この記事で書きたいことは、大体下記の通りです。

 

・プロ棋戦の「王将戦」第二局が感動するくらいの名局でした

・将棋観戦が面白いこともあって、将棋熱が何度目かの復活をしています

・将棋を指していると、単純にゲームとして面白いこともさることながら、実生活に役立つ示唆も色々と得られて大変楽しいです

・ところで先日、「将棋倶楽部24」に終局後の盤面評価機能が唐突に実装されました

・滅茶苦茶お手軽だし便利だし楽しみ方もバリエーション豊富なので、皆さんもこの機会に将棋どうですか

 

以上です。よろしくお願いします。

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまいましたので、あとはざっくばらんに行きましょう。

 

皆さん、将棋って指しますか?あるいは、将棋観戦はしますか?面白いですよね、将棋。

ご存じの方も多いかと思うのですが、現在は将棋界の最高タイトルのひとつである「王将」を争う王将戦がまさに行われている最中でして、藤井聡太王将と羽生善治九段の間で、とてつもなく熱い戦いが繰り広げられています。

 

この記事を書いている時点では第2局が終わり、羽生九段が1勝を返して一勝一敗のタイになったところなのですが、これがまた凄まじい名局だったんですよ。

第2局の棋譜は毎日新聞さんのサイトから解説つきで閲覧出来るので是非見てみて頂きたいんですが、

 

文句なしの現棋界最強、今までタイトル戦で負け越したことがないという恐ろしい強さの藤井王将に対して、タイトル保有数合計99期を誇る、こちらも誰もが認める棋界のレジェンド羽生九段。

 

昨年度は調子を落とされていたようにも見え、「全盛期は過ぎた」などという声もあった羽生九段が、今年度はめきめき調子を戻されており、ついに藤井王将とタイトル戦でまみえることになったのが本局です。

 

ここまでの対戦歴を考えれば、いくら羽生九段とはいえ藤井王将相手の勝利は厳しいだろうと正直思っていたところ、2戦目で羽生九段が指した名手の数々は、「全盛期?今だよ?」と言わんばかりの凄まじい冴えを見せてくれました。

 

一見すると主戦場から離れた場所に唐突に放たれたように見えて、実は後手の対抗手段が欠けたところを的確に突いた、59手目▲8二金。

評価値的には損なようで、その後の盤面も考えれば香を渡さなかった意味は大きかった、67手目▲5六銀。

そして、「一手でも間違えれば即詰み」という手を最後まで繰り出し続ける藤井王将の猛攻を躱し続け、最後に盤上に叩きつけた唯一の正着手、101手目▲4八香。

 

この辺、しんざきもリアルタイムで観戦していたのですが、とにかくねじり合いに次ぐねじり合い、棋界随一の鋭鋒を凌ぎ切って勝利を得た羽生九段の手腕には、一手指される度に「すげえ……」とつぶやくしかなかったわけです。

 

数々の記録を塗り替えつつある棋界最強の藤井王将に対し、完全復活を果たしたレジェンド中のレジェンド羽生九段。こんなん熱くならないわけがないと思いませんか?

 

もちろん、この記事を書いている時点では、七番勝負の行方どころか第三局の勝敗すら分からないわけで、お二人の引き続きの熱戦を期待してやみません。

 

***

 

ところでしんざきは、将棋を見るだけではなく自分で指すのも好きです。

 

といっても腕自慢というわけでは全くなく、初心者に毛が1,2本生えたかな?という程度の残念な腕前なのですが、まあ数年に一回「将棋やりたい!」という熱意が急に湧いてくることがありまして、棋界が盛り上がっていることもあり、ちょうど今何回目かの将棋ブームの最中なんですよ。

「将棋ウォーズ」や「将棋倶楽部24」で、暇を見ては対戦ボタンをポチっているわけです。

 

将棋をやっていて良かったと思うことの一つは、とにかくプロの棋戦が面白いことです。

恐らくどんな観戦でもそうだと思うのですが、「自分でその競技をプレイしているかどうか」で、観戦の質や面白さは根本的に変わります。それはなにより、「どこに注目すればいいかが分かりやすくなるから」です。

 

昨今の棋戦は、プロ棋士による解説も充実していますし、有利不利を表す「評価値」というものが可視化されていることもあり、どんな手に注目すればいいのか、昔よりはだいぶ分かりやすくなりました。

 

全くの初心者の方でも、「おっ、この手でこれだけ有利になったんだな」というのが理解出来るようになったというのは、観戦の楽しさを大幅に向上させたと思います。

 

とはいえ、やはり「その手の意味」を自分自身の将棋にあてはめて考えることが出来ると、臨場感がまるで違います。

 

「自分でもそれが出来るか」ということをリアルに感じられるかどうか。

同じ立場に立たされた時、自分に何が出来るかをリアルに想像出来るかどうか。

 

これは、観戦における最大のポイントです。野球でもバスケでも、格ゲーでもなんでもそうだと思います。

競技のその場に自分をあてはめてみることで、「プロ凄い」という感動を感じやすくなるわけです。

 

もちろん、自分で将棋をすることの楽しさはそこに留まらず、単純に「全力で考えて、全力で誰かと競う」ことはそれだけで十二分に楽しいことではあるのですが、一方将棋を指す上では、様々に有益な示唆を得ることも出来ます。

 

最近私が得た「将棋の戦訓」というものを一部ご紹介しますと、大体以下のようなものが挙げられます。

 

「人間がプレイする以上、ミスや見逃しはつきもの」

「相手の実力が自分と大きく離れてはいない以上、自分がどんなに大きなミスをしたと思っても、案外相手もそれ以上のミスをすることはある」

「相手が自分よりでかいミスを一つすれば勝てる」

「だから、負けている盤面を見続ける精神力が一番重要」

 

