最近読んでいた本の中で興味深い一節があった。

その本はアマチュアとプロの違いについて書かれたものだったのだけど、プロとアマチュアの最大の違いはより広い範囲で、より深く全体像を把握できている事があげられるという。

例えば将棋でいうと、普通の人は駒の動かし方だとか、王を取られると負けだとか、ゲームのルール程度しか理解していないのに対し、プロと呼ばれている人達は様々な角度からお互いの状況の優劣を判断する事ができる。

専門用語でこれを大局観という。

 

大局観をもう少し詳しく解説すると、将棋を様々な角度から分析する人それぞれの将棋のものの見方という風にいえる。

例えばだけど、今の戦況がどっち側に有利かとか、相手はどういう風に将棋を指したがっているかだとか、相手の浮かべている表情から現在の戦況を推し量ってみたりだとかがあげられる。

 

このように、我々素人とは異なり、プロとよばれる人々は普通の人がゲーム中に読み取れる以上の事を試合中に分析する事ができる。

このようにより広く、より深い情勢を様々な側面から全体像を把握する事ができるという点が素人やアマチュアとプロとの力量の差となってあらわされる。

 

将棋に限らず、全体像の把握に関する話は我々の日常生活上でも役に立つヒントが沢山ちりばめられている。今日はそのことについて書いていく事にする。

 

全体像は様々な角度から押し図る事ができる。

突然だが筆者は講義中にかなり眠くなるタイプの人間だ。僕と同じように、座って講義を最後まで聞くことができない人は結構いるんじゃないかと思う。

コーヒーを飲んでみたりだとか、随分と色々な睡眠打破戦略をねったりしたのだけど、寝ないで講義を受けるのに最も役に立った手法は『自分の集中力を数値化』して把握する事だった。

 

昔は講演が開始した直後から『集中・・・集中・・・』と必死になって演者の話を聞こうとしていたのだけど、今では『今の自分に残された集中力はこれぐらいだから、休み時間まで無くならないようなペースで講演を聞くことにしよう』という風にスタイルを変えた。

こうして自分の集中力の総量の全体像を把握できるようになってから、どこに力点をおいて演者の話を聞くかが選択できるようになり、昔と比較して講演中に眠ることは激減した。

 

また予めテーマがわかっているときは、演者が話すであろうことの全体像を事前にできる限り把握するようになった。演者が何を話したがっているかがわかっていると、序盤はこういう話をして、終盤にはこういう話を展開していくだろうという事が講義を受けながら予測する事ができる。

このように論旨の展開についての全体像が把握できるようになると、自然と集中力も適度に分散できるようになる。結果として話を寝ないで聞けるようになる率が劇的に向上した。

 

その他にも様々な側面をもって『講演』の全体像の把握にいそしむ事により、僕は随分と人の話を聞くのが上手くなったと思う。どういう観点でもいいから物事の全体像を把握するように努めると、それについての理解度が劇的に向上する。

人に説明するときは全体像がわかるように解説するとウケがいい

講演を受ける側として全体像を把握するメリットについて述べたが、全体像を把握する事は発信者としても実に有益な事である。

例えば講演ならば、聞く側の集中力をまず把握するのが非常に重要である。相手が全くの初心者ならば『○○は全部で三つの部分から構成されています』という風に形を呈して解説してあげると理解度が非常に向上する。

 

聴衆の集中力を把握するのも演者の大切な資質の一つだ。小学生が相手なら『今から10分だけ黙って話を聞いてみよう』というと結構頑張って聞いてくれる事が多い。

大人が相手なら『50分の講演のうち、序盤は10分。そのあとちょっと雑談を挟んだのちに、中盤に移って、一休憩を挟んだ後に結論を話そうと思います』と講演の流れを簡単に説明してあげると、聴衆の集中力が劇的に向上する。

 

スティーブジョブスのような人をひきつけるプレゼンをするのは全員にできる事ではないけれど、全体像をできる限り意識して話す事はそれと比較すれば随分と簡単だ。

人は形のないものは理解できない。人にものを教える時は、形を作ってあげてから話してあげよう。人からものを教わるときは、自分なりに形を作りながら話を聞こう。この簡単な原則を遵守するだけで、驚くほど情報のやりとりの制度が向上する。

 

この他の分野でも、全体像の把握はかなり応用がきく技術だ。各自いろいろ試してみて欲しい。

 

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(2024/1/22更新)

 

プロフィール

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように

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(Photo credit: Thomas Hawk via VisualHunt / CC BY-NC