日経でもコンサル業界の特集を見かけましたが、たまに、「コンサルティング会社の激務」について聞かれるときがあります。

コンサル業界は激務?年収は? 現役社員の覆面トーク

就職や働くことのリアルをお伝えしていく、覆面座談会シリーズ。

今回は、就活生から人気の高いコンサルティング業界です。大手コンサル企業の現役社員に、「激務って本当?」「辞めたいと思ったことありますか?」「年収は高い?」など、普段聞けないような話を「しゅんダイアリー」こと福田駿さんが根掘り葉掘り聞きました。

残念ながら、私の持つ情報はもう古く、お伝えできるほどのものを持ち合わせていません。

上のようなコンテンツを参考としていただくほうが、よいと思います。

 

また、私がコンサルタントに就職したころは、強者たちはマスコミや総合商社や銀行、大手メーカーに就職していました。

実際、就職先を聞かれて「デロイトトーマツ」という言葉を出しても、「デロイトトーマ?」と真顔で聞き返されましたので、まあそんなもんです。

 

要するに、マイナーな業界で、今のような「人気の業界」ではありませんでした。

そういう点でも、今とは違います。

おそらく今でいう、スタートアップのような、怪しいけど儲け話がある、といった雰囲気を持っているのが、コンサル業界でした。

 

実際、昼から酒を飲んで、真っ赤になってお客さんのところに行く、それが許された、みたいな人物が実際にいたので、怪しい業界だったのは間違いないです。

 

ではなぜ、コンサルティング業界に入ろうとしたのか。

「やりたいこと」や「自己成長」、あるいは「将来性」なんて、かっこいい話ではありませんでした。

 

単純に、多少怪しい仕事でも、純粋に奨学金と、親への借金返済のために、お金が欲しかったのです。

ちょっとうろ覚えなのですが、当時初任給が470万円くらいだったと思うので、破格だと素直に思いました。

 

私は大学で数値解析のプログラミングをやっていたことがあるので、当時システムに素養のある人を欲しがっていた、コンサルティング会社に偶然拾ってもらいました。

同期には文系の人が多かったので、理系でプログラミングができる人は少なく、単純にラッキーだったのだと思います。

 

業界全体が上向きだったことと、当時の経営陣が非常に優秀だったことが幸いして、会社はあっという間に大きくなりました。

会社が伸びれば、給料も必然的に上がります。

借金を返すには、よい環境でした。

 

 

ただ、個人的な経験を述べると、高い報酬は「激務と引き換え」であったことは間違いありません。

 

特に、マネジャーより上、年収900万円から1500万円くらいのレンジでは、まさに「寿命を燃やしながら働く」という感じがありました。

というのも、これくらいの給与は「経営層ではないのに、成果を強く求められる報酬額」だからです。

 

当時の私の上司は

昼はお客さんのところへ行け。夜できる仕事を昼やるな。休日できる仕事を夜やるな。」

と言っていました。

そのため、社内の会議はほとんど夕方以降設定されており、会議が終わってから個人の仕事に取り掛かる、という具合で、労働時間は際限なく伸びました。

 

また、土日には勉強会や、幹部の合宿などがあり、プライベートの時間はがりがり削られました。

平日は大体終電、土日も「ほとんど会社にいる」という状況です。

そんな生活を10年以上、倒れずに続けることができたのは、単に運が良かっただけなのかもしれません。

 

「コンサルが激務だったのは昔の話で、今はそんな働き方はしてない」という意見もあるでしょう。

おそらくそれは、当たっています。

実際、そこで働く人が増えるにつれ、そういった「ブラックな働き方」は、公共の福祉に反する、ということで、規制されていったのだと思います。

 

しかし一方で、「金をたくさん稼ぎたい」という人は、今も、こうした働き方をしている人がいると思います。

これはコンサルティング会社に限らないと思いますが、基本的には、年収900万円を超えてくると、途端に「成果主義」的な色合いが濃くなりがちだからです。

 

「会社に金を落としてくれるなら、給料ははずもうじゃないか。」

それが、このクラスの年収を獲得する際にに求められることです。

 

国税庁の、民間給与実態統計調査結果によれば、令和2年において、給与所得が年収900万円より多く、1500万以下の人たちの割合は、約5%で、約20人に一人。

それほど少ないわけではありません。

 

しかし、おそらくこの人たちは、一番会社員として「きつい」仕事をしている人が多いと思います。

「激務」と対価で、高い給与を受け取っているからです。

 

 

しかし、私見ですが、「激務」が通用するのは、年収1500万円程度、多くても2000万円程度が限界だと思います。

 

当時、それ以上稼ごうとすれば、まずはベースで1800万円程度がもらえる、役員クラスになる必要がありました。

しかしそれは、「激務」の延長線上にはありませんでした。

 

では、何が役員クラスへの昇格の条件だったかというと、「事業創造」でした。

つまり、最低でも10億の売り上げが見える事業を一つ作る。

そして、その組織のヘッドになる。これができれば、年収1800万円から、3000万円が見えます。

 

さらに、採用を強化し、営業組織を作り、評価制度を確立して、部下が自律的に事業を拡大していくようにすれば、年収1億もまったく夢物語ではありません。

そしてそれは、「激務」のなせる業ではなく、「資本家」としてのムーブが必要となる。

 

よく考えれば当たり前なのですが、この考え方こそ、コンサルティング会社で得た、最大の知見の一つでした。

 

なお、コンサルティング会社は、「人」さえいれば事業が作れます。

私の上司はそれを知っており、若手によく事業創造を任せました。

 

だから、意外にも、コンサルティング会社は、場合によっては「起業」にも似た経験が積める。

就職人気は、そんな期待も込められているのかもしれません。

 

 

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【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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Photo by Noah Buscher