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1.年収を上げたいとき「転職」と「副業」のどちらが有利なのだろうか。

2.残業を減らしながら、給与は同水準を維持する方法について。

3.「起業する前に、転職を考えたほうがいいよ」という投資家のアドバイス。

4.「モチベーションが上がらない」のは、自分のせいではなく、環境のせいだ。

5.「正社員であること」が安定を保証しなくなった時代には、積極的に転職をした人が勝つ。

 


 

 

年収を上げたいとき「転職」と「副業」のどちらが有利なのだろうか。

転職や副業というテーマで記事を書いていると、お勤めの方からよく、「年収を上げたいのですが……」という相談をされる。

 

一昔前の「年功序列」が効いていた時代は、とにかく一つの会社で頑張って、長くそこで働きさえすれば、確実に年収の増加が見込めた。

しかし今の時代は、一つの会社に留まっていても年収は上がるどころか、むしろ下がってしまうことも多い。

 

また、年々「良いポスト」の数は少なくなっている。

給与は、自分の力だけではなく、マーケットの状況、勤め先企業の競争力などに、強く依存するからだ。

事実、統計によれば、一〇〇〇名以上の会社での課長以上の管理職割合は6〜7%、部長以上では2〜3%と狭き門である。

 

右肩上がりではない時代には、自分の待遇改善は、自分で勝ちとらなければならない。

そこで検討対象となるのが、

「転職」と「副業」である。

いずれの手段も、収入を増やす方法として「出世」よりも遥かに実現の可能性が高く、かつ確実性がある。

出世と違い、他者に決定を委ねることなく、自らが決定をコントロールできるからだ。

 

さて、では本題に入ろう。

年収を上げたいときに、一体「転職」と「副業」のどちらが有利なのだろうか。

 

もちろん厳密には場合による、としか言いようがないのだが、それだけではアドバイスにならないだろう。

 

結論から言えば、「副業」で稼ぐにはいくつかの条件があり、それがクリアできれば副業。

それがクリアできなければ「転職」がおすすめである。

その条件とは、下の3つだ。

条件1.「デザイン」「プログラミング」「ライティング」のいずれかが得意

条件2.「直ぐに仕事をくれそうな人」が2人以上居る

条件3.現在在籍している会社が「副業推奨」である

 

「副業」はまだ、限られた「アウトプットのわかりやすい人たち」のものであり、かつ自分自身で仕事のつてを見つけることができ(クラウドソーシングは単価が安すぎておすすめできない)、さらに会社が副業に対して前向きの場合に限るのである。

 

「転職」は、一部のオールドエコノミーに属する人々を除き、すでに多くの日本人がポジティブなキャリアとして受け入れている。

 


 

 

残業を減らしながら、給与は同水準を維持する方法について。

全国的に「残業削減」の動きが盛んだ。

NTTデータ経営研究所の調査によれば、働き方改革に取り組んでいる会社の数は3年連続で増加している。

公園・カフェに夜な夜な出没、残業削減でさまよう会社員

NTTデータ経営研究所の調査によると、働き方改革に取り組む企業の割合は17年度、36.4%と2年前より14.2ポイント上昇。そうした企業の多くでは残業時間を減らしている。

残業削減は生産性向上があらゆる企業の課題の一つとなる中で、避けては通れない施策の一つとなっているのは間違いない。

 

だが「残業削減」には一つの副作用がある。それは「収入の減少」だ。

ロイターの調査では、残業削減が収入の減少となる現実が浮き彫りにされている。

アングル:「働き方改革」で残業代減少、政府部内にも消費減退の懸念

「時間外労働は、一般職の従業員にとっては生活給という一面もあり、それを織り込んだ生活設計を立てている。時間外労働時間の削減は給与減となってしまう」──。

残業時間の上限を巡って政府内で議論が続いていた昨秋の段階で、ロイター企業調査(2016年11月)に回答した企業からは、このような残業時間削減のマイナスを指摘する声が出ていた。

ここにきて、政府関係者の一部から生活費の一部に織り込まれている残業代の削減が、果たして働き手のメリットになり得るのか、という疑問の声も浮上してきた。

「モーレツ社員」が昼夜を問わず働けば、残業代が出る会社においては、そのまま高収入に繋がった。

しかし、それはもう昔の話だ。

 

こういった動きの中、「残業を減らしても、労働者のメリットはない」とする意見も出てきている。

 

私の知る、あるコンサル会社の社員の一人は、

「個人が生産性を上げて、定時に帰ることを頑張った結果、結局収入は減った。」

と、不満そうに語った。

 

皆を幸せにするはずの、「働き方改革」が、むしろ会社員の首を絞める……。一体何が間違っているのだろう。

 

つまり、言ってしまえば、こういうことだ。

「個人レベルの生産性の向上」は、「オールドエコノミー型の会社」においては収入の上昇に結びつかない。

 

オールドエコノミー型、つまりビジネスモデルが古い会社においては、個人が生産性を上げても、それが会社の業績には直接結びつかない。

せいぜい、人件費の一部が削減でき、会社の利益を少しばかり増やすだけだ。

そういった状況の中では、会社は「思い切って、社員の給与を引き上げよう」とは決して思わない。

 

