にはプロンプトの作り方によりますが、一旦おいておきます)。
自分がよくわかっていない状態で、曖昧な質問だけを投げても、一般的な答えしか返してくれません。
RAG(その組織の知識を利用できる仕組み)を使ってるかどうかなんて関係なく、疑問の答えを得るためには、ある程度「明確な問い」が必要なわけです。
彼は、「疑問点が曖昧なまま、その答えだけをAIに聞いている状態」に見えました。
その場合、AIとのやり取りは「答えを聞く」ためではなく、「疑問点を明確にする」ために使うべきです。
その上で、AIとのやり取りだけで疑問が解決するならそれでいいですし、解決しないなら「明確になった質問」を他の人に投げればいいわけです。
私は、「じゃあ、「答えを出すところ」じゃなくて、「疑問点、質問点を明確にして、XXさんに投げられるようにするまで」を目標にしてみるのはどうですかね?」と言ってみました。
ある程度具体的なテンプレを提示してみました。こんな感じです。
1.まず、「自分が今やろうとしていることは何か」「現時点で知っていること」「どの辺が曖昧か」などの状況をそのまま書く(歯抜けでも全然よい)
2.AIに足りない情報をインタビューさせる(「上記の目的のために、抜けていると思われる情報はなんですか?」)とか聞けばいい
3.壁打ちしながら「何が足りないか」が分かったら、AIに聞いて解決するならそれでいいし、「その疑問点を上司に質問したいと思います。質問のポイントをまとめてください」と伝えて質問を形成させる
4.適当に整形して上司にもっていく
ポイントとして、「何度も壁打ちしながら、段々具体的にしていく」というところですよね。会社の上司と違って、AIにはいくらでも時間があるので、何度適当な質問を投げても怒られない。
解決しなくてはいけないのは、「分からない」ことではありません。「何が分からないのか分からない」という、その状態です。そこさえ解決できれば、あとは分かる人に聞けばいい。
だから、「自分は何が分からないのか?」ということを突き詰めないといけない。そのためには、「ここまでは分かるんだけど、あと何が足りない?」を壁打ちしていくのが一番速い。
「質問できるところまでたどり着く」ためにAIを使えばいいんじゃないですか、とアドバイスしてみたわけです。
人間って、「入出力するだけ」で段々疑問点を明確にしていけるので、「とにかくやり取りをする」だけでも全然効果があるんですよね。キャッチボールは、何度も続けないと意味がない。そこを上手いことやれるといいなーと思いました。
「質問力」「疑問の言語化能力」はとても重要だが、ある程度はAIで補える
こういうアドバイスって刺さる時もあれば刺さらない時もあるんですが、上記の新人さんには刺さったらしく、その後割とすぐ、結構色々な質問が出てくるようになりました。
当初は「質問できる人と、随分差がついちゃってるなあ」と思っていたのが、段々埋まってきました。
「分からないところを言語化する」ってある種の訓練なんで、何度もやってる間に自分だけでもできるようになっていくんですよね。
いわば補助輪つきの自転車みたいなもので、AIを「答えを得るためのタクシー」ではなく「問いを明確化するための補助輪」として使ったことで、自走もできるようになってきた、とも言えるかも知れません。
「質問力」「疑問を言語化する能力」がリモート環境下でもの凄く重要だ、というのは変わっていないと思います。むしろ、AIも使える今の環境では、重要性はますます上がっている。
ただ、AIを使っても伸びない人の多くは、「疑問を明確化する前に答えをもらおう」としてしまっている。
実際、この先いろんな仕事をする上で、一番価値があるのは「適切な問いを立てられる」ことなのに、そこを飛ばしてしまっているわけです。
現時点で「疑問を言語化する能力」が低い人でも、思考の方向性をちょっと変えて、「答えを得る」ためではなく「問いを作る」ためにAIを使うだけでも、疑問を言語化する力は鍛えられるかも知れませんよ、と。
そういう話でした。
今日書きたいことはそれくらいです。
【著者プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
Photo:Edwin Andrade




