転職サイトのdodaが今年の2月18日に発表した、転職求人倍率を見ました。

(出典:転職求人倍率レポート(データ) doda)
これを見て企業の中では「採用のチャンス」と思う方もいるでしょう。
なぜかと言えば、企業の求人が大きく減る中、転職希望者は逆に増加しているからです。
この1年で大きく求人倍率は減り、リーマンショック以来の低水準となりました。
しかしなぜ、こんな状況にもかかわらず、「転職希望者」が増えているのでしょうか。
それを知る手掛かりは、dodaの人気の検索キーワードランキングです。

1位が「在宅勤務」、そして3位が「フルリモート」。
つまり現在、転職の強い動機は、テレワークなのです。
(出典:人気の検索キーワードランキング doda)
通勤不要。
満員電車に乗らずに済む。
自由に休憩ができる。
平日に外出もできる。
家族と過ごす時間も増やせる。
とはいえ中にはもちろん、「オフィスでないと仕事できないので、リモートワークは嫌い」という人もいるでしょう。
それは個人の選択なので、とやかく言う必要はないと思います。
しかし、一度テレワークをやると、ほとんどの人は、もう元には戻れないようです。
実際、連合の調査では、テレワークの継続希望者は8割を超えています。
(出典:テレワークに関する調査2020 連合)
希望しているのに、今の会社に「テレワーク」の選択肢がないなら、転職したくなるのも当然です。
したがって、現在は今まで市場に出てこなかった「良い人材」を引き抜ける可能性が高い。
実際、私の身の回りにも、「会社がテレワークを辞めてしまったので、呆れて転職した」という方が何名もいました。
また、求職者にとっても、今は転職によい状況です。
なぜなら、今の状況で「積極採用」そして「テレワーク可能」の会社は、コロナに適応できた企業だからです。
つまり今、「適応できない企業」から「適応した企業」への人材の移動が起きている。
私はこれを、大変喜ばしいことだと思っています。
なぜなら、「人を安く使う会社が減る」きっかけの一つになるかもしれないからです。
安くつかわれている人々を引き抜く
昔、私は出張族でした。
日本全国の様々な会社を訪れ、そこで現場を見てきました。
そして、一つ強く思ったのは、都市部に比較したときの、地方の給与水準の低さです。
他意はないのですが、「こんなに優秀な人が、こんなに安くつかわれているのか」と驚くことも多数ありました。
おそらく東京で働けば倍くらいの収入が得られるだろう、という高い能力の人もしばしば見受けられました。
ところが彼らは、
「家族がいる」
「この土地が好き」
「東京や大阪は嫌い」
と、様々な理由で、あえて地元に残っていました。
そうなると、彼らに選択肢はあまりありません。
給与は能力、というよりも業界と会社内の水準で設定されるため、収入はたいてい「地元の並の水準」に落ち着きます。
カリフォルニア大学バークレー校の経済学教授、エンリコ・モレッティは「給料は住所で決まる」と主張していますが、まったくその通りでした。

