最近、自分のなかでビットコインウォッチが物凄くブームだ。
今年の初め頃にはわずか4万円だったビットコインは、あれよあれよというまに12月初旬に120万円、その後1日20%づつの値上がりを続け一時は230万円もの金額をマークした。これを書いている今も200万近い値を示している。脅威の金融商品だ。
これをみて「現代のチューリップ・バブルだ」という人もいるし、「これはまだ始まりに過ぎず、来年には1000万円を超える」との予想を打ち立てる人もいる。
僕も始めの頃はビットコインは物凄く胡散臭い訳の分からない金融商品だと思っていた。
「こんな誰も価値がわからない金融商品に数百万もの値段がつくなんて、どう考えてもおかしい。こんな狂ったバブルは早番終了し、ビットコインはせいぜい10万円ぐらいまで値下がりするだろう」
これが普通の人の認識だろう。僕もつい最近まではそんな風に思っていた。
ところが最近になってきて、ビットコインの行き着く先を妄想し続けているうちに、ひょっとしたらひょっとして、ビットコインは本当の本当に世界を根本から変える可能性があるんじゃないかと思うようになってきた。
今日はビットコインの行き着くかもしれない可能性について書いていこうかと思う。
<注・一応注意しておくけど、僕はビットコインへの生半可な気持ちでの投資は全くオススメしない。更に言うと僕個人はこれを書いている時点では全く自分のリアルマネーは仮想通貨には全く変換していない。あくまで個人のポジショントークなしの妄想であるという点を踏まえて読み進めていって欲しい。>
ビットコインの本質はイデオロギーである
僕とビットコインとの出会いは確か2年ぐらい前だったと思う。
初登場したその時は、正直なんの大したこともない品物だと思っていた。その当時騒いでいた人達はブロックチェーンを利用した国際間の送金などを熱心に語りビットコインの素晴らしさを説いていたけど、それを聞いても正直そんなものに需要があるだなんて全然あるとは思えなかった。
ブロックチェーンが凄いのならブロックチェーン技術そのものを利用すればいいだけであり、ビットコインがそれを担う必要性なんて全然感じなかった。
それなのでビットコインが値上がりする未来なんて全然見えないでいた。
採掘可能な量が2100万ビットコインと上限が決まっているというのも、またビットコインに価値を見出せなかった理由の1つだ。
正直、通貨として利用するものに上限が決まっているだなんて、馬鹿げているとしか思えなかったのだ。ドルも円もガンガン刷れるからこそ素晴らしいのであり、有限の通貨なんて想像がつかなかった。
初めてビットコインを見返したのは、ビットコインがハードフォークしたときの事だ。
ハードフォークは、ブロックチェーンのプロトコルに規定された検証規則を緩和することによって発生するブロックチェーンの分岐のことです。
初めは内部で分裂するのだから価値も分裂するのかと思いきや、ところがどっこい分裂後もビットコインの値段は全く下がらず一晩にして時価総額数億円ものお金が突然この世に産まれでた。僕はびっくりした。こんな錬金術がこの世にあっていいのだろうか?
その後もビットコインは今年に入って複数回のハードフォークを遂げたが、それらが産まれる度に、ビットコイン保有者にはそれらのフォークコインが無料で付与されていった。まさに無から有の錬金術である。
これを株式の配当みたいなものと考える人もいるようだが、僕はこれの本質はそんなレベルの低いものではないと思う。
もはや配当どころかある種の貨幣発行権みたいなものだというのがその本質に近いんじゃないだろうか。
貨幣の発行は、本来ならば本当にごく限られた列強諸国に限られた特権だ。
アメリカが刷る米ドルに価値があるのは、アメリカが発行するからである。どこぞのわけの分からない国がウン千万もの単位のお札を発行したところで、それには全く価値がつかない。なぜか?それは信用が全く無いからだ。
それがどうした事だろう。ビットコインから産まれてきた子供達には、恐ろしいことに価値が付くのである。
無から有の錬金術が、ビットコインを媒介にして何の担保も無しに何度も何度も行われて、いずれにも価値が付与されるのだ。脅威という他はない。
ここまできて僕はようやくビットコインの創始者であるサトシ・ナカモトがビットコインの総量に上限を決めた理由が理解できた。
ビットコインは有限であるからこそ価値があるのであり、無限にあるようなものには全く価値がない。有限なのは希少性を生み出すために必然的なことだったのだ。
となると実はビットコインの狙いは通貨なんてちゃちなものではないという事がわかってくる。
最近、送料コストが高すぎる事からビットコインは貨幣として使い物にならないから近いうちに根絶なんて言ってる人がいるけど、そんな事を言ってる人は何もわかっていない。
断言しよう。ビットコインが本当に狙っているのは通貨なんかじゃない。オールドマネーの駆逐である。
これはサトシ・ナカモトという一人の男が静かに遂行している大革命なのである。
ビットコインが本当に狙っているのは、オールドマネーの駆逐
順を追って話をしよう。限られた総量が決められたビットコインは、そこから派生したフォークコインを無限に生み出す事ができる。
おまけに無利子・無担保で、である。まさに現代の金の卵を生むガチョウである。
ビットコインは保有すればするほど毎年ハードフォークした新しいコインが配布される。
その配布される数はビットコインの所有数が多いほど多い。もしそれが恒久化するのなら、誰だってビットコインを欲しがるだろう。だって持ってるだけで全世界で通用するお金が恒久的に山のように降り注ぐのだ。
そうなると当然と言うかビットコインの需要はとどまることをしらず、永遠に上がり続ける事になる。
するとビットコインの値段は天文学的なレベルで上がり続ける事になる。それこそ今では1BTC≒200万円程度で済んでいるけど、これが延々に上がり続けていくとどうなるか想像がつくだろうか?
実はビットコインの強烈な値上がりは、それがそのまま相対的に法定通貨の価値が毀損されている事にも通じている。
お金が巷にあふれれば、お金には何の希少性もないのだからそこに何の価値も無くなる。
今は仮想通貨バブルで儲かった事をみんな喜んでいるけど、実は水面下で現行のオールドマネーの価値が大暴落しているだけなのだ。
これが延々と続いていくと、究極的には既存のオールドマネーであるドルや円が紙くず同然レベルまで価値が毀損される可能性も十分ありえる。
その頃にはビットコインならびにその子供達の方が圧倒的に希少性が高い商品になっている可能性もあるわけだ。
つまりビットコインならびにその子供達が、通貨界のキングの座を完璧に奪ってしまう可能性があるのである。
これはムチャクチャに凄い話だ。
もしそんな事が成立したら、10年後には円とか米ドルなんて使ってるのは古い制度に取り残された下層の民だけになり、ビットコイン保有者である極少数の限られた天竜人はそこからフォークしたコインだけで生活しているのかもしれないのだ。
こう書くととビットコインの数が有限である必然性が誰だってわかるだろう。
下手したら10年後の人達はそれこそビットコインを巡って骨肉の争いを繰り広げているかもしれないのだ!
本来ならば、こんな恐ろしい事になる前に国家が何らかの規制をかけてバブルの崩壊を食い留める。
バブルにより貨幣が溢れ、その価値が無くなれば無くなるほど、国家の通貨発行権は権力が失われていく。
バブルは浸かっている最中は楽しいが、長い目で見ると良いことは1つもない。
かつて日本で土地バブルがあった時は、公定歩合の急激な引き上げや、不動産の総量規制、地価税の創設、固定資産税の課税強化など様々な手法によりその爆発を抑制させる事に成功した。人々からバブルの幻想を抜き去るには、徹底的な規制をかけないといけない事がこの事からも実によくわかるだろう。
ではビットコインの場合はどうだろうか?
実はビットコイン・バブルは民主的な手法では現状、誰にも食い留める事ができない。
民主的な手法を捨て去って、保持してると身分差別されたりだとか殺されるとか、そういう野蛮な手法を行えば不可能ではないだろう。
けど現状ではこのバブルを人為的に食い留める方法は皆無だ。少なくとも僕には全く思いつかない。
ビットコインは人為的に抑制不可能なバブルであり、一定段階を越えたら既存のオールドマネー全てを焼き尽くす事は必然なのである。
そうなると全ての国の貨幣発行権は虚無へとなりさがり、世の中のお金の概念は完全に変わってしまうだろう。
こんなバカげた話はありえないと思うだろうか?けど実際問題、世界史を読み解いていと、そんな馬鹿な話は結構成功していたりもするのである。
マグダラのマリアから産まれいでしイエスは、神の奇跡を担保にし信者を増やし続け、その当時は徹底的な弾圧を受けた。
しかしその後、キリスト教は徐々に成長し続け、挙句の果てにはその当時の支配国家であったローマ帝国なんかより遥かに巨大な存在となってしまった。
あの当時、キリスト教がここまで成長し続ける事を予言できた人は誰ひとりとしていなかっただろう。
現代ではビットコインは所有者全員を金持ちにするという、まさに神の奇跡のような御加護を与える事で徐々に信者を増やし続けている。
これから徹底的な弾圧が加えられるかもしれないけど、その度に成長を続けキリスト教のように世界を牛耳るのかもしれない。
だから僕は思うのだ。ビットコインはバブルなんかじゃなくて、壮大な社会実験であり偉大なイデオロギーであり革命だと。
バブルではなく本質的には革命なのだから、ビットコインが勝つと世界が根本から豹変するのである。
かつて壮大な社会実験の末に、共産主義は資本主義に負けてしまった。あれはあれで1つの社会に対する変革であった。
今度は、仮想通貨という新しいイデオロギーが既存の国家の貨幣システムをぶち壊すかもしれないのだ。まさに歴史が動く瞬間を、私達はみているかもしれない。
ビットコインは本当に世界を変えるかもしれない。今はビットコインを持つだなんて危ないと言われているけれど、ひょっとしたらビットコインを持たない事の方がよっぽどリスクになるという驚異的な世界が訪れるのかもしれない。
サトシ・ナカモトは本当に凄い。彼はたった一人、美しいコードを書いただけで現代最大の権力を持つアメリカを王座から引き剥がすかもしれない可能性をこの世に生み出したのだ。
まさにたった一人の革命である。
ガチンコで徒手空拳で帝国にカチコミにいって、タマとってくるだなんて発想、普通じゃとてもできない。
サトシ、まったくお前は大した男だよ。天下はきっと、お前のものだ。
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(Photo:Zach Copley)