以前にも書きましたが、私が若いときに、とても役立ったアドバイスの一つとして「会議では最初に発言しなさい」があります。

なぜ最初に発言をするのが良いかというと、「一目置かれるようになるから」です。

 

なぜそう言えるのでしょう。

それには、大きく3つ理由があります。

 

意欲を示す

一つ目は、皆様のご想像の通りかもしれませんが、「意欲」を示せること。

 

日本の会社は、メンバーシップ型の雇用を選択していることがほとんどです。

「メンバーシップ型の雇用」とは何かというと、いくつかの特徴がありますが、その一つに「就職の時にはスキル不要」が挙げられます。

なぜスキルがなくても大丈夫なのかというと「素人を雇って育てる」方針だからです。

 

逆に「ジョブ型」を採用している欧米では、遂行されるべき「ジョブ」に対して、スキルがない人はそもそも雇ってもらえないですから、どうしても若年層の失業率が高止まりします。

ですからこれは、若手にとって、大きなメリットです。

 

しかし、デメリット(?)もあります。

会社は人を育てなければなりませんから、若手に「早く一人前になれるよう、努力しなさい」と絶え間なく要求するのです。

 

日本の会社が、社員に対して、成長せよ、成長せよと唱え続けるのは、そのためです。

ですから、日本の会社が若手に最も期待しているのはスキルではなく伸びしろ、つまり「能力的なポテンシャル」と「意欲」です。

 

会議で最初に発言をする人は、黙っている人や、前の人に追従する人に比べて、はるかに「意欲」があるように見えます。

ですから、日本の会社では、最初に発言する人は、評価が高いのです。

 

主導権を握る

二つ目は、会議で主導権を握れることがあるからです。

「新人が主導権を握れるなんて、まずないでしょう」という方もいると思いますが、意外にそうでもありません。

 

なぜかというと、「アンカリング」という効果が働くからです。

アンカリング効果は、結論バイアスの一種で、「最初に提示された数字に、意思決定が引っ張られる」という効果です。

 

これが非常に強力なのは、その数字がデタラメでも良い、という点にあります。

アンカリング効果の存在を示す代表的な実験は、こうだ。実験参加者は、相場がよくわからないいくつかの品物を見せられる。たとえばあまり聞いたことのないワインのボトルなどだ。

次に、自分の社会保険番号の末尾二桁の数字をメモし、その金額でワインを買う気があるかどうかを答える。最後に、そのワインに出してもてもよいと考える金額を答える。すると、社会保険番号の数字が参加者の最終的な買値のアンカーとなったことがわかった。

ある実験では、社会保険番号の末尾二桁が大きい数字だった参加者は八〇ドルを上回る値をつけ、低い数字だった参加者(二〇ドル以下)の三倍以上となった。

これを利用すれば、何らかの金額や納期の交渉の時には、「自分から希望を言うべし」という話になりますが、会議でも同じです。

 

最初に述べられた見解、数字、根拠が無意識のうちに会議メンバーの心理に作用し、その議論の方向を決めてしまう。

新人でも十分、できます。

 

勇気を示す

そして3つ目は、「勇気」を示せること。

勇気がある人は、ほぼどの社会でも例外なく、一目置かれます。

それは「リスク」をとった証だからです。

 

ただし「リスク」を取るのは、通常、簡単ではありません。

つまり最初に発言したことにより、バカにされてしまったり、間違いを指摘されたりするリスクは、会社員にとって、意外に高くつくのです。

 

しかし、そのリスクが極端に低い時期があります。

それが「新人」の時期です。

新人は、無知や間違いをかなり多めに見てもらえます。

2度同じ間違いをするとは眉を顰められることもありますが、「まちがうこと」自体は、むしろ歓迎されると言ってもいいくらいです。

 

したがって、「リスク」と「リターン」を天秤にかけた場合、新人の時期はボーナスがついており、ほとんどリスクがない割には、リターンが非常に大きいのです。

 

ですから、「新人のうちはリスクを取れ」というのは良いアドバイスです。

 

ちょっとできなさそうなことでも、すすんでひきうけて、がんばっているところをみせる。

そこで失敗しても、それを糧に頑張れば、逆に株があがる。

そんなローリスク、ハイリターンが実現できるのが、新人の時期なのです。

 

そうして、「リスクを取って、一目置かれる」と、さらに大きなチャンスを回してもらえて、同期との差が広がっていく。

いわゆる「マタイ効果」です。

(「最初に頑張っておくと、後々、ものすごく得をする」が「最初に怠けると、すべて取り上げられてしまう」)

 

率先してやる

つまり、会議だけではなく、「率先してやる」ことが新人の時代は、本当に重要だという事になります。

最初の1、2年で大きく差がつく、スタートダッシュ。

ちょっと頑張ってみませんか?

 

 

*なお、上で書いたような話が、4月19日に発売する本にはたくさん詰まっています。

ぜひ、お手に取ってください。仕事の役に立つと思います。

 

 

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

 

【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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