参考リンク:電話する前に一言連絡するのって常識じゃないの? (はてな匿名ダイアリー)
ある世代より上は電話する前に一言連絡を入れるのが理解できないらしい。
逆に俺はそのことにびっくりしたんだが、、電話って相手の時間を一方的に奪うわけだから、当然電話していいかの許可は取るのが常識と思ってた。
僕はいま40代半ばなのですが、人と人との連絡手段というのは、時代によって変わってきているというのを痛感させられる話でした。
ブックマークコメントをみていると、いろんな反応があって興味深いのです。
僕が子どもの頃(1970年代後半から、1980年代)は、まだ家はダイヤル式の黒電話で、電話が鳴ったら、近くにいる人が出る(とはいえ、僕は電話に出るのがとても苦手だったのです)、玄関にお客さんが来れば、よっぽど怪しそうな人じゃないかぎり、応対する、という時代だったのです。
それが、1990年くらいから、留守番電話が普及し、玄関にはインターフォンやモニターが付き、PHSや携帯電話の時代になり……
警備会社の人に聞いた話では、「最近は、家のインターフォンを鳴らしても、なかなか出てもらえない」そうなのです。
家の電話に着信があっても(というか、固定電話がある家も少なくなってきましたよね)、まず留守電の内容を確認してから折り返す、という人のほうが多いのではないでしょうか。
家の電話が鳴る用件って、大概、何かのセールスとかですし。
最近はスマートフォンへの着信でさえ、知らない番号からの着信は、いきなりは受けずに、留守番電話を確認し、セールスや迷惑電話ではないか、その電話番号をGoogleで検索するのが僕の習慣になりました。
一時期は「電話は相手の時間を奪うから、都合の良いときにいつでも読めるメールでのやりとりが望ましい」というような主張をする人も大勢いたのです。
さらに、メールはめんどくさいし、いつ読んでもらえるかわからないから、LINEとかTwitterにしてほしい、という人も出てきました。
その一方で、仲間内のLINEとかでは、あまり時間やタイミングを気にせずに、どんどん情報が流れてきて、しばらく反応しないと「既読スルー」とか言われて責められる場合もあります。
電話ほどの即時性はないにしても、メール全盛期に比べて、ずっと「スマートフォンに縛られている感じ」は強くなりました。
病院で仕事をしていると、携帯電話につねに縛られているような感じがしてつらいことも多いのですが、僕の一世代前(いまちょうど還暦くらい)の先輩に聞くと、ポケベル以前は常に連絡先を病棟に報告したり、こまめに自分から病院に電話を入れていたそうなので、ラクになったとも言えるのです。
夜中に自宅に電話がかかってきて家族が起こされる、というのも日常茶飯事で。
連絡の手段というのは、なにかとややこしいというか、これだけさまざまな手段が出てきても、近すぎたり遠すぎたりして、なかなか「正解」にたどりつかない。
それぞれが置かれた状況にもよりますしね。病院からの容態急変の連絡をメールでされても、悠長なことをやるな!というのが一般的な反応でしょう。
昔のドラマとかをみていると、「このふたり、携帯電話があったら、別れなくて済んだかもな……」なんて思いますし。
冒頭のエントリの話なのですが、僕も最近、20代くらいの人から仕事の電話がかかってきたとき、最初に、「いま、電話してもいいですか?」って聞かれることが多くなったと感じていました。
いや、電話できない状況だったら、そもそもこの電話に応答してないから……と言いたくなるのですが、彼らには、こういう「背景」があるから、わざわざそんな断りを入れてくるのだなあ、と。
電話では相手の時間に強引に割り込んでしまうから、ということなのでしょうけど、僕からすれば、それはLINEでも同じことで、二度手間になるのであれば、一度の電話で済ませればいいのに、と思うのです。
あるいは、LINEなどのメッセージに用件の内容まで入れてくれれば。
もっとも、仕事の電話とか、相手がよく知っている人ならともかく、ちょっと距離がある人だと、いきなりの電話だと応答してもらえない可能性が高い、というのもあるのかもしれません。
最近かかってくる電話って、嬉しくない用件が95%くらいだし。
年齢層が高くなると、ちょっと長いメッセージを入力するのが苦痛、ということも多いのです。
一昔前は、「電話では失礼だから、直接会って話すように」とか言われていたのに、本当に世の中変わりましたよね。
今の世の中には、固定電話すら一家に一台はなかった時代を知っている人から、ダイヤル式の電話を知らない人、ポケベルも見たことがない人までいるわけで、コミュニケーションの共通認識をつくるのは難しいと感じます。
ただ、ひとつ知っておいたほうが良いと思うのは、この2018年においても、直接会うとか、直接電話すると、ちょっとめんどうな頼み事をする際に、相手を動かしやすい、という面もあるのです。
僕自身も、最近、ある手続きをする際に、サイトからの入力やメールでの問い合わせではうまくいかなかったのに、ダメもとで直接担当者に電話で尋ねてみたら、「こういう方法がありますよ」と教えてくれて、驚くほどあっさり話が通った、ということがありました。
みんなが直接問い合わせることを敬遠しがちな時代だからこそ、効果的なこともあるのです。
相手が人間だから融通が利く、ということはけっこう多い。
僕自身も他人に電話するのはものすごく苦手なのですが、そういう人が大勢いるからこそ、すぐに直接電話できる「ちょっと厚かましいくらいの人」は、そこで他者と差別化できるのも事実です。
とはいえ、若者たちの「作法」についても、こういうものだということを年長者も知っておけば、いちいちお互いに苛立たなくて済むところはありますよね。
参考リンク:「他人に助けてもらうための技術」について(いつか電池がきれるまで)
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
著者:fujipon
読書感想ブログ『琥珀色の戯言』、瞑想・迷走しつづけている雑記『いつか電池がきれるまで』を書きつづけている、「人生の折り返し点を過ぎたことにようやく気づいてしまった」ネット中毒の40代内科医です。
ブログ:琥珀色の戯言 / いつか電池がきれるまで
Twitter:@fujipon2
(Photo:Jzee)