なぜ働くのか。社会人なら誰しも一度は自分自身に投げかけているはずのこの問い。

Books&Appsの安達さんの記事に、この問いに対する1つの答えが載っている。それは「『なんで働かないといけないんですか?』と聞いた学生への、とある経営者の回答。」という記事だ。

 

この記事は非常に多くの人に読まれており、私も感銘を受けたうちの1人である。

そこには働くことでもたらされる6つのことが書かれている。

「お金」「明確な目標」「出会い」「学び」「信用」「自信」だ。

 

この6つの「働くことでもたらされるもの」には共通点がある。それは、何もないゼロの状態から、働くことで何か大切なものが得られる、という点だ。

 

お金が「ない」人でも働くことでお金が得られる。

目標が「ない」人でも、働けば明確な目標が与えられる。

出会いが「ない」人でも、働けば様々な出会いが発生する。

……というように。

ゼロの状態から、プラスになる。それが働くことでもたらされるものとして挙げられている。

 

一方、私は働くことでマイナスの状態からゼロになるという側面もあると思っている。

どういうことかというと、「働く」という行為が、自分への免罪符のような役割を果たすのではないか、ということだ。

 

自分が罪深い存在だ、とまでは言わない。

「こんな人間が生きていてごめんなさい」なんて思っていない。

 

けれど、働いていなかった頃にはなかった感覚、「自分の存在を許してあげられる」という感覚が、働き始めてからたしかに芽生えている。

もともと自己を否定していたわけではない。それなのに、働くことでようやく自分の存在を肯定することができたような、そんな感覚だ。

 

働けない・働かない人が気後れしたり引け目を感じたりするような社会は望ましくないと思いつつ、じゃあ自分が働いていなかったら引け目を感じることなく生きられるのかというと、たぶん感じてしまうのだろうな、と思う。

それは、自分が学生の頃、無条件に「社会人」という生き物を信仰していたことから、よくわかる。

 

ではどうしてそんな気持ちになるのだろうか。

 

以前「有田とマツコと男と女」という番組で、マツコさんが働くことに関して意見を述べたことがある。

その発言に強く共感したので、ここで紹介したい。

若者「(仕事してない人の楽しさは)仕事されている方々にはわからないと思いますよ」

マツコ「何だろうアイツ!すごいカチンとくるんだよなコイツ!」

有田「アイツの話聞いてると、仕事してない人の方が偉い位置にいるよね()

マツコ「違うのよ、それは一つ正解なのよ。あたしもほとんど仕事してるだけの毎日だから、仕事してない人にとってはこんな愚かな毎日なんてないのよ。毎日仕事しかしてないんだから」

 

若者「毎日一緒じゃないすか。朝起きてご飯食べて・・・」

マツコ「でも私たちから言わせてもらうと、仕事以外に生きる価値って何があるの?って思っちゃうの。何をして、生きてるっていう実感を得てる?自分だけ楽しければいい、プラス、生きている価値は社会貢献や、いかに人の役に立つかだと思う。その満足度って好きなこと好きなだけやってるだけじゃ得られないじゃん。そこはどうやって満たしてるんだろうなぁ、っていう」

 

若者「マツコさんはどうやって人の役に立ってるんですか?」

マツコ「私は人の役に立ちたいから。今は立てるなんて思ってないけど、いつかこういうことをしてたら、何らかの形で間接的に誰かの救いになってるかもしれないっていう、本当にちょっとののぞみだけどね」

有田「確かにね、マツコみたいな一番働かなさそうな人が言ってる訳だからね」

マツコ「いやだから私、こいつら悪いと思わないのは、私って将来結婚を考えてなかったのよ、オカマだからさ。だから一生一人だわって若いころから思ってたから、親より1日でも長生き出来りゃさ、もうそれでいいやって思ってたの。のたれ死んだっていいって思ってたからさ。

だけどね、なかなか人間ってのたれ死ねないのよ。そうなってくるとさ、二十歳くらいは若いといいけどさ、だんだんね、惨めになってくるんだよ。何もしてない自分とかさ。で、私の場合は女装することと、いろいろ考えてるめんどくさいことを文章にすることくらいしか取り柄がなかったからさ、金になんないけどそれを始めたのよ。

そしたら気がついたらこんなことになってたのよ。だから分かんないよ、人生って。何かやんないと、その先も無いから。遊んでててもいいけど、何か将来につながる事を一個でも良いから考えておいた方が、いざというときに絶望しないですむよ」

(引用:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1399671858

おそらく番組でのやりとりをそのまま書き起こしただけのものなので、多少わかりにくい部分はあるが、「仕事以外に生きる価値って何があるの?」「何をして、生きてるっていう実感を得てる?」という言葉はグサッと刺さるし、何もしていない自分がだんだん惨めになってくるという感覚もとてもよくわかる。

 

マツコさんが言いたかったこととは少しずれてしまっているのかもしれないけれど、仕事って、生きていることへの免罪符なんじゃないかな、と。

休日に何もせずぼんやりと過ごしていると、ふとそんなふうに思う瞬間がある。

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
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(2025/6/2更新)

 

【著者プロフィール】

名前: きゅうり(矢野 友理)

2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。

【著書】

「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)

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(Photo:tokyoform