みなさんお疲れ様です。Sakaseru広報部の小尾です。3ヶ月にわたりSakaseruの活動をお伝えしてきましたが、今回が最終回になります。最後に伝えたいことはただ一つ。感謝の気持ちだけです。
どうやって感謝を伝えようか迷ったのですが、最後なので、僕がSakaseruを起業するに至った経緯と今後の話を聞いてもらえたらと思います。
1.ムゲンラボ合格まで
「仲間の気持ちもわからないやつは経営なんかするな」という回で、フラワーキッチンという店が上手くいかなくなった話をしました。「もう辞めたい」と共同経営者の西山さんが言った時、正直僕も、もうダメだと思いました。
でもそのまま終わるのが悔しくて、どうせなら最後の挑戦をしようと、KDDIが主催する起業支援プログラム『KDDIムゲンラボ』に応募することにしました。
選考結果の代わりに届いたのは懇親会への招待状。僕、こんな感じなので、立食パーティのような華やかな場所はものすごく苦手なんです……。とは言え、そんなことを言っている場合ではありません。
人生で初めて、起業家の集まりなるものに参加することにしました。周りは東大出身や学生起業家で、意識高いキラキラした人ばかり。ヤバイ。温度感がわからない。来て2〜3分で後悔しました。
僕はとにかくSakaseruを誰かに売り込もうと、KDDIのTシャツを着ている人を探しました。すると、自分と同じくらいおどおどした感じの優しそうな女性が。Sakaseru の話をしたところ、「マーケット規模ってどれくらいあるの? コンペティターは?」と。
まーけっときぼ……こんぺてぃた……?
僕の顔には「ああ、そーゆーの必要なんですね」って書いてあったと思います。女性はそんな僕を見かねて、「あなたの事業はロジスティクスが肝になるから、絶対あの人と話したほうが良い」と言って、大手文房具メーカー、プラス株式会社の秘書の方を紹介してくれました。
僕みたいな人間は場違いだった。どうせダメだろう。
そんな風に思いながら、家路につきました。
ところが翌日。プラスの役員に会ってほしいと連絡が来たのです。西山さんと早速本社に出向きました。名言やら経営者の写真やらが飾られている異様な空間で、しがない花屋がちょこんと二人待っていると、その方は現れて開口一番こう言いました。
「で、君たち何しに来たんだっけ」
おおう……呆気にとられながらも必死で説明すると、
「つまりは花業界の構造改革したいんだね。じゃあ、来週ムゲンラボのプレゼンがあるから、ちゃんと来てね」
と言われました。
え? プレゼン行けるの?
ということで、どうやら一次選考を通過。後日正式に合格通知が来て、僕らはプレゼン会場の渋谷ヒカリヘ34階に向かうことになりました。
会場には、業界の重鎮みたいな人がズラーっと座っていて、途端に目の前がまっ白に。懇親会では優しかったあの女性も、ピリッとした雰囲気で「それではお願いします」だって。
僕はとにかく足が震えてしまい、プレゼンどころか、足の震えを止めるのに精一杯でした。案の定プレゼンはボロボロ。部屋を出た瞬間「これで終わった」と思ったけれど、悔いはありませんでした。六本木の1階からヒカリヘの34階まで行けたんだから、それで良かったじゃないか。これで心置きなく解散だな、と。
2.ムゲンラボ合格からデモデーまで
予想に反して、受け取った通知には「合格」の文字。
数百チームの中から最後の5チームに選ばれ、僕らはムゲンラボ第7期生になりました。多くの報道陣を前に写真を撮られ、まるでオーディションに受かって突然売れたアイドルのよう。
第7期KDDIムゲンラボのゴールは、3ヶ月間でサービスのベータ版をリリースすることでした。毎週プレゼンがあって、誰もが知る経営者など名だたるメンバーからフィードバックをもらいます。
これがまあ、辛い。圧倒的な成功体験でぶち壊してくる。雲の上のような存在の彼らに言われるから、全部真に受けちゃう。その度に右往左往して、自分の信じていることが段々わからなくなってくる。
極限のプレッシャーに晒される中、僕と西山さんの仲も段々険悪になっていきました。僕らのあまりの疲弊っぷりに、「そんなに無理してやらなくていいよ」と声をかけてくれる人もいました。