一方、その「安くつかわれる人々」と、対照的なのが、一部の企業経営者です。
中には、労働者を安くつかいながら、横暴にふるまい、富をため込んでいる経営者もいました。
だから、都市部よりもむしろ、地方のほうが、従業員と経営者の格差は大きかった。
「不動産」「資金」「人脈」「政治権力」をすべて独占しているのが、地方の経営者です。
*
ところが、1年前から、大きく状況が変わりました。
この状況に適応した会社は、従業員の住む場所を気にしなくなりました。
そうなると、どうなるか。
地方の優秀な人材を、都市の企業がテレワークを利用して引き抜き始めました。
中には地方に住みつつ、「都市の水準の収入」を得る人が、出てきています。
これは驚くべき変化でした。
実際、弊社でも「100%テレワーク可能」としたため、日本全国の方々が、地域を問わず働いてくれていますし、知人の会社では、北海道や九州の人材を雇ったり、中には海外の人を雇ったりすることも珍しくありません。
もちろん、そこでは「同一労働、同一賃金」ですから、彼らの給与水準は、全国でほぼ同じです。
結果的に、これからは、テレワーク可能な人であれば、地方にすんだほうが良い暮らしができるかもしれません。
都市の人が、地方へ移住してテレワーク
さらに、別のトレンドもあります。
都心から離れる人が増えていることです。
東京都からの転出者が転入者を上回る「転出超過」が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大で企業のテレワーク導入が広がったことなどが背景だ。東京一極集中の是正につながるかが注目されると同時に、地方間で移住者獲得に向けた競争が起こるとの指摘もある。
実際、大手のコンサルティング会社に勤める知人は、テレワーク化されたことを機に、沖縄に移住し、そのまま働いています。
「よく会社が認めてくれたね」と思う方もいるでしょう。
確かに、東京で直接対面しなければならない会議があるときは、自費で東京に行くことを条件にされているようですが、ほとんど東京に行くことはないとのこと。
好きな時にダイビングをしたり、カヤックを漕いだり、離島への旅を楽しんだり、なかなかうらやましい生活です。
また、「移住」という極端な選択肢ではなく、郊外への引っ越しをする方も。
統計にも表れていますが、テレワークを機に、神奈川県、千葉県、埼玉県の「緑の多い地域」に家を買った方が多数います。
家族の多い方なら、「広い家」がいい、という方も少なくないですからね。
先日、一緒に仕事をしている方が、「千葉に買った家を見に来ている最中です」と、車の中からミーティングに出ていました。
全く支障もなく、「ああ、仕事って、どこでもできるんだな」と、私も改めて認識しました。
「テレワーク推進」は不可逆
とはいえ、「直近1年ですぐに引っ越し」をした人は、絶対的な数としては、まだ少ないでしょう。
なので、このトレンドが一時的なものだ、と考えている人も少なくないようです。
しかし、長期的には「テレワーク化」は、不可逆でしょう。
なぜなら、企業も労働者も、本質的にはそれを望んでいるからです。
なにせ、「テレワーク」をうまく回せば回すほど、企業の収益性は高くなりますし、人材の確保も全国からしやすい。
さらに、優秀な人は監視を嫌いますから、「社員の監視」が大好きな会社は、ますます優秀な人材を確保できなさそうです。
貴重なお金を「都心の高い家賃」に浪費せずに済みますし、郊外の方は時間を「通勤」という死ぬほど無駄な時間に使わなくてよいのですから、歓迎する人も多いはずです。
もちろん、テレワーク不可能な業務が存在していることは私も否定しません。
が、普通のサラリーマンの仕事は、現実的にはほとんどがテレワーク可能です。
そしてまた、前述したように、こうした傾向は「人を安く使う会社を減らせる」でしょう。
なぜなら、都市の会社が、地方の労働者に良い条件を提示すればするほど、地方の給与水準は上がるからです。
また、都市の労働者が、郊外や地方に移住すれば、そこでお金を使いますから、地方の経済もよく回るようになる。
都市と地方の格差も、少しずつではありますが、埋まってくるのではないかと思います。
そういう意味で、私は「テレワーク推進」に一層加担したいと、思っています。
自社もテレワーク推進。
取引先も、できるだけテレワークを推進している会社を選ぶ。
全国からテレワークで雇用する。
テレワークでもうまく仕事をできる技術を生み出していく。
もちろん、「テレワークじゃないほうがいい」という人がいれば、自由に選択できる環境は作ろうと思いますが、当面はこの方針で行こうと思っています。
*最近、「人生がうまくいかないと感じる人のための超アウトプット入門」という本を書きましたので、買っていただけますと幸いです!
単なる理論ではなく、現場で成果を出す生成AI活用の“実装方法”を知りたい方に最適なウェビナーです。
本セミナーでは、製薬・バイオ企業でのPoC(概念検証)から得られた実データとノウハウを元に、「どこにAIが効くのか」「どこが難しいのか」を明確に解説します。

【開催概要】
・開催日:2026年2月12日(木)
・時間:12:00〜13:00
・形式:オンライン(Zoom/ログイン不要)
・参加費:無料(定員150名)
製薬・バイオ企業の生成AI導入は、「試行」から「実利」を問うフェーズへと移行しています。
本セミナーでは、13チームのPoCで時間を50〜80%削減したノウハウを余すことなく共有します。適用可否の見極め、評価設計、失敗領域への対応方法、全社展開のガバナンス設計まで、実践的な内容です。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
・製薬・バイオ・化学業界のDX/業務改革担当者
・AI導入プロジェクト責任者・企画部門・法務・人事などの全社展開担当者
・PoC設計や効果測定の「型」を学びたい方
・自社の生成AI活用を確実な成果につなげたい実務担当者
【セミナーの内容】
・生成AIの“適用可否”を短期間で見切る方法(PoC設計・評価の型)
・現場で成果を出すAI活用ノウハウ(バックキャスティング/プロンプト構造化 等)
・適用が難しい領域(PowerPoint・OCR 等)の整理と次の打ち手への転換
・横展開に向けたガバナンス設計とナレッジ共有
【登壇者】
奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。
【お申込み・詳細】
こちらのウェビナー申込ページをご覧ください。
(2026/01/19更新)
【著者プロフィール】
安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
◯Twitter:安達裕哉
◯Facebook:安達裕哉
◯有料noteでメディア運営・ライティングノウハウ発信中(webライターとメディア運営者の実践的教科書)








