「こんなはずでは…」
転職や異動先で、思ったように力が発揮できない。そんな経験はないだろうか。
環境が変われば、新たに「学習」すべきことは多い。だが同時に「アンラーニング」も必要だ。
アンラーニングとは、これまでの学びを捨て去ることではない。学び直しとも違う。
「過去の経験を通じて培ってきた習慣や価値観を認識した上で、今の自分に必要なものを取捨選択し、知識やスキルを修正していくこと」である。
昨今よく耳にする言葉になってきたが、重要性が理解できていなかったり、試みるもののうまくいかなったり、という方も多いだろう。
私自身も、実はそのひとりであった。本稿ではそんな私の経験談を例にとりながら、アンラーニングについて解説していきたい。
アンラーニング=忘れる、ではない
転職して間もない頃のことだ。「この組織で活躍したいなら、前職の経験をアンラーニングしなければいけないよ」と、先輩社員からアドバイスをもらった。
「アンラーニング……? 忘れる、ということですか?」
私は困惑した。会社も仕事も違うのだから、新しく覚えることはあっても、忘れることなんてあるのだろうか。そのときは話半分に、先輩社員のアドバイスを聞き流していた。
だが、徐々に仕事を任されるようになると、どうもうまくいかないことが続いた。勉強不足もある。だからこそ、「前の職場では、こうやればうまくいった」と過去の経験を頼りに頑張ってみる。しかし、求められるレベルに到達しないばかりか、方向性が違っていることもしばしば。
そんな状況を見かねた上司は、色々と相談に乗ってくれる。だが、私は頑なに「前職ではこうだった」と、これまでのやり方を貫こうとする。上司は笑って受け止めてくれるが、その後も期待されるパフォーマンスを一向に発揮できない——。
今から思い返せば、これは典型的な「アンラーニングができていない状態」だった。
当時の私は、前職の成功体験に固執していた。そのため、新しい職場で新たに学ぶ姿勢ができていなかったのだ。
社会人教育の業界では、「Learning is Unlearning」と言われる。ビジネスパーソンの学びは、過去の習慣や価値観のうち、何を残し、何を捨てるべきかを客観視した上で、新たに学習していくことの繰り返しである。
その際、注意したいのは「これまでの学びを忘れる」ことではないということだ。
「これまで培ってきた習慣や価値観を認識すること」「それらを取捨選択すること」がポイントになる。
こう書くと、アンラーニングは難しくないように思えるが、そう簡単にはいかない。
なぜか。そこにはある“トラップ”が存在するからだ。
有能なビジネスパーソンほどコンピテンシー・トラップにひっかかる
ロミンガーの法則(*1)によれば、「仕事上の経験が、ビジネスパーソンの学びの7割を占めている」という。
だから、何をするにも過去の経験を参考にするのは当然のことだ。
しかし、新しい環境では、これまでの経験が役に立つとは限らない。だからこそ、環境が変われば”意識的”にアンラーニングする必要があるのだ。
*1 ロミンガーの法則:企業人の成長要因は70%が業務上の経験、20%が周囲の人々からの薫陶、10%が研修であるという法則。リーダーシップを中心とした人事領域の調査研究機関であるロミンガー社が行った、経営幹部層への調査研究・分析により明らかになった。
当たり前のことに思うだろう。にも関わらず、なぜ人は簡単にアンラーニングできないのか。
それは、人には経験から学んだことを「固定化」「固着化」すると同時に、それに固執することで新たな可能性を視野に入れなくなる性質があるためだ。
これを「コンピテンシー・トラップ」と言う。過去の成功体験にとらわれて、新しい学びがなされないというこの事象には、有能なビジネスパーソンほど陥りやすい。
有能なビジネスパーソンが成果を出し続けられるのはまぐれではない。
多くは、過去の経験から成功するための法則を導き出し、その法則を用いて再現性を高めているのだ。
しかし、環境が変われば、その法則も通用しないことがある。まさにアンラーニングが必要な場面となっているのである。
例えば、あなたの周囲にこんな人はいないだろうか。
鳴り物入りで転職・異動してきたが、何をするにしても「前職では…」「前の部署では…」と、自分の意見を押し通そうとする人だ。
そんな口癖のあるビジネスパーソンは、コンピテンシー・トラップに陥っている可能性がある。
もしあなたにも身に覚えがあるなら、コンピテンシー・トラップを抜け出すために良い方法がある。
それは「リフレクション」だ。
(執筆:太田 昂志)
著書が92万部を突破しても、会社の成果につながるとは限りません。著者個人の知名度と、会社の事業成果は同じように生まれるのか——安達裕哉が自身の出版経験をもとに語るウェビナーを開催します。

📌 このウェビナーでお伝えする内容
✓ ベストセラーの刊行によって、著者本人にどのような変化や機会が生まれたのか
✓ 著者個人の知名度や信用が、会社の認知・採用・問い合わせ・商談へどう波及したのか
✓ 商業出版と企業出版では、目的・読者・活用方法・成果指標がどう異なるのか
✓ ベストセラーを目指さなくても、本を営業・顧客教育・信用形成・採用に活用する方法
✓ 自社が本を持つなら、誰の、どの意思決定を動かすために、何を書くべきか
✓ 一冊の本を、Web記事、メルマガ、ウェビナー、営業活動へ展開する考え方
【対象】
BtoB企業の経営者・経営幹部・事業責任者/営業・マーケティング・広報・採用の責任者/自社の専門性や強みを顧客にうまく伝えられていない方/企業出版に関心はあるものの目的や費用対効果を判断できていない方
梶田洋平氏の著書『1冊の本で売上をアップする!BtoB事業者のための企業出版戦略とケーススタディー』
+「企業出版・目的設計チェックシート」をプレゼント
セミナー名:92万部のベストセラーは、会社に何をもたらしたのか?
開催日時:2026年8月27日(木)11:00-12:00
配信形式:オンライン(Zoomウェビナー)
参加費:無料
共催:ティネクト株式会社、ラーニングス株式会社
お申込み・詳細
こちらのウェビナー詳細ページ をご覧ください。
(2026/8/3更新)
【著者プロフィール】
日本で最も選ばれているビジネススクール、グロービス経営大学院(MBA)。
ヒト・モノ・カネをはじめ、テクノベートや経営・マネジメントなど、グロービスの現役・実務家教員がグロービス知見録に執筆したコンテンツを中心にお届けします。
Photo by Siora Photography