この辺、実生活でも結構同じようなことが言えると思うんですよね。

 

自分で将棋を指す上でつくづく感じるのが、「自分にはいかにミスや見逃しが多いのか」という話です。

「そうはならんやろ」というとんでもないタコミスを、ぽんぽんやらかしてしまう。どんなに注意していても、「何でそこを見逃すの!?」ということは日常茶飯事です。

 

で、でかいミスをやらかして、「もう駄目だ」と思ってしまうことだってしょっちゅうあるんですよね。

 

これもつくづく思うことなんですが、将棋を指していて一番つらいのは、「負けている盤面を見続けること」です。

人間、自分の不利や失敗を自覚し続けること程苦しいことはない。

自分のミスが原因で「これもう無理やろ」という盤面になってしまうと、もうそれ以上プレイを続けたくなくなるし、投了してさっさと楽になってしまいたくなるんですよね。

 

通信対戦の短い時間でも辛いのだから、負けている盤面を数十分、数時間と見続けないといけないプロ棋士の精神力たるや、本当物凄いと思います。

 

ただ、その上で、「ミスをするのは自分だけではない」という端的な事実もあります。

どんなに致命的なミスをしたと思っても、相手がそれ以上にでかいやらかしをしてしまうことだってあるし、そこを見逃さなければ「もう駄目だ」という盤面をいつの間にかひっくり返してしまうことだってある。

 

プロであれば「大逆転」なんてことはそうそう発生せず、だからこそたまに発生する「逆転劇」が有名になる訳なのですが、我々はアマチュアなのででかい逆転など何も珍しくありません。

詰み寸前の状況から、一手の見逃しで逆に大勝利出来ることだってあるわけです。

 

だからこそ、「諦めずに負けている盤面を見続ける」精神力が重要なんですよね。

これ、色んな勝負ごとで共通の話だと思います。

 

まあ、もちろん「逆転する」ことと同じように「逆転される」ことだってあるわけで、誰がどう見ても圧勝の状況からワンミスでひっくり返された日には、その辺をごろごろ転がってしまうくらい悔しいわけですが。将棋難しい。

 

もう一点一般的に言えそうなことは、「勝負ごとに、メンタルの状態がいかに重要なのか」ということです。

疲れていたり、心配ごとがあったり、とにかく「あ、今ちょっとメンタルの調子いまいちだな」と思う時、間違って将棋など始めてしまうと、とたんに物凄くわかりやすく勝率が落ちます。5,6連敗してレートが一気に100くらい吹っ飛ぶ、なんてことも全く珍しくありません。

 

自分のメンタルの状況を把握して、大事な勝負ごとの時にはそれだけに集中出来る状態を整えること。

これが大変大事、というのも、将棋を指す上で分かりやすい教訓なのではないかなーと思う次第なのです。

 

***

 

ところで話は変わるんですが、先日、将棋倶楽部24という老舗の将棋対戦サイトで、いきなり「棋譜分析」という機能が実装されました。

 

いわゆる盤面評価なんですが、一局が終ったあと、その局の推移をAIが自動で分析してくれて、評価値の推移から悪手・疑問手、AIとの一致率や最善手や読み筋まで、全部表示してくれちゃうわけです。

これがもう滅茶苦茶便利でして。

 

もちろん、この評価機能自体が目新しいもの、というわけでは全くありません。

例えば「将棋ウォーズ」などでは(課金サービスの利用が必要とはいえ)以前から盤面の評価機能はついていましたし、自分で将棋のAIソフトを利用して、棋譜を読み込ませて盤面の評価を行うことも昔から出来ます。

 

恐らく、ある程度将棋をやりこんでいらっしゃる方なら、「K-Shogi」や「水匠4」などの評価ソフトは使い慣れているのではないでしょうか。一応私のPCにも入ってます。

 

ただ、ソフトをインストールして棋譜を読ませて、というのをいざやってみると結構ハードルも高いですし手間もかかります。

将棋倶楽部24という老舗の対戦プラットフォームに、(将来どうなるかは分からないとはいえ)現時点では全くの無料で、しかも対戦の度に自動で盤面の評価を行う機能が実装されるというのは、これ結構大変なことだと思うんですよ。こんな便利な機能標準で使えていいの!?と思うくらい。

 

例えば

「いつの間にか盤面逆転されちゃったんだけど、なにが駄目だったんだろう?」

とか、

「ここ詰んでた気がするんだけど詰ませられなかった……どうすれば良かったんだ?」

とか、

「なんとか勝てたけど、どの手が良かったんだろう?」

みたいなことが、普通に対戦してるだけで、余計な手間一切なしで情報として見えちゃう。

これ、初心者から上級者まで、ものすごーーく使いでがあると思うんですよね。

 

ちなみに、上の方で「素人に逆転はつきもの」という話をしましたが、上記のグラフも見事にぎざっぎざですね。

お互いにとんでもないミスをしょっちゅうしているということなんですが、これも「どうすれば良かったのか」と振り返ることでちょっとくらいは低減されると思います。多分。

 

何はともあれ、プロ棋戦も大変盛り上がっているし、24にも超便利機能が実装されたしと、「たまには将棋でも指してみるか」と思うなら今は絶好のタイミングなので、皆さんも将棋いかがでしょう、という話でした。よろしくお願いします。

 

どこかで対戦することがあれば、皆さんお手柔らかにお願いします。24でR600からR800くらいの間をふよふよ漂ってます。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

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Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計71万部を突破し、2023年・2024年と2年連続でビジネス書年間1位(トーハン/日販調べ)を記録。


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【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

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