ちょっと前の話ですけど。

 

広報担当者が集まる場に招待されたので、ノコノコとでかけていきました。

私自身も、自社の広報を担っているので、みんながどんなことをしているのかなーと、興味は当然あるわけです。

 

で、彼らに混じって、話を聞くと、こんな感じです。

「広報って難しいですよねー。」

「そうですねー。」

「特に成果の定義が難しいですよね。」

「本当に。」

「どんな感じの成果設定になってますか?」

「メディアの掲載本数がメインですね。あとは格が高くて、大きな媒体に掲載されたかどうか。」

「ああ、うちもそんな感じです。」

「テレビとかの取材をうけるのにいい方法って知らないですか?」

「知り合いのディレクターを紹介しましょうか?」

「あそこの編集者をしってますよ。」

 

ほうほう……。

私が一番面白いと思ったのが、多くの広報担当社の成果が「メディアへの掲載」で測定されていること。

つまり

「日経に掲載されました!」

「テレビで紹介されました!」

「Yahooのトップニュースに……」

ということが広報の「成果」とみなされていること。

 

いやー、広報の仕事って、本当に大変ですね。

同情いたします。

まあ、今でも「日経に掲載されました!」って嬉しそうに語っている経営者は多いので、その企業では、「マスメディアに取り上げられること」が評価されることも頷けます。

 

でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。

それって本当に「広報業務の成果」なのでしょうか?

 

広報業務の成果って何?

会社によって、回答は異なって当然だと思いますので、成果の定義について議論する気はありません。

ただ、私が思う「広報業務」はもう少し広いものなので、メディアの掲載本数などをKPIとして使うことは、担当者に誤った活動をさせることになりかねない、と感じています。

 

では、どのような成果設定が適切なのでしょう。

 

そもそも「広報」を行う目的は、

「自社の製品、サービスのユーザー(および将来のユーザー)との間に、信頼を構築すること」です。

これに異論のある人はあまりいないでしょう。

信頼が構築できれば、ブランディング、販促活動、採用活動の全ての領域において、アドバンテージを得ることができます。

 

そう考えれば、大手メディア、マスメディアに記事が掲載されることのメリットは

「マスメディアに掲載されることが、ユーザーとの間に信頼を構築することにおいて重要だから」

という前提があればこそです。

 

しかし、「マスメディアへの掲載=信頼構築」という図式が壊れてしまっていたらどうでしょう?

信頼失う新聞・テレビは滅ぶのか 池上彰さんが「楽観できない」と語る理由

日本でもマスメディアに対する信頼性は下がっている。新聞通信調査会が2008年から毎年実施する「メディアに関する全国世論調査」では、NHK、新聞、民放テレビ、ラジオの信頼度が、いずれも過去最低となった。

また、総務省の「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、全体ではテレビ62.7%、新聞68.6%と高い信頼度を保っているが、若い世代ほどその数字は下がり、テレビは30代で47.3%、新聞は20代で58.9%となる。(ネットはそれよりも圧倒的に低いが。。。)

(Buzz feed News)

これから社会の中枢を担う若手は、すでにテレビも新聞も多数が「メディアに書いてあることって、嘘じゃね?」という目で見ています。

もちろん、ネットはそれ以下で、雑誌は更に下(w)。

 

つまり現在は「メディアに掲載されるだけ」で信頼感が生み出される時代ではない、というのが本質なのです。

だから、広報業務を「(マス)メディアへの記事掲載をねらう仕事」とみなすのは、間違い、とは行かなくても、正しい認識からは少しズレています。

 

では現代に生きる人々の「信頼感」の源泉はどこにあるのでしょう?

ニールセンの調査を見ると、よくわかります。

日本人はどのようなメディアを信頼するのか、若者が共感できる広告のテーマはなにか

 

この2015年の調査によれば、34歳以下(現在は37歳以下)の人々の信頼する情報ソース上位は、

1.友人や家族の意見

2.企業のブランドサイト

3.インターネットに投稿された口コミ

となっています。

 

おわかりでしょうか?

信頼できる情報の主戦場は、すでにSNS、オウンドメディア、そして口コミの3つに移行しているのです。

つまり「信頼構築」に最も効果的なのは、「自社の出している記事をSNS、口コミで広く読んでもらうこと」に尽きます。

 

必然的に、広報業務の成果、広報担当者の成果は、「自社サイトのコンテンツをうまく拡散させること」になる、と言えるでしょう。

 

もちろん、この傾向は高齢者には当てはまりません。

シニア層、中高年層をターゲットとした企業活動においては、相変わらず「日経に掲載されました!」が有効です。

しかし、若い層にはそうではない。

 

経営層には、特に中高年の経営層には、どうか広報担当に誤った目標設定や、ドライブをかけないように願いたいものです。

 

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