それに対して、ニューエコノミー型、イノベーション産業の場合は異なる。

イノベーション産業は個人の生産性が上がれば、爆発的に業績を伸ばすことができる。

知識集約型の会社は、コストの殆どが、人件費であり、人の能力が競争力の源泉だからだ。

 

つまり、生産性を高めるだけでは、サラリーマンは自分の収入を伸ばすことはできない。

 

生産性を高め、かつ「生産性の向上が、収入の上昇に直結する、知識集約的なビジネスモデルの会社」に移動しなければ、せっかくの高いスキルも宝の持ち腐れである。

 

残業を減らしながら、給与は同水準を維持する方法とは何か。

それは、自らのスキルを高めて、「ビジネスモデルが優れている、知識集約的産業の会社に転職する」ことが、唯一の正解なのである。

 

 


 

 

「起業する前に、転職を考えたほうがいいよ」という投資家のアドバイス

知人の投資家の一人が、こんなことを言っていた。

「起業の相談を受けたとき、何人かには「起業する前に、転職を考えたほうがいいよ」とアドバイスした。」

 

一体なぜ、彼はそんなことを言うのだろうか。

 

話をよく聞くと、彼の意図がよく見えてくる。

「起業を成功させる力は、情熱やチャレンジ精神と言った、マインドの部分も大きい。けれど、そこに経験や知識が加わると、起業の成功率はぐっと上がる。」

 

彼の言うことはおそらく的を射ている。

例えば、「リーン・スタートアップ」を著したエリック・リースは、その冒頭でこんなことを述べている。

多くのアントレプレナーは、マネジメントや仕組みづくり、規律などをすべて捨て、「とにかくやってみよう」を方針とする。しかし、この方法では成功を呼び込むより混乱を招くことのほうが多い。

エリック・リースの言うとおり、起業は総合芸術にも似ている。

起業の理論は、立ち上がったばかりのベンチャーが必要とする機能のすべてをカバーする包括的なものでなければならない。

すなわちビジョンとコンセプト、製品開発、マーケティングと営業、スケールアップ、提携と流通、そして構造や組織の設計に至る全てをカバーするべきなのだ。

もちろんこれらに関するノウハウを、起業前にすべて得ている起業家はとても少ない。

いや実際には、すべて得ているどころか「ビジネスのアイデアはある、他はすべて何もない」という人のほうが圧倒的に多いのだ。

 

冒頭の投資家はそこに対して、「まず落ち着け」と促す。

「ビジネスアイデアは、本人にとっては一見良さげに見える。が、業界のことを何も知らずに飛び込んでうまくいくことは少ない。」

 

そこで彼が勧めるのが、「立ち上げようとするビジネス」に関連のある業界で、1、2年程度働いてから起業する、というパターンだ。

「業界内に於けるノウハウが手に入る、が、何よりも、起業してから協力してもらえる優秀な人材や、見込みの顧客となるネットワークができる。起業はそれからでも全く遅くない。」

 

それに対して、「今すぐ起業しなくてはチャンスを逃す」という起業家も居る。

彼はそれに対しても反論する。

「一刻も早く起業しなくてはいけない、という状況は資本力のあるところが勝つし、業界で少し働いただけで見込みがなさそう、と思えるビジネスプランならば、最初からやらないほうが良い。」

 

もちろん、彼とは異なる考え方のベンチャーキャピタリストや、投資家は数多く居るだろう。しかし、

「起業する前に、転職を考えたほうがいいよ」という投資家のアドバイスもまた、合理性のあるものなのだ。

 


 

 

「モチベーションが上がらない」のは、自分のせいではなく、環境のせいだ。

私は昔から、管理職に対する研修などでは

「上司が部下のモチベーションをあげるのは無理です」

と述べている。

 

もちろん、一時的にお金などの餌をぶら下げたり、面白い仕事を与えたり、気軽に相談できる雰囲気を作ったりして、仕事のし易い職場を作ることはできるだろう。

しかし、そんなものは長続きしない。

お金にはすぐ慣れるし、上司が演出する「面白い仕事」にもすぐに飽きが来る。気軽に相談できるできるのは「当たり前」と考える人が増える。

 

本質的に、モチベーションとは外部から与えるものではない。

その人の中から湧いてくるようなものでなければ、維持できるようなものではないのである。

 

では、モチベーションの本質は何か。

ピーター・ドラッカーは「動機づけ」について、こう述べる。

働く人から最高の仕事を引き出すには、いかなる動機付けが必要か。通常、これに対するアメリカ産業界における答えは、働く人の満足である。

しかし、この答えはほとんど意味をなさない。

もし働く人の満足が何らかの意味を持つとしても、それは企業のニーズを満足させるに十分な動機付けとはならない。

仕事において何かを達成しているがゆえに満足なものがいる。逆に、大過なく過ごせるがゆえに満足なものがいる。

何事にも不満を持つがゆえに不満なものがいる。あるいは、より優れた仕事を行いたいがゆえに、自分自身やチームの仕事を改善したいがゆえに、更にまた大きな仕事をより良く行いたいがゆえに現状に不満なものがいる。

