昔話から始めます。

 

私、趣味で南米の民族音楽(いわゆるフォルクローレ)を演奏してるんですが、昔その関係で、ちょくちょく小学校や老人ホームにボランティア演奏に伺っていたことがありました。今でもたまにやってます。

そんな中で、一時期恒例化していた行事として、

「二か月に一回くらいとある小学校に行って、簡単に演奏した後小学生と遊び倒す」というイベントがありました。確か大学卒業して間もないころだったんで、これも多分14、5年前でしょうか。

 

演奏後、大体将棋や卓球をやったり、何かアナログゲーム的なこと(ウィンクキラーとか)をやったりという感じだったんですが、やはりメンバーによって随分子どもとの接し方は違いました。

輪に入れない子を見つけて一緒に遊ばせてあげるのが上手い人。

うるさい子どもを静かにさせて集中させるのが上手い人。

子どもに新しい遊びを教えて、それを流行らせるのが上手い人。

みんなそれぞれ独自の対子どもスキルを持っていて、上手いもんだなーと私は常に感心していました。

 

そんな中、私の担当というか、立ち位置は「常に全力で小学生どもをなぎ倒す人」でした。

対子どもスキルなどというものを持ち合わせていなかった私は、将棋でも卓球でもアナログゲームでも「子ども相手の手加減」というものを一切しなかったので、常勝無敗、特に将棋と卓球では一年くらいの期間ただの一度も敗北しなかった筈で、途中から「おとなげないしんざきさん」という異名を欲しいままにしていました。

 

グループメンバーからも子どもたちからも、ほぼ共通して「おとなげない」という二つ名とセットで呼ばれていたことは間違いないです。あの時期ほど「おとなげない」という言葉を頻繁に投げかけられたことは人生でも他にありません。一日につき二十回くらいは言われてたんじゃないでしょうか。

ただ、これは衆目一致していたと思うんですが、当時子どもたちから「遊び相手」として指名される頻度がトップだったのは、間違いなく私でした。別に将棋や卓球に限らず、相撲だろうが鬼ごっこだろうがかくれんぼだろうが、「取り敢えずビール」というくらいのノリで「じゃあまずしんざき」という引っ張り方をされていました。

 

子ども、特に男の子が「勝負」が好きというのは疑いがありません。うちの長男を見ていても、勝負ごとは三度の飯より好きですし、もちろん言うまでもなく「勝つ」ことも大好きです。全然勝てないと、時にはやる気をなくしてしまうこともあります。

ただ、それ以上に、子どもって「全力で、本気で遊ぶ大人」が好きなのかもなあ、と私はその時思ったのです。子ども相手だからといって手を抜かず、勝てば喜ぶし負ければ悔しがる、自分たちと同じステージに立ってくれる大人。たとえ負けてくれなくても、自分たちとの時間に全身を投入してくれる大人。

 

考えてみれば、私が子どもの頃もそうだったかもしれません。雪合戦の場に大人が入ってくれば、私たちは大興奮していました。「ゲームがうまい大人」というのは、当時憧れの対象でした。

私は、ゲーメストの記事を読んで、「本気でゲームをやりこむ大人っていうのはこんなにすごいのか」と衝撃を受けましたし、高橋名人や毛利名人に崇敬の念を向けていました。

 

子どもって、実際のところ「子どもだまし」にはあんまりだまされないんですよ。「あ、この大人、手を抜いているな」って思うとあんまり喜んでくれませんし、すぐにやる気を失ってしまいます。「こいつ、本気だ…!!」と思ってこそむきになるし、本気でノってくる。どんな勝負、どんなゲームでもそうだと思います。

だから、子どもと遊ぶ以上は本気で遊ぶし、全身全霊をその遊びに投入する。それは、今でも私の基本スタンスであり続けています。

 

まあ、それでも「負けっぱなしだとやる気を失ってしまうこともある」というあたりとのバランスも難しいところなんですが。上記昔話の当時、将棋や卓球で言えば、子どもたち同士でも対戦している中、ラスボス的立ち位置に上手く入り込むことができたというのも上手くいった理由だったんだろうとは思います。

 

こちらはわりと最近なんですが、長男が友達数人と一緒に公園で遊んでいたころ、何度か「大魔おじさん」という遊びをせがまれてはやっていたことがありました。

大きな滑り台の上に立って、私を滑り台に追い落とそうとする子どもの群れをちぎっては投げちぎっては投げ、ひたすら撃退し続けるタワーディフェンスゲームでした。私が大魔王で、子どもたちは仮面ライダーウィザードとかウルトラマンギガとかバスターレッドとか、まあ思い思いのヒーローです。

 

ヤツら体力が無尽蔵なので、私も死ぬかと思うことが頻繁でしたが、何せこちらもムキになるので、子どもたち大喜びで一時期随分せがまれました。おかげで、倒しても倒しても復活して自分と戦いにくる勇者と対面したときの、大魔王の気持ちがだいぶわかるようになりました。「もう早く帰ってビール飲みたい…」これです。ゾーマさんもバラモスさんもきっとそうだったろうと思います。

とはいえ、「子どもたちと全力で、真剣に遊ぶことができる時間ほど貴重なものはないなあ」と、今の私は思うようになりました。

 

ここ一、二年は、子どもたちの趣向もだいぶ変わって、もう「大魔おじさん」になる機会も少なくなりましたが。それでも、自分ができる限りは、子どもたちにとっての「ラスボス」であり続けたいなあ、と。

そんな風に思うわけなのです。

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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(2025/6/2更新)

 

【プロフィール】

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SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて
書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城