でも、僕たちには後がない。ここで諦めたら、挑戦した意味がない。
やめるか。続けるか。
僕は西山さんと話すことにしました。
空気が澄んだ冬の朝。時計の針は8時を回ったところ。遠く富士山が綺麗に見えるビルの一室に、西山さんは少し緊張した様子で現れました。
「俺はパソコンもろくに使えない。小尾くんに沢山負担をかけているのはわかっている。でも貢献したい気持ちは本当なんだ。ただ、努力の仕方がわからなくて……」
そう言って、30代半ばの大人が男泣きしました。
「沢山喧嘩もしたけど、小尾くんのことはいっこも嫌いじゃない。僕は最後まで小尾くんとやりたいんだ。」
全く同じ気持ちでした。僕がプログラミングをしている裏で、西山さんはお花屋さんを駆けずり回ってくれていた。そうやって集まったお花屋さんの顔を見たとき、僕はすごく感動した。プログラミングしたものに、命が吹き込まれた気がしたんです。
僕たちは続けることを選び、プレゼン当日を迎えました。
他のチームが一人でプレゼンするところ、僕たちは二人でやることに。いつもは堂々としている西山さんの手が震えている。彼からマイクを渡された時、僕はバトンを受け取った気がしました。
結果、優勝したのは他のチーム。
経営者としては「結果が全て」と言わなければいけないのかもしれないですが、正直、僕の感想は違います。名もなき花屋が、色んな人のおかげで大舞台に立つことが出来た。もう、それだけで良かった。
0から1を生み出す工程が終わり、本来ならここがスタートですよね。1を10にして、10を100にして。どう事業を成長させるかを本気で考えなければいけなかったのですが、パワーがしばらく湧いてきませんでした。
熱狂した3ヶ月が終わり日常生活に戻ってみれば、なんてことはない。Sakaseruでもフラワーキッチンでも稼げない、現実が待っていました。西山さんを見ても、もう限界なのは気づいていました。
頭に浮かぶ「やめる」の文字。
いや、Sakaseruに関わってくれた沢山の人がいる。みんなで作ったSakaseruを、僕個人の理由で手放してはダメだ。一人でもやりきろう。
そうして生まれたのが、株式会社Sakaseruでした。
3.Sakaseru設立から今日までと今後
色んなことがありましたが、無事1周年を迎えることが出来ました。周りの皆さまのおかげしかありません。
この一年は、皆さんに恩返しをするつもりでやってきました。でも、事業は経営者の個人的な恩返しのためにあるものではありません。僕を応援する気持ちで買ってくださるお客様も、そんなことは全然関係ないお客様にも、等しく素敵なお花を届けたいと思っています。
先日改めて事業計画書を作成し、真剣にビジョンを考えてみました。
なぜSakaseruをやりたいんだろう。
それはやはり、多くの人に想いのこもったお花を届け喜んでもらいたいからだ、と思いました。Sakaseruのお花を受け取った時のお客様の喜び方は、ハンパじゃない。お客様の喜ぶ姿を見れば見るほど、自分に残された道はSakaseruを続けることしかないと思います。
一年経って、山を登る基礎体力がやっとついたという感じです。このまま麓にいることもできるけれど、やっぱり山を登りたい。どうせ登るなら、一人じゃなくて、仲間と一緒に最高の景色を見てみたい。ということで、現在Sakaseruの仲間を絶賛募集中です(最後に宣伝になっちゃった、すいません)。
もし興味ある方がいらっしゃいましたら、個人のFacebookアカウントでいいので、連絡ください。とにかく多くの人と会っていきたいと思っています。
株式会社Sakaseru (英名 Sakaseru,inc.)
所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-2 #1307
設立:2015年 10月 14日
【お知らせ】Books&Appsでは、企業の広報活動を支援するサービスを行っています。ご興味のある方はこちらからご連絡ください