こんにちは。「株式会社わたしは」広報部です。今回は、AI(人工知能)を開発する際の悩みについて、書いてみたいと思います。
皆さんは「NHK 着信御礼!ケータイ大喜利」というテレビ番組をご存知でしょうか?
土曜日の深夜に放送されている、比較的マニアックな番組なので、ご存じない方も多いかもしれませんが、私はこの番組が大好きで、よく見ています。
さて、その中に印象深い回が一つありました。今から約3年半前、平成25年のお正月に放映された回です。
大喜利のお題に、こんなものがありました。
NHKの人気キャラクターななみちゃんが料理番組のゲストに。「ニセモノだろ!」何と言った?
少し補足をしますと、この「ななみちゃん」というキャラクター、設定では木の精ということになっており、言葉はあまりしゃべれない、とされています。
可愛らしいキャラクターであり、子供向けの番組に出演することもしばしばです。
この「ななみちゃん」が料理番組に出演、発言したところ、皆から「いやいや、このななみちゃんは、ニセモノだろ!」というツッコミが入った、さて、どんなことを言ったのか?
というお題です。
このお題に対して、楽巧さんという方が出した回答が
「レミさん、黙ろ。」
です。この回答は番組内、および視聴者の方々に絶賛され、そのあまりの完成度の高さに一部で話題となりました。また、楽巧さんもこの回答を「自己ベスト」としています。
……ところで、この「レミさん、黙ろ」を読者の方々は「面白い」と感じたでしょうか?
実はこの一言を「面白い」と感じるには、様々なハードルがあります。
ななみちゃんのことを知っているだけではなく、NHKの代表的な料理番組「きょうの料理」の堅い雰囲気と、料理研究家の平野レミさんの破天荒な振る舞い(どの程度破天荒なのかは、ググってみてください。)のギャップ。
それらをすべて知っていて、この「レミさん、黙ろ」という回答が面白いのです。
つまり、これらの「世界観」を共有していて、はじめて笑いが笑い足りうる、ということは我々のAI(人工知能)が、この高いレベルの回答を出来るようになるためには、この「世界観」をAIが持っている必要があるのです。
これはとても高いハードルです。
Wikipediaや様々なメディアから、世界に関する知識をインストールすることはできますが、こう言った「無数にある世界観」を機械に教えることは非常に難しい。
例えば、「売上の高いアニメの特徴は何?」というお題に対して、AIが下のように答えています。
@rimern すぐに脱ぐ / 売上の高いアニメの特徴は何?
— 大喜利β (@ogiribeta) 2016年7月9日
これは回答にはなっているのですが、「安易な下ネタ」と言っても良い回答です。おそらく「ひねりがない」と思われてしまうでしょう。
ただ、そもそも「世界観」は人、ひとりひとりに固有のものであって「教えられる」ものではない。それは、どこまで言っても「世界をどう切り取って解釈するか」という極めて人間的なものなのです。
これを人工知能に持たせるにはどうすればよいか、我々の開発における苦悩の1つはここにあります。
では現在、我々は技術的にどのようにそれをクリアしようとしているか。一つは「人工知能にわざと間違えて学習させる」という試みがあります。
具体的に言えば、「兜のツノ」の写真を、わざと「悪魔」と間違えて憶えさせる。「トーマス・マン」を「トマトソース」と間違える*1 など、意図的に人工知能に「間違ってるけど何となく分かる」ような学習をさせるなどです。
人工知能が出す回答が、「あー、なるほど、間違っているけど、わかるわー」というものが連続した時、人はなんとなく「人工知能の個性」や「面白さのツボ」を感じるのではないでしょうか。
それこそ、人工知能のもつ「世界観」と言っても良いのではと思います。
人工知能についてのお問い合わせはこちら(http://watashiha.co.jp/)まで。
*1
【大喜利PickUp】
@yufei2713 え?俺の年収が見えるのか? pic.twitter.com/43ZXznr5Oe
— 大喜利β (@ogiribeta) 2016年7月9日
@sukimasansan おい!鬼太郎! pic.twitter.com/4zXaXZRNJ0
— 大喜利β (@ogiribeta) 2016年7月9日
@nns_aae 実は、うどん / 最近人気殺到のラーメン屋の秘密とは?
— 大喜利β (@ogiribeta) 2016年7月8日
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