ソニーが苦境に立たされている。ソニーがバラバラに解体されてしまうような印象を受けるのは気のせいだろうか。

ソニーの今期は2年ぶり最終赤字に、パソコン撤退・テレビ分社化へ(ロイター)

パソコン「VAIO」事業は売却して撤退し、10年連続で赤字になる液晶テレビ事業は来期に分社化して収益構造の改善を図る

パソコンは撤退、テレビも無くす。かと言って中核に据える事業としているデジカメやゲーム、モバイルなどでソニーが一番優れているという印象も受けない。

ソニー、PC事業を売却してもテレビ事業を分社化してもなお、見えない光(MONOist) 

エレクトロニクス事業では、デジタルイメージング(デジカメやビデオカメラ、CMOSセンサーなど)、ゲーム・ネットワークサービス、モバイル(スマホ、タブレット)の3事業を中核と据える

ソニーといえば、自分が子供の頃は憧れのブランドだった。私が初めてソニー製品を手にしたのは中学生の時、父に買ってもらったウォークマンだった。

確か型番は WM-103だった思う。父は英語の勉強のため、という名目で買ってくれたようだが、ほとんど英語には使わず、音楽ばかり聞いていた。「音楽を聞く」という習慣のなかった私は、これによって生活が激変した。

 

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出典:http://www.sonyvintage.com/

 

いま見ても、かなりかっこいいデザインだ。

電車での通学の行き帰りにずっと使っていた。カセットにお気に入りの音楽を編集して入れるのも楽しかった。

 

高校生くらいになると、CDが全盛期となりCDウォークマンを買って持ち歩いた。初めてCDウォークマンの音を聞いた時は、「こんなにきれいな音が出る、しかも、早送りや巻き戻しの必要がなく、好きな曲がいつでも聞ける」と、感動した。

 

当時はCDウォークマンは音飛びがひどく、リュックに入れて持ち運ぶとしょっちゅう音飛びがあり、聞くに耐えなかったが、ついにソニーが「音飛び防止」のCDウォークマンと出したと知るや、秋葉原にお金をためて買いに行った。小遣いは殆どなくなってしまったので、当時はかなり高価なものだったと記憶している。

それが、下のD-515だ。

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出典:Naverまとめ

音飛び防止は「先読み」をすることによって音が途切れないようにする技術だったが、3秒分しか先読みがなく、この機種でも音飛びは度々あった。それでもこのソニーの製品はテクノロジーの象徴として、私の心に長く留まった。

おそらくこの頃最もソニーが好きだった。銀座のソニービルに通い、新製品を見てはあれこれと想像し、楽しんていた。

 

そして、MDが登場した。小さなディスクに好きに録音もできる。

画期的だと思ったが、私はMDウォークマンを買わなかった。その頃はCDで十分だと思ったのかもしれない。また、MDであってもそこに入る曲数は十数曲と、CDと変わらなかったことも有り、編集が面倒だったのか、「CDで十分」と、CDウォークマンを使い続けた。

 

そこからかも知れない。あまりソニー製品を買わなくなったのは。もちろんPlaystationは買った。

しかし、それはかつてウォークマンを買いに行った時ほどのワクワク感を与えてはくれなかった。ゲーム機は持ち運びができるものではなく、「生活を一変させる」ものではなかったからかも知れない。

 

学生になり、私はソニーから離れた。携帯音楽プレーヤーはCDプレーヤーから、SDカードに音楽を保存するタイプのものになり、劇的に小さくなった。

確か当時、東芝の音楽プレーヤーを買ったと思う。ソニーを選ばなかった理由は「メモリースティック」が独自規格で、様々なPCと接続できなかったからだ。ただ、当時のSDカードは容量が小さく、曲はCDと同じく、十数曲しか入らなかった記憶している。

東芝の音楽プレーヤーはよく出来てはいたが、「生活を劇的に変化させる」というものではなかった。単に荷物が軽くなっただけだ。

 

そして数年後、携帯音楽プレーヤーにもかかわらず、「3000曲が入る」というフレコミの機械が発売された。

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出典:CNET

以後もソニー製品は買っていない。

 

映画配給に出資するのも、レコード会社に投資するのも、電子書籍をやるのもよい。しかし、「素敵な機械」を作らなくなったら、ソニーじゃないよ。

がんばって!

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)