詩とは簡略化された長い文章の短文。
ある情景を3つの語句にまとめると、それは絵となり、やがて映像となる。
そんな新しい詩の形式。それが三語句詩。
記念すべき第1回は、古い付き合いの友人と飲んでいた時に出てきた句たちです。
1つめ
「電車 セミ サラリーマン」
まずは、この句を味わいましょう。あなたの想像こそが三語句詩を楽しむ第一歩。
この句を投稿してくれたSさんは、現在39歳の3人の子供がいるお父さん。
つい最近電車に乗っていたら、セミを背中につけた長髪の40代後半のサラリーマンと思われる人が乗ってきた。
中に入ってくるなり席に座ったがどうやらセミをつけたままの様子。やがて駅を降りる時に立ち上がったら、まだそのセミはいた。その人が電車から降りた途端にそのセミは飛び立っていった。セミがとても元気に見えた。
非常に味わい深い句ですね。サラリーマンとセミの対比が見事です。
さて、この句の最大のポイントは言うまでもなくサラリーマンです。Sさん曰くサラリーマンは夏の季語とのこと。夏なのにネクタイ、夏なのに遅刻ギリギリ、夏だけど昼にラーメン食う、汗汗汗を連想させるからなのでしょうか。
ピンとこない方、ためしにサラリーマンを最近のイケてる言葉「ビジネスパーソン」に変えてみてはどうでしょうか。途端に印象がかわりますよ。シュッとした黒縁メガネをかけた人が、電車の中にいるセミを見つけて、株の暴落を予測した。といったような想像をしちゃいますよね。
2つめ
「駐禁 トナカイ ウィンカー」
この句を投稿してくれたのは、事務机などを販売している会社で営業の仕事をやっている現在39歳2人のお子さんがいるOさん。
これはなかなか難しい句です。
ポイントは「トナカイ」です。トナカイは、冬の季語かと思いきや、Oさんによれば、それは社長室の隠喩。たぶんそれ100歩譲って鹿だと思われます。鹿の角が飾られている部屋=社長室。じゃ、駐禁は?ある会社に営業に行った時に本当は停めてはいけない場所に会社の営業車を停めてしまった。(それも駐禁とは言わないのでは?)
だんだん見えてきましたね。これは緊迫した状況だと。だとしたらウィンカーは?これは超難解ワードです。
クレームを受けて、社長室のある事務所(港湾関係)に車ごと誘導されている時に、わざと曲がる方向と反対方向にウィンカーを出したとのこと。そうすればアホだと思わるんじゃないかと思って。結果ことなきを得たそうです。
すべての語句が誤解によって成り立っている。非常に難しい句でしたね。しかし、だからこそ見える真実もあるのですね。Oさんの姿が活き活きと描かれていると思いませんか。
3つめ
「サラリーマン ハト 洗顔フォーム」
この句の投稿も2つめを投稿してくれたOさんです。
これはそんなに難しくないのではないかと、その場に居合わせた他3名で想像しました。
Sさん「サラリーマンの顔にハトのフンがついて、それを洗顔フォームで洗った」
Aさん「サラリーマンの服にハトのフンがついていたが、持ち合わせが洗顔フォームしかなくそれで洗ったがそれで落ちるのか?」
N「サラリーマンにハトの白いフンがついていたが、それは洗顔フォームだと言い張った」
(正解)
Oさんが後輩と歩いていると、自分の頭にハトがフンをした。大げさに振る舞うとカッコ悪いと思って、たいしたことない風を装っていたが、一緒に歩いていた後輩が黙って洗顔フォームを買ってきてそっと差し出してくれた。その後輩のことは、いまでもよくしてあげている。
でした。
こんな味わい方もありな三語句詩です。
三語句詩募集中です。これはと思った時の情景、日常の中のささやかな感動、後世まで残しておくべき格言的場面に遭遇したことなどを三語句詩にしてみてはどうでしょうか。ルールは「3つの語句(単語とは限らない)で構成する」のみです。ご応募お待ちしております。応募フォームはこちら。
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