(中略)

つまるところ、満足は動機づけとして間違っている。満足とは受け身の気持ちである。

確かに、強い不満を持つものは辞めていく。やめなければ不満を持ち続け、企業やマネジメントに背を向ける。しかし、それでは満足なものは一体何をするか。

要するに、企業は働く人に対し、進んで何かを行うことを要求しなければならない。

企業が要求しなければならないことは仕事であり、受け身の気持ちなどではない。

ドラッカーは、この後に「働く人が責任を引き受けること」が、動機づけの本質であると述べている。

 

換言すれば、「働く人が、責任を引き受けたい」と思うような時、初めてモチベーションが生まれる。

 

では、人はどのようなときに責任を引き受けられるのか。

ドラッカーによれば、以下の4つの環境が満たされているときに、人は責任を引き受けることができる。

 

1.人の正しい配置

……強みに従って、人が配置されていること

 

2.仕事の高い基準

……絶えざる努力と能力によってのみ実現される、最高水準の仕事に焦点を合わせる時、動機づけがなされる。平均の人のための水準では、モチベーションは上がらない。

 

3.自己管理に必要な情報

……仕事ぶりに関して、常に最適な情報を持っていなければ、動機づけは生まれない。

 

4.マネジメント的視点をもたせる機会

……人は誇れるものを成し遂げて始めて、誇りを持つことができる。仕事が重要なときに、自らを重要と感じる。

 

さて、あなたの属している職場は、「責任を引き受ける」に値する職場だろうか。

強みを見、高い基準を要求し、情報が提供され、そして何よりも、「重要な仕事」と認識できるような仕事だろうか。

 

そうでなければ、環境を変えてみることをまず、考えてみたほうが良いだろう。

 


 

 

「正社員であること」が安定を保証しなくなった時代には、積極的に転職をした人が勝つ。

日本における「正社員」という身分は、諸外国と比べて手厚く保護されていることで知られている。

だが最近は、絶対的に安定と思われた「正社員」も、ほころびが見え始めている。

 

東芝やシャープなどの製造業は言うに及ばず。

例えば、百貨店の雄、三越伊勢丹ホールディングスは50代以上を積極的にリストラしている。

三越伊勢丹が猛烈リストラ、バブル入社組に破格の早期退職金も(ダイヤモンド・オンライン)

 

就職先として人気を誇ったメガバンクも、今やリストラの嵐が吹き荒れる。

メガバンク3行が大リストラ。銀行業界は「構造不況業種」になってしまった(ハフィントンポスト)

 

これらの事象が何を意味しているのか。

それは、要するに「自分のキャリアは、自分で作るしかない」という現実である。

 

今の転職市場は、「自らチャンスをつかもうとしている人」には寛大だが、「リストラされた人」にはとても厳しい。

例えば、メガバンク出身者は今だぶついており、だいぶ不利な転職を強いられているようだ。

ハッキリ言えば、「足元を見られ、買い叩かれている」のである。

 

すこし前に、こんな記事を書いた。

転職回数が「少なすぎて」苦労している知人の話。

知人が転職活動をしていた。

彼はもうそろそろ40歳、今在籍している会社はそれなりの大手である。仕事はまあまあできる方で、人当たりは良い。

だが、転職活動はあまりうまくいっていない、と彼はいう。

「なぜ?」

と聞くと、彼は言った。

「要するに、待遇が合わないんだよ。こちらが求める給料と、向こうが提示する給料が、200万円以上ちがう。」

彼は自分という人物が安く見られている、ということに不満を漏らす。

「実績もある、経歴もきれいだとおもう。でも転職先はない。どういうことなんだろうな。やっぱり年齢の壁はあるんだな。」

「そうだね。」

(中略)

自分がもし採用担当者だったとして、

「40まで一度も転職をしたことのない、将来を不安に思う人」と

「40までに2,3回転職をしていて、新しいチャレンジを求める人」

どちらを採用するだろうか?

なかなか難しい。ただ、スキルや人物の良さが同程度であったら、後者を採用する会社のほうが多いのではないか。

40になって保守的に考える人が欲しい、という会社は多くはないし、「他社への適応」という面で、初回の転職者には不安がある。

多くの転職エージェントが最も扱いに困るのは、「自分の市場価値を知らずに、高望みをする人」だと言う。

 

ではどうするか。

 

自分の市場価値を知るために最も良いのは、「転職活動」をしてみることである。

とはいえ、もちろん転職をする必要があるかどうかはそれとは関係がない。

要は、客観的に見た自分の価値を常に意識して働いている人のほうが、キャリア形成上、圧倒的に有利、というだけの話だ。

 

まだ社会人になって「試されたことのない人」は、転職の意思の有無にかかわらず、転職活動をしてみて欲しい。

きっと、別の世界が見えてくるはずだ。

 

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

(Photo:tokyoform