高校生ぐらいだかの時、人生に深く失望した事がある。事の経緯を簡単に書くとこんな感じだ。
1, 自分は普通レベルの進学校にいる人間だけど、頑張って勉強しても、どうも真ん中ぐらいの順位しかとれないらしい。
2, 世の中にはここよりも、沢山の頭のよい学校がある。となると世の中には自分よりも圧倒的に頭の良い人がたくさんいる事になる。同世代前後なら、少なく見積もっても一万人以上はいるだろう。自分よりも頭のよい人が一万人も世の中にいるのだとしたら、自分の順位はよくて一万位以下である。
3, そうなると・・・自分はこのまま一生平凡なまま一万位以下にずっといて、浮かび上がることなく人生が終わってしまうのではないか・・・
とまあ、こんな事を15歳ぐらいの時に思ったのである。
ただその後、自分は人生で二回ほど、文字通りハッと覚醒するような体験をした。
そしてどうもこの覚醒するような体験をしたか否かが、世の中で成功するか否かで非常に重要なんじゃないかと最近思うようになってきたのである。
というわけで今回は、僕が人生で覚醒した時の体験を書いていこうかと思う。
体系だった理論の理解ができれば、勉強なんて簡単だ
高校生ぐらいの頃、勉強に一度挫折した。理由は簡単で、単純に難易度が中学校の頃と比較して高すぎたのである。
中学時代まで得意だった数学も、あまりの難しさに気が狂いそうになった。じゃあ日本史とか世界史に逃げようにも、教科書に書いてある覚えるべき分量があまりにも膨大すぎて、まともに取り組むにも気絶しそうな分量であった。
こうして高校生活早々に、僕は勉強をあきらめた。ただまあ色々諸事情あってその後に医学部を受験する事にしたのだけど、一浪の秋口ぐらいまで何をどうすれば何とかなるのかの手立ても全く立たなかった。
「もうここまできたら、いっそ馬鹿になろう」
こう思い、何を血迷ったのか一浪の秋頃に本屋に並んでいる一番簡単そうな薄い参考書を買ってきて、必死になって取り組んでみた。すると驚くべきことに、今度は枯れた大地に水が染み込むが如く、僕のスポンジのような脳みそに知識がスルスルと入っていった。
こうして非常に簡単な参考書を何回も繰り返した結果、僕の偏差値はその後グングンと伸びていき、結局一浪では間に合わなかったのだけど、二浪で偏差値は70をゆうに突破し、その後なんとか医学部に入る事に成功した。
このときにようやく理解したのだけど、世の中の難しそうな事のほとんどは背景にある論理さえ理解できれば、全て簡単に習得可能なのである。
一見非常に難解な高校の数学や英語、化学や物理といったものは、全て背景に論理があり、それさえ理解できれば8割ぐらいは終ったも同然なのである。
どんな試験にも合格できるようになる、唯一無二の方法
試験勉強なんてのは結局のところ
①受験する試験に出題される問題の意味が分かる程度の基礎的学力があり
②その上で相手が何を出題範囲としているのかを分析し
③範囲内のものを一定期間内で10割覚える。
を徹底すれば100%合格する。
この中で一番難しいのは①だ。例えば、東大の入試問題をみて、どこの分野のどのあたりの知識から出題されているのかを読み解く為には、その分野の背景論理についてかなり精通する必要がある。
逆に言えば、それができてないから日本の多くの学生は東大に合格できないのである。ということは、それさえできれば他を圧倒的に突き放す事ができるわけである。
時々、スポ根みたいにメチャクチャに一心不乱に勉強している人がいるが、今になって思うと哀れ以外の何物でもない。いくら頑張って勉強したとしても、戦略が立てられない人間は神風特攻隊と何も変わらない。
戦況を俯瞰して、合理的に自分のやる気を配分できる人間が、当たるも八卦当たらぬも八卦みたいな運で合否が決まる世界線から逸脱できるのである。
読解力がないと理論が理解できない
実のところ、大学入試ですら
①受験する試験に出題される問題の意味が分かる程度の基礎的学力
を身に着けている人はほとんどいない。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本で「ほとんどの子供達は教科書が読めてない」という驚異的な事実が指摘されていたけど、この教科書が読めない事による本当の問題が何かと言うと学問の理論を理解できない事にある。
多くの人は、そもそも試験勉強≒暗記と思っている節がある。
試験前に一週間ぐらいかけて、授業のノートに書いてある事を丸暗記する事が試験勉強だと思っている人もいるかもしれないけれど、実は大人の世界ではその方法は全く役に立たない。
こういう方法で定期テストを乗り切っていった人間は、実のところ大人になっても全く大成しない。そんな付け焼き刃のような方法で身につけた知識なんて、はっきりいって3日で雲散霧消する。
学問の凄さは、そういう暗記とは対極のところにある。
背景にある理論を一度理解すれば、30分ぐらい復讐すれば一度学習した部分をすぐにでも再現できるようになるのが学問を習得する事の価値であり、そこを理解しないまま試験を暗記で乗り切ってしまうと、大人になってから本当に無価値な人間に成り下がってしまう。
これが理論の凄さであり、読解力の本質である。この読解力を身に着けている学生だけど、僕の体感では高校生の上位数%しかいないと思う。
だから高校時代の成績が悪いからといって、何も人生を諦める必要はない。ちゃんと背景にある論理を読み解く事ができるようになれさえすれば、今の順位なんて関係なく、自然と同世代の上位数%にまでは到達できるのである。
好きなことを知る
さて、この読解力が僕の人生における気付きの1つ目である。
そして、2つ目の気付きは、好きな事に没頭するという感覚だ。
上に書いたような体験を通じて、僕は大学入試をなんとか突破した。
実は大学に入ったらどうしてもやりたかった事が1つあった。合気道である。
当時の深夜番組で、合気道の達人である塩田剛三氏の映像を見たときに、強烈なあこがれを抱いた僕は、なぜか自分は絶対に合気道の才能があると思い込み、その思いを忘れずにいた
<参考・塩田剛三氏の演舞>
そして大学に入学した後に即、合気道を初めたのだけど、これがもうメチャクチャに楽しかったのである。
それから僕は、一日の起きている時間のほとんどを合気道のイメージトレーニングに費やしたのだけど、そうすると驚くべきことに、メチャクチャなスピードで合気道が習得できたのである。
この時、僕はようやく「好きこそものの上手なれ」の意味を理解した。
僕が強烈なスピードで合気道を習得したのは、ようは一日のほとんどの時間を合気道に費やせたからである。
なんで費やせたかというと、それについて考える事が全く苦でなかったからに他ならない。
例えば受験勉強なら、そもそもそれについて考える事は苦以外の何物でもなかったから、僕は本当に習得に苦労した。
けど合気道は”好き”だから、それについて考える事は楽しい以外の何物でもなかった。
結局、物事の習熟度合いはそれについて費やす事のできる時間でほとんど決まる。
もちろんスポ根よろしく、ただ単なる努力は何も結実しないけど、ちゃんと背景にある論理を理解して、その上で膨大な時間を費やすことさえできれば、一流になる事はそこまで難しいことではないという事を、僕は合気道を通じてようやく理解したのである。
背景にある論理習得×好きなことしかしない、という最強の戦略
これが僕の人生でおきた、二回のハッと覚醒するような体験である。
僕の人生の成功は、はっきり言ってこの2つの論理だけでもたらされている。
ライターの仕事も、好きだからこそこうして仕事レベルに高まっているし、個人で運営しているワイン会も、好きだからこそ仕事レベルにできるのである。
上に書いた2つの原則を徹底するだけで、世の中のほとんどの人をゴボウ抜きにできる。是非、この2つの極意を、皆様もみに付けて欲しい。
これさえ理解できれば、頭のいい子供より勝ち組になるのなんて、めっちゃくちゃに簡単である。
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(Photo:Dave O’Connell)