僕は本業で医者をやっているのだけど、こういう立場になってみると、健康というものがいかに人の精神状態にとって大切かという事がよくわかる。

 

どんなにお金があろうが、どんなにモテようが、その幸せを享受するための土台としての健康が損なわれていたらどうしようもない。

健康は人の基盤だ。くれぐれも自分の身体は大切にいたわってあげるべきである。

 

とはいえいくら身体が健康そうでも、あまり幸福そうでもない人がいるのも事実だ。幸せというのは手に入れるのが難しい。みんなが欲しがっているものなのに、それを手に入れている人の数は驚くほど少ない。

最近、様々な実例を観察した結果、人間の幸福についての概略図のようなものが頭の中でまとまってきたので、今回は幸福について書いていこうかと思う。

 

人間の幸福モデル

多くの場合、人の幸せは大体以下の図のような形で規定されている事が多い。

これだけだと何のことかわからない人もいるだろうから、少々解説を加える。

 

先ほども書いたが、幸福を享受する為には心身が健康である必要がある。

肉体を不健全にする要素は病である。風邪で40度の熱が出てたら、何がどうであれ辛いものである。

一方、多くの場合において心を不健全にするのは人間関係だ。イジメにあってたり社風のあわない企業につとめてたりしたら、どんな人でも心穏やかにはいられない。

 

この2つがしっかりする事が、幸福を享受する為の必要条件である。

若い頃は気をつけなくても、これらが自然と手に入ってたりもするが、30歳以降いろいろな無茶をしていると、これらはビックリするぐらい手元を簡単に離れてしまう。

これらがしっかりと成立している事が、よき人間としての生活を営む上で最も大切なものである。くれぐれも疎かにしてはならない。

 

幸福の十分条件

この土台がしっかりとしている前提の上で、大切となるのが上の三要素だ。

モテ、収入、地位。

 

それぞれ各要素毎に人によって満足する度合いが異なるが、多くの人の幸せは、ほぼ上の三要素により規定されている。

インターネットを見渡せばわかるけど、上の3つの事で人は毎日のように不平不満をいっている。

 

モテたい。結婚したい。

お金が欲しい。

人から尊敬されたい。

 

多くの人は、毎日毎日同じような不平不満の述べつつ、毎日毎日同じような日々を繰り返している。

 

ここで上の要素を掛け算にしたのには理由がある。これらの三要素は、どれか1つがゼロだったりするだけで、不幸になる事があるのだ。

例えば、あなたの近くにも、高収入でそれなりの社会的地位があるのに、ただもてないというだけで毎日毎日呪詛を履き続けている人が一人ぐらいいるんじゃないだろうか?

こういう人は、モテがゼロなので、はたから見ればかなり恵まれているにも関わらず、本人の実感としては幸福度合いはゼロにも等しい。

 

いくら年収があって、社会的に尊敬される立場にあろうが、人はモテないだけで不幸になる生き物なのだ。

 

共産主義がグロテスクな本当の理由

最近、人が平等であるためにはどうすればいいのかについてをよく考えているのだけど、その観点からすると共産主義というものの目指した世界の素晴らしさには、正直もの凄く惹きつけられるものがある。

共産主義

共産主義とは、政治経済分野での思想理論運動、体制のひとつ、財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会をめざす

けど現実問題、共産主義は壮大に失敗した。なぜだろうか?様々な要因はあるとは思うが、実は上の概略図からも失敗の理由を読み解くことができる。

 

上に書いた幸せの概略図を再び見てほしいのだけど、モテ・収入・地位の三要素の中で収入は他の2つと圧倒的に違う素因がある。

なんだろうか?それは他の2要素に強く影響力を及ぼす事が可能なのだ。

 

みんな身に沁みてよくわかっているとは思うのだけど、収入が上がるとモテも地位もそれなりにいい感じに付随してくる。カネの力は偉大である。

 

資本主義のいいところは、個人の努力次第で収入を上げる事ができるという事だ。年収をうまくあげることができれば、モテも地位もどうにか手に入れられたりする事がある。

これは凄く夢があるシステムだ。頑張ったら収入という形で報われ、そしてそれがモテと地位を相乗効果で上げるというシステムは、考えてみるとゲームとして非常によくできている。

 

共産主義がグロテスクなのは、この下克上的なシステムが人の手から完全に奪われてしまうという点にある。

昨今スクールカーストの話題が盛んだが、どんなに努力しても年収が変わらないのだとしたら、それはすなわちスクールカーストで形成された序列が永遠に続くという事でもある。

 

収入が固定してしまった社会には上を目指すための希望が何もないのだ。

共産主義のシステムの絶望はここにあると言っても過言ではないだろう。資本主義というゲームでは、モテたいだとか成り上がりたいという欲求は、収入を上げることでかなりの部分まで達成する事ができる。つまりそこには逆転にかける一縷の望みがあるのである。

 

お金はある意味では平等である

かつて堀江氏が

「お金で買えるものは平等だけど、お金で買えないものには差別とか不平等の温床となるようなものしかない」

といった趣旨の事を述べていたが、実に正鵠を射る発言だと思う。

 

よくお金を汚いものだという風にいう人がいるが、そういう人はお金がどれだけ人に希望を与えるのかをキチンと認識していないのではないだろうか。

金の力は偉大だ。少なくともある程度の幸福段階までは、人を引き上げてくれる。

 

ただお金が全てかというと、そうでもないのもまた事実である。お金よりももっと贅沢な資源も人にはある。

それは時間である。これについて話し始めると長くなるので、時間については次回に譲る。

 

 

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高須賀

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(Photo:Clare H